『ワールドトリガー the Stage』B級ランク戦開始編|中屋敷法仁インタビュー

最高にアクティブな演劇。
こんなに楽しいステージはない!

近界民(ネイバー)と呼ばれる異世界からの侵略者と戦う組織=界境防衛機関「ボーダー」を描いた大人気SFアクション漫画『ワールドトリガー』の舞台シリーズ第三弾が上演される。
ボーダー隊員・三雲 修(溝口琢矢)と近界民の空閑遊真(植田圭輔)、幼馴染の雨取千佳(其原有沙)は、奪われた仲間を取り戻すため近界(ネイバーフッド)遠征部隊入りを目指してボーダー内のランク戦に挑む。原作でも人気の高い『B級ランク戦』がステージでどのように展開されるのか。初演から脚本・演出を務める中屋敷法仁は
「いよいよB級ランク戦に突入することができました!」と喜びを語った。

「初演の時は『ワートリ』がどのように舞台化されるか不安に思う方もいらっしゃったと思うのですが、好意的に見てくださったお客様から“B級ランク戦も見たい”というお声をいただけて。皆様に『ワーステ』を愛していただいた結果だと思っています」

本作のために中屋敷が考案した演劇表現“フィジカライブ(” Physical×Live performance)は、体を使ったライブパフォーマンスを軸として『ワートリ』の世界観を体現するもの。

「漫画や映画、演劇……メディアにはそれぞれ得意や苦手とする表現がありますが、僕は『ワートリ』という漫画を演劇にするなら“チームの一体感”を表現することが大事だと思ったんです。それで生身の俳優が演じることが有効に作用するのはユニゾン的なダンスではないかと。漫画や映像だと“なんでコイツらここで踊るんだ?”と思われるようなところも、劇場空間のイリュージョンでは成立しますから。舞台は限られた時間と空間の中で原作漫画の情報量を伝える必要がありますし、各チームのカラーを音楽と体で表現することにこだわりました」

音楽はGIRA MUNDO、振付は梅棒の天野一輝と野田裕貴、KoRockの泰智が担当。

「この部隊は市民に人気があるからアイドルっぽく、この部隊はとても強いので重めに……など、各隊のコンセプトをクリエイターチームとシェアしながら作っていきました。僕も『ワートリ』の一ファンとして“この隊はこういうところがカッコイイんだ!”と、熱く伝えました(笑)」

中屋敷は原作が“遅効性SF”と呼ばれることにも触れ、その魅力を「力がインフレしていかない。作りが粗くならないところ」だと分析する。

「最初から最後まで、ひとつずつの描写がきっちりと実を結んでいく。後からジワジワ効いてくる魅力があります。B級ランク戦は正体不明のネイバーと戦うのではなく、お互いのことを知っている者同士の戦い。より緻密でロジカルなバトルが見どころのひとつになると思いますし、これまで以上に劇中でこのチームが存在する意味みたいなものにも迫っていける気がします」

上演は8月から。ワクワクすること間違いなしの熱い戦いが待っている。

「SFということもあって、カンパニーの皆が未知なるものに飛び込んでいく冒険心を持っているように思います。誰かの思い出とか歴史とか、いつかの青春をやっているわけではなくて、僕たちが今、『ワーステ』という世界でたったひとつの演劇をやっているのだという。この作品を通して僕らも挑むことの楽しさを感じています。最高にアクティブな演劇で、生で見ていてこんなに楽しいステージはない。会場での一体感や興奮をとても大切にして作っていますので、お客様にはボーダー隊員たちの戦いを観戦するつもりで劇場に足を運んでいただければ。皆様のエネルギーをいただきながらバトルを盛り上げられたらと思っております!」

インタビュー&文/片桐ユウ

※構成/月刊ローチケ編集部 6月15日号より転載

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【プロフィール】

中屋敷法仁
■ナカヤシキ ノリヒト
劇団「柿喰う客」代表。劇団の全作品の脚本・演出を手掛ける。その他の主な演出作品は舞台『文豪ストレイドッグス』、『黒子のバスケ』、『半神』、『奇子』など。