©渡辺航(秋田書店)2008/ 舞台『弱虫ペダル』製作委員会
ペダステ最終章に気負うことなく、本気の熱量を届けたい
渡辺航の人気コミックが原作の舞台『弱虫ペダル』(通称ペダステ)の最新作が上演される。主人公・小野田坂道役は新シリーズから3作にわたり主演を務めてきた島村龍乃介が演じる。
ペダステが初めての舞台だったので、最初は坂道を演じられるかよりも、そもそも舞台に立てるのかが不安でした。それに、坂道は自分とは正反対。かなり向き合わないと…と思っていたんですが、稽古に入る前のワークショップから始まり舞台とはどんなものかを知っていく自分の感覚と、初めて自転車競技に挑戦する坂道をリンクさせ、成長していく過程を重ね合わせて演じてきました。実は、坂道が成長して変化していくからこそ、僕の解釈や演じ方がこれで合っているのかな、という迷いもある。今回もまた、しっかりと向き合ってたくさん考えながら坂道を演じていこうと思い
ます。
島村の考える坂道は、とにかく明るくてカッコいい男だという。
坂道はめちゃくちゃカッコいいんです!見た目の印象から、オタクっぽいとかカワイイと思っていらっしゃる方が多いかもしれませんが、やると決めたことはやり切るし、すごく真っすぐで、演じていて本当にカッコいいんです。そのカッコよさを、どう表現したらいいのかは、今も考えています。今回の舞台の中でも、それをどれだけ伝えられるかが目標というか、課題ですね。坂道はとても明るいんですけど、そこが自分とは逆で…自分は気を抜くと暗くなってしまうときがあるので(笑)。そういうときは『坂道はそんなことしない!』って、明るく笑顔の坂道を思い出しています。
演出を務めるのは、かつて手嶋純太役を演じていた鯨井康介。島村は、鯨井からもらった大切な言葉をこう振り返る。
一番大切にするように言われたのは呼吸です。ガチガチに緊張していて、表現が小さくなってしまうときがあったのですが、それは呼吸が乱れてしまっているからなんですよね。日常では普通に呼吸できていますけど、舞台に立つと酸素が足りなくなってしまうときがあるので、そういうときは深呼吸を大事にしています。これは舞台に限らず、いろんな芝居の現場で通用することじゃないかと思っています。
2012年にスタートしたペダステは、本作がシリーズ最終公演となる。ひとつの時代を締めくくる大役を担うことになるが「いつも通り」を心掛けていくという。
最後だからと気負うよりも、いつも通りにお芝居できたらなと思っています。コミックは続いていきますし、最後とは思わないくらいの感覚でやった方がいいんじゃないかなと。僕にとっては舞台の楽しさや面白さを教えてくれたのもペダステ。最後まで、とにかく楽しんでやりたいです!
本作ではインターハイ3日目の模様が描かれ、ストーリーもクライマックス。熱い思いを胸に、物語に挑んでいく。
僕の中では一番熱い舞台。それくらい熱意をもって取り組んでいます。僕だけではなくキャストのみんな本当に芝居に命をかけているくらいストイックです。物語は決まっていますし、きっと結末をご存じの方もいらっしゃるとは思いますが、僕らは毎回マジで勝ちにいっています!その本気を、熱量を、劇場で感じていただきたいです!!
インタビュー&文/宮崎新之
※構成/月刊ローチケ編集部 6月15日号より転載
掲載誌面:月刊ローチケは毎月15日発行(無料)
ローソン・ミニストップ・HMVにて配布
【プロフィール】
島村龍乃介
■シマムラ リュウノスケ
’19年、ドラマ『TWO WEEKS』で俳優デビュー。映像作品、舞台と多くの作品に出演。