ジュエルステージ「オンエア!」Unit Stories H×D│三原大樹×坂下陽春 インタビュー

写真左から)三原大樹、坂下陽春

スター声優育成アプリ『オンエア!』から誕生した舞台、ジュエルステージ「オンエア!」。個性豊かなスター声優の卵たちの成長を見守る物語で、総勢30人が出演した2022年6月のステージを皮切りに、ユニット別の公演をこれまで重ねてきた。そのラストを飾るHot-Blood、dropの2ユニットの公演がいよいよ上演される。ユニットストーリーの最後を担うことになった三原大樹(雅野 椿役/Hot-Blood)と坂下陽春(橋倉 杏役/drop)の2人は、どのように作品に臨むのか。話を聞いた。

――まずは、ユニットストーリーの最後を飾る公演をまえに、どのような心境ですか?

三原 やっと自分たちの出番が来た、というのが、率直な気持ちです。ほかのユニットストーリーにも出演してきたからこそ、全員がバトンをつないできたことを間近で見ていましたし、最後のバトンをしっかりと受け取って、いい作品にしたいと思っています。

坂下 ユニット公演がそれぞれにあった中、そのラストを飾るということで、dropやHot-Bloodのファンの方は待ちに待った公演だと思います。その分、期待値も上がっていると思うので、プレッシャーもありますが、頑張っていきたいです!

――ほかのユニットストーリーをどのようなお気持ちでご覧になっていましたか?

三原大樹

三原 初演でみんな揃って出たあとに、それぞれのユニットストーリーをやっていく中で、”自分たちがうまくいかなかったら他のユニットストーリーができない”っていうプレッシャーを課していたんですよ。そのプレッシャーすらも楽しんでやっていたので、チームごとの色をしっかりと出して、素晴らしい作品にしてくれました。自分たちのユニットストーリーがどんな演出になるのか、僕ら自身も楽しみですし、みんなの想いを引き継ぎたいと思っています。

坂下 最初に一気に30人くらい出て、お客さんももしかしたらそれぞれのユニットの特徴を把握しきれないままだったかも知れません。そこをユニット公演でしっかり知ってもらえて、そこからまた初演のグラン・ユーフォリアを見たら、また違うところが見えてくると思うんです。僕らも、見せきれなかったところをお見せしたいし、ほかのユニットに負けたくないですね。

――それぞれの所属ユニットの魅力をお聞かせください

三原 僕らHot-Bloodは役者同士の仲の良さですね。この間、5人で仕事があったときに、その後自然な流れで普通に5人でご飯に行く流れになって。次は俺らなんだっていう気持ちは、ほかのユニットストーリーに出てたメンバーも、グラン・ユーフォリア以来のメンバーも、同じようにみんな持っていると思うし、その想いをぶつけてきてほしい。キャラクターとしては、Hot-Bloodは各々がそれぞれ自分の色を持ちながら目標に向かっていく感じなんです。信頼しきっているけど、慣れ合わない。そういう形の仲の良さをお見せしたいです。そこは、僕ら自身の仲がいいから、遠慮せずにぶつかっていけますし、年齢差とかも関係なく対等なやりとりができると思ってます。

坂下 dropはユニットとしてもふわふわしてるんですよ。見た目も衣裳とかすごく可愛らしいイメージがあると思います。でも、本当にメンバーの他の3人が可愛くて…。初演のグラン・ユーフォリアの時に楽屋が4人一緒で、本当にキャッキャしてたんですよね(笑)。メンバーのグループチャットもあって、突然誰かが投稿してきて、そこからやりとりがババーっと続くこともあります。しょうもない話だったりしますけど(笑)。年齢が若いっていうこともあるんですけど、そのフレッシュな可愛らしさが本人たちにあるからこそ、役の可愛らしさも出る。そこは他のユニットに負けないところですね。dropはサブ的な役割でいることが多かったんですけど、自分たちがメインを張れるので…頑張ろうね、って言う話はメンバーでしました。

――ほかのユニットのカッコいいと思ったところや印象に残っていることはありますか?

三原 Re:Flyの大人のカッコ良さですね。音楽もジャズ調ですごくカッコいいし、みんな歌が上手くて見せ方もすごく素敵でした。難しい曲だったからこそ、出来たときはものすごくカッコよく見えるし、妥協せずに全員がひたすら努力しているところを横で見ていたので、本当にカッコいいと思いました。

坂下 どのユニットも素敵なんですけど、初演のグラン・ユーフォリアで印象的だったのはHot-bloodでした。全6ユニットの中でも、先陣を切るのがHot-bloodというイメージで、すごく盛り上がったんですよ。カッコよくて、曲のノリも良くて。そうやって先陣切っていって、ちゃんと盛り上げるところがカッコ良かったです。そんなHot-Bloodと一緒にユニット公演の最後を飾るということで、今回も期待しています。

――公演の中で新曲も披露されます。Hot-BloodはOVERCOME MUSICの伊真吾さん、dropは脚本も手掛けているOne on Oneの浅井さやかさんが音楽を担当されますが、それぞれの楽曲の印象は?

三原 新曲を聴いてみて、すごくホッとしました。新しくてカッコいい曲に仕上げてくださったと思います。これまでもユニットに合った曲を作ってくださっていたので、今回の自分たちがどんな曲になるのか楽しみにしていたんですよ。そしたら、すごくHot-Bloodらしい楽曲になっていたし、男っぽくて、お客さんたちが絶対に楽しんでくれると信じています。曲調的にも難しいダンスが来そうな気がしているので、全力でもっともっとカッコいい楽曲に仕上げていきたいです。

坂下 dropの新曲は、とてもキャッチーでした。脚本を書いてくださっている浅井さやかさんが音楽も手掛けてくださるので、本当に浅井さんワールドが満載になっていると思います。お客さまと一緒になってやるところもあるので、一体になって盛り上がって行けたらと思いますね。可愛くて、中性的な感じで、本当にHot-Bloodとは真逆。そんなユニットと一緒に公演できるというのも面白いなって思ってます。多分、ダンスもすごくカワイイ感じになるんじゃないかと思うので、存分に癒されてください。

坂下陽春

――それぞれのユニットごとのカラーの違いや団結力も作品の魅力のひとつだと思いますが、結束力を高めるために意識していることや実践していることはありますか?

三原 役柄的には、僕がみんなを引っ張っていくようなリーダーなんですけど、実際の僕はそんな感じじゃなくて。何かしたほうがいいかな、と思っても、なかなか聞かれなきゃ言えない方です。そういう意味では頼りないリーダーかもしれません。でも、リーダーが誰かとか関係なく、立場も全員一緒に5人が足並み揃えて頑張っていこう、という感じでやっています。それぞれが遠慮なく言い合える間柄にはなれたと思うので。役柄とは違うかもしれないですけど、この間、藤間鈴役の阿部大地くんが「大樹がリーダーでよかったよ」って言ってくれたので、これでよかったんだなとも思えました。足並みを揃えてはいても、一番頑張らなきゃとは思っているので、その背中を見せていきたいですね。

坂下 結束ですか…。そういう感じの話はあんまりしていないかもしれないです。今やるべきことを、それぞれがしっかりやる時だな、というのは考えていて、それが自然と4人が同じことを考えているんですよね。ダンスの練習を始めるタイミングとか、曲のディスカッションとか、そういうことを自然とできる雰囲気があるんです。それは、お互いのことを気遣えているからだと思うんですよね。ワチャワチャとしていながら、全員が同じ方向を向いているのが特徴というか、結束力に繋がっているように思います。

――稽古で楽しみにしていることは?

三原 稽古ももうすぐ始まるんですけど、僕らは自然と稽古終わりの時間が同じだったら一緒に帰るし、何なら5人揃ってから帰ったりもしていて。稽古終わりの帰り道が、稽古の時間よりも大事なことを見つけられたりもするんです。今日の稽古がこうだったから、明日はこうしてみたいね、とか。本当にくだらない話もするんですけど(笑)、そういう稽古以外の時間もいかに5人で過ごせるか、そこで意見とかを言い合えるか、というのが作品に還元できる何かを見つけられるコツだと思うので、そういう時間を大切にしていきたいです。

坂下 僕らは初演以来、4人全員が揃うのが久しぶりなんです。それぞれ別々にほかのユニット公演に出演したりはあるんですけど。なので、お互いに役者としてどれだけレベルアップしているか、というのは楽しみですね。この1年くらいでどれくらい成長しているかが、この稽古の中で見えてきたら絶対に楽しいと思うので。そこはちょっと期待しています。

――作品に臨むにあたって、個人的なルーティンや決め事なんかはありますか?

三原 僕はまず台本を覚えるんですけど、覚えてしまったら、そのあとはあまり家とかでは台本を見ないようにしています。仕事とプライベートの切り替えを大事にしているというのもあるし、自分だけで考えすぎても、逆にブレてきてしまうので。演出の伊藤マサミさんに言われたことを大切に、そこだけを考えて作って行った方が僕はやりやすいなって思います。オンオフの切り替えは結構得意なんですよ。千穐楽が終わったら、セリフもパッと消えていくんです。千穐楽のワンシーンごとに、成仏されていくというか。それが気持ちいいんですよね。消化しきった、出し切った感じがすごく達成感があります。

坂下 僕は決め事とかは全くないですね。自然に飛び込んでいく感じです。壁とかにぶち当たった時も、まずは1人で考えるタイプ。いろんな人に聞いてしまうと、やっぱり意見っていろいろあるので、やっぱり演出家さんの言葉だけを聞くようにしていますね。聞く人が多いと、わからなくなっちゃう。なので1人で考えて、演出家さんに聞くだけですね。僕の場合は…千穐楽で成仏はしないなぁ。さみしくなっちゃう(笑)。千穐楽ってシーンごとに終わってくと、小道具とかも片づけられていくじゃないですか。それがすごく寂しいんですよね。

三原 そうなんだ。さみしいって言う感覚はないかも。達成感!って感じ。終えられた喜びの方が大きくて。でも…今回は初めてのロスがあるかもしれないね。

坂下 確かに、MAISYのユニット公演に出たときは、dropの公演が決まっていたから寂しさよりも次に向けての達成感のほうが強かったかも。そういう気持ち作りにフォーカスしていたかもしれないですね。

――最後に、公演を楽しみにしているみなさんにメッセージをお願いします!

三原 Hot-Bloodはトップバッターが多かったのでユニットストーリーもやるならば僕らからだと思っていた人も多いかもしれません。そんな、待ちに待った公演ですから、みなさんの期待も上がっていると思いますし、その期待に応えられるように頑張っていきたいと思います!

坂下 そういう意味ではdropは後半のほうになるんだろうと予想はしていたので、心の準備はしっかりとしてきました。他のユニットが良かった分、プレッシャーもすごく感じていますが、それも逆に良いものと感じながら臨みたいと思います。個人的には、ここで終わってしまわないように、覚悟をもって作品に関わっていきたいと思っています。もう一度、グラン・ユーフォリアもやりたいですしね。

三原 楽屋でも、もう一度できたらいいよねっていう話をしてたんですよ。30人がこの1年でもっと仲良くなれましたし、また違う感じになるんじゃないかなと。そういう未来に繋がればと思っています。

インタビュー・文/宮崎新之
写真/篠塚ようこ