舞台『刀剣乱舞』心伝 つけたり奇譚の走馬灯|松田 凌 インタビュー 

©NITRO PLUS・EXNOA LLC/舞台『刀剣乱舞』製作委員会

二人にしかできない加州清光と大和守安定

加州清光が再び舞台『刀剣乱舞』の世界に降り立つ。演じるのは、本公演では「天伝 蒼空の兵 -大坂冬の陣-」に続き松田 凌だ。

「「天伝」でお話をいただいたとき、実はあまり前のめりではなかったんです。それは、加州清光を演じることの怖さをよく知っているから。ミュージカル『刀剣乱舞』で佐藤流司くんが演じている加州清光も見ていたので、正直酷だとも思いました。でも、荒牧慶彦くんをはじめ、いろんな人に背中を押されて飛び込んでみたら、そんな気弱な思いが吹き飛ぶくらい多くのものを『刀ステ』からいただきました。だからこそ、今回はその恩返しの気持ちで、自分に与えられた役目を全うできればと思っています」

本作では、加州清光と同じく沖田総司の愛刀といわれる大和守安定が『刀ステ』に顕現。多くの審神者に待ち望まれた役を、植田圭輔が務める。

「自分にないものをそれぞれ持っているところが、加州清光と大和守安定の関係性の魅力。戦友でもあり親友でもありライバルでもあり、どんな関係にもカテゴライズできない関係を築いているからこそ、この二振りにしかない特別な空気感がある。僕と植ちゃんもまた、お互いが太陽にも月にもなれる関係です。彼が舞台上で光を放つとき、僕は影になれるし、その逆もまた然りで。植ちゃんは愛らしい見た目とは裏腹に、芝居に熱い“漢”。その姿勢にシンパシーを感じているからこそ、僕と植ちゃんなら、二人にしかない加州清光と大和守安定の色を出せると思いました」

そんな大和守安定をはじめ、今回出陣する刀剣男士と共に、昨年、「七周年感謝祭 -夢語刀宴會-」の舞台に立った。あの歓声は、今も松田の耳にこだましている。

「あれだけ大きな舞台で、あんなに大きな歓声を浴びるなんて、奇跡的なこと。あのときはもうちょっとしたトリップ状態でした(笑)。その中で意識していたのは、去り方です。新作公演のロゴに向けて走り去っていく姿を、絶対に格好悪いものにしたくなかった。公演まで約1年という時間が空くからこそ、お客様の期待値を切らさないつなげ方をしたいなと考えていました」

あの頃、思い描いていた「約1年後」がいよいよ現実のものになろうとしている。

「「七周年感謝祭」の出番を終えてハケてきたとき、いろんな刀剣男士の方々が『最高だった』と声をかけてくれたんです。あの瞬間、ここが『刀ステ』の本丸なんだと思った。僕がまだ出ていなかった頃からみんながつないできてくれた歴史に泥を塗らないよう、身も心も捧げるつもりで『刀ステ』と向き合いたいと思います」

インタビュー&文/横川良明

※構成/月刊ローチケ編集部 4月15日号より転載

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【プロフィール】

松田 凌
■マツダリョウ
舞台『刀剣乱舞』など数多くの人気作に出演。近作は舞台『Saga THE STAGE~再生の絆~』など。