舞台『ぐらんぶる』ダイビング稽古合同取材会と座談会レポートが到着!

©井上堅二・吉岡公威・講談社/舞台『ぐらんぶる』製作委員会

人気青春コメディマンガ「ぐらんぶる」が舞台化! いよいよ11月13日(木)より開幕を迎える。本作は、ダイビングショップに居候することになった大学生と、ダイビングサークルの面々や友人たちと繰り広げる、海と酒と青春の物語。キャストにはダイビング未経験者もいるとのことで、10月下旬にダイビング稽古を敢行! 高本学、佐伯亮、立花紫音、横野すみれ、河本景、飯野雄貴、君沢ユウキ、織部典成、松永有紘の総勢9人が参加した、ダイビング体験の様子をレポートする。


ハプニング発生?も笑顔でダイビング体験

都内某所のプールサイドに集まったキャストら9人。すでに水着姿で、少しテンションが上がっている様子。キャスト同士の仲はもう深まっているようで、笑顔で会話を楽しんでいた。

今回の体験は、ウェットスーツを着て、酸素ボンベなどの装備も身につけて行うもの。それぞれにウェットスーツが手渡されて着用しようとするも、ここでトラブルが発生。DDTの現役プロレスラーでもある飯野の身体が大きすぎて、ウェットスーツが入らないという。集合の際の談笑の中で、左右それぞれの胸の筋肉を動かしていた飯野を見ていた高本らが「スーツ入るんですか?」と冗談めかして話していたが、原作の時田さながらの飯野の筋肉がアダとなり、本当に入るサイズがないという事態になってしまった。入らないものは仕方がないので、飯野だけはウェットスーツなしで、地肌にボンベなどの装備をつけることに。

何とか装備を付け終えたら、2班に分かれての体験がスタート。プールに入ってインストラクターからのレクチャーが始まると、キャストらの表情が真剣味を帯びてくる。装備の扱い方やホースのさばき方など、インストラクターの言葉に耳を傾け、バルブの使い方などを学んでいった。レギュレーター(口にくわえる部分)からブクブクと泡が出る様子に、おお!と驚きの声をあげている人も。

一通りのレクチャーが終わり、いよいよゴーグルをつけ、マウスピースをくわえて潜水! 2人ペアになって向かい合って潜水していたが、呼吸をするたびにブクブクと泡が立ち上がり、会話の無い静かな時間が続く。水中ではインストラクターに教えてもらったハンドサインでコミュニケーションを取っていたようで、どのペアも潜水を終えて水上に顔を出した時に笑顔で笑い合っている姿が印象的だった。

また、オクトパス(メインのレギュレーターに不具合があった場合や、バディの緊急事態に貸与する呼吸用の装着器具)をペアになった相手に渡し、万が一の際に備えた訓練も行われていた。ダイビングの楽しさや面白さを体験できている一方で、ともに潜る仲間とは命を預け、預けられているの関係なのだと実感しているようだった。

体験を終えたキャストらは一様にみな充実した表情で、実際に潜ったことで何かヒントを得た様子。この体験で得たものが、舞台の上でどのように活かされていくのか、期待して開幕を待ちたい。

 

ダイビング体験直後のキャストに直撃インタビュー!

――まずはそれぞれご自分の役どころの印象をお聞かせください。

高本 北原伊織役を演じさせていただきます。彼の魅力はたくさんあるんですけど、やっぱり彼を中心として彼の視点で物語が描かれていくので、新しい発見とか出会いとかを一番感じる役どころなんですね。フレッシュに演じられるのがすごく楽しいと毎日思っています。共演したことが無い方も今回はたくさん居て、すごく新しい風を感じています。

佐伯 僕は今村耕平という役を演じます。外見はイケメンで、中身はめちゃくちゃオタクっぽい感じなので、そのギャップを楽しみながら演じています。それで、伊織とのコンビというか、悪友というか(笑)、そういう感じで2人がみんなを巻き込んでいく感じなんですね。僕自身も大学生だったときの感覚も思い出しながら、新鮮にセッションできていると思います。そこをどんどん深めて、いいものを作っていきたいです。

立花 古手川千紗を演じています。千紗はダイビングがすごく好きで、みんなを引っ張っていくような感じです。伊織にはけっこう冷たくて、さっぱりしている性格ですね。そんな一面があるんですけど、その中にも可愛さがある感じの、愛らしいキャラクターでいたいと思ってます。今回は、本当にいろんなキャラクターがいて、魅力的なキャストの方々と一緒にやらせていただけて、とっても楽しいです。

横野 古手川奈々華を演じます。奈々華は一見スタイルが良くてかわいくて、きれいなお姉さん。でも実は妹の千紗を溺愛しすぎていて、原作のマンガやアニメを観ていてもそのギャップが好きなんですよ。まだどうやって表現するか模索中ですけど、そのギャップはしっかり出したいです。あとは稽古場でも男性陣のエネルギーが本当にすごいんですよ。そこに乗っかって、パワーをだして一生懸命楽しむ大切さに気付けてきて、全力でバカやるのってこんなに楽しいんだ!ってなってます。

河本 吉原愛菜役をやらせていただきます。愛菜はとにかく不器用だなって思うんですよ。頑張り方がわからなくて、変な方向に行ってしまって、そこを拾ってもらって居場所ができているような形なんですね。そんな不器用さが愛おしいなって思います。割とみんなと目線を合わせる機会が多いので、打ち解けていく中で、仲間ができるとこんな感じですごく嬉しいんだ、っていうところにもすごく共感しています。そういうところを意識して、この役を全うしたいです。

飯野 時田信治をやります、飯野です。僕は舞台っていうもの自体、経験がないんで、本当に常に毎日が新鮮。すごく刺激的で、毎日、右脳左脳が痛いくらいです(笑)。でも、日々楽しくやらせていただいています。時田はもう、パワー系なので、とにかく体で見せて、言葉も吐き出していきたいと思います!強引で豪快な部分があるので、そこはしっかりだしたいですね。パワー満点で行きます!

君沢 寿竜二郎役をやるんですが、僕もパワー満点、ド迫力で行きたいんですけど、飯野さんというとんでもない人が横にいるので…持ち味が消えちゃうんですよ(笑)。でも本当にチャーミングで素敵な方で、時田と寿でニコイチなところがあるので、2人でこの空気感をつくっていきたいです。強引でパワーがあって、でもなんか明るくて楽しくて。本当にみんなバカみたいだけど、学生時代にこういうところに入ってみたかったな、っていうのを、このみんなで作りたいですね。…でもまぁ、すごいパワハラをお酒でしますが(笑)、ダイビングや海のことへの真剣さとそこの違いみたいな部分をしっかり出せたらすごくいいなって思います。

織部 御手洗優役の織部です。僕と野島はこの中で本当に2人だけ、ダイビングにまったく関係なく、ただただ童貞卒業のためにどうするかばっかりを考えている役(笑)。向こう側の人たちは、ダイビングの良さとか人間ドラマとかいろいろあるんですけど、僕らはそれだけ!アレやコレやといろんな手を使って、みなさんをかき乱していきたいと思います!

松永 本当に僕ら2人だけダイビングが関係ないんですけど(笑)、僕らがいろんなキャラクターと絡んでいけるのは舞台ならではだと思うし、とにかく童貞卒業への執念ですよね(笑)。もうそれが当たり前になってきて、だんだん体の中にその執念が入ってきている感じがします。本当に素敵なキャストが集まっているので、全員で作りあげていきたいです。

――今日、ダイビングを体験されてみていかがでしたか? 以前に潜ったことのある経験者の方もいらっしゃるようですね。

織部 僕はライセンスを取って、取った時以来のダイビングでした。やっぱりダイビングってボンベがあることで長時間潜れて、深くまで潜ることができるようになるんですよ。海の無限大さや広がりは普段味わえないような感覚で、体も地上で歩いているのとは違う感覚なんです。自由になった気持ちをダイビングを通して感じていたので、今日もその感覚が蘇ってきました。

松永 潜っていると、ほわっと海が広がって、魚がたくさんいて…一緒に潜っている人たちもたくさんいるんですけど、音も何も聞こえないんです。自分だけがこの世界を見ているんじゃないかという不思議さと広大さを感じられます。没頭できるんですよね。今日、改めてダイビングっていいものだって感じました。

君沢 知らない人と潜っても同じ景色を見るし、何かあった時は命を助け合う訳で、上がった時には、お互いに名前も良く知らないのに、ちょっと心の距離が近くなってるんですよ。その感じがすごくいいですよね。

立花 私はすごく前に1度潜ったことがあるんですけど、初心者レベルなので、初めての方と同じところからスタートして体験しました。やっぱり水の中で呼吸するのも怖いし、すごく恐怖感があったんですけど、教えていただけて安心して体験できました。潜っている間はほぼ無音だし、泡のブクブクくらいしか聞こえてこない。それが不思議な感覚でした。みなさんとの距離も縮まった気がします。

河本 水の中じゃしゃべれないから、ハンドサインとかを見るんですけど、より相手の挙動に敏感になる感じがして、すごく集中した気がします。稽古前にみんなで一緒にやる準備体操と近いものを感じました。

横野 プライベートでダイビングに行ったことはあるんですけど、海の中がキレイすぎて、ウミガメと一緒に泳いだり写真を撮ったりしてすごく楽しかったんです。今日、久しぶりに水の中に潜ってみて、本物の海に潜りたくなりました。私はインストラクターの役なので、今日は本物のインストラクターさんに教わることができたので、もう完璧です!

佐伯 僕は4年前くらいに沖縄で1回ダイビングしたことがあります。その時の感動は、今もはっきり覚えていますね。他のみんなも言ってたけど、無音になって世界が新しくまた広がったような感じがして。それを体験できるっていうことが本当にすごい。今日は改めて、潜っているときに目をみて意思疎通をするとかをやって、一緒に潜っている人を愛おしく、大切に思う気持ちが芽生えてきました。なんか無駄にハンドサインでコミュニケーション取りたくなったり(笑)。その感覚は、これから稽古場でいきてくるんじゃないかと思ってます。

高本 僕は初めて体験したんですけど、純粋に、海でやってみたいと思いました。プールで体験するだけでもこんなに楽しいのに、海の中で魚とかも見られるとなると、もっと楽しいし、感動するんだろうなと。役を演じる上で、どういう負荷があるとか、水の抵抗があるのかとか、どう表現しようか悩んでいたところでもあるので、今日の経験がすごく勉強になりました。機材とかがあって不自由なところもたくさんあるんですけど、それを忘れるくらい水の中に入って浮いているような感覚がすごく自由で。新しい発見がありましたし芝居へのアプローチが変わる気がします。

飯野 自分は小さい頃から海が嫌いだったんです。海や水が本当に苦手で。小さい頃におぼれたことが合って、嫌々でサーフィンをやらされたこととかがトラウマで。大学の時にも遠泳で1時間ずっと泳ぎ続けるっていうのがあって、それもトラウマで…。水に関してはトラウマしかないので、今日も水深3メートルと聞いたときに「やべぇな」って思ったんです。でもボンベとかいろいろつけて潜っているうちに楽しいと思えるようになってきて、過去のトラウマが今日全部なくなりました! 本当に、これを海でやってみたいと思いましたね。バディが居てくれることも安心できます。ウェットスーツも着れましたし…

君沢 あれ? 着てましたっけ?(笑)

飯野 ウェットスーツが無くても平気でした(笑)

――本作はダイビングとともにお酒の席というのもテーマのひとつかと思います。みなさんはお好きなお酒の飲み方やスタイルはありますか?

高本 僕、飲めないんですよね…。コーラしか飲まないですけど、お酒の席は好きです。飲んで無くても、酔える能力があります。君沢さんが過去に酔った思い出も全部覚えてますよ。

君沢 自分では覚えてないのに…覚えてなくていいから(笑)。コロナ禍以降、お酒の席は減ったんですけど、より一層、自分の好きな人、好きな場所で飲むようになったかもしれないですね。楽しくないお酒を飲んでもしょうがないし、大変な稽古、大変な本番をやって、何かを作りあげた後に分かち合えるものがある中で飲めるお酒は最高です。ずっと笑ってるし、最後は記憶が無い(笑)

高本 記憶も無いし、何を言ってるかもわからないですから(笑)

君沢 僕は寝てるんで、みんなで好きに楽しんでくださいって感じです。

飯野 自分は飲みますね。でも、飲みすぎると自分を制御できなくなっちゃう。歌舞伎町の路上で寝ちゃってて、知り合いに拾ってもらったこともありました。後輩からも「もうやめてくれ」って言われるんですよね。ボトル5本とか空けたり…最近はさすがにちょっと控えていますけどね。飲むともっと明るくなります。

横野 飲む機会はそんなに多くないんですけど、お酒は飲める方だと思います。失敗談とかも無いんですよ…何か用意したほうがいいんですけど(笑)。笑っている人を診て私も笑っちゃう、くらいなんですよね。好きなお酒は、体型も気になるのでハイボールをずーっと飲んでます。

河本 私もお酒は飲むんですけど、本当に決まった仲のいい4人で飲むんです。超気を許してるから、ペースとかも考えずに飲んで、いつも迷惑かけてます。1人、飲まない人が居てその人が全員を送ってくれるんですよ。でも、みなさんと飲む時はちゃんとわきまえます!

佐伯 僕もお酒は飲みますが、そんなに強くない。なのでソフトドリンクが多めです。学生時代のときの方がよく飲んでて、酔い潰れていろいろとご迷惑をかけてしまったこともあるので…今はかなりセーブしています。

織部 僕は1人だとまったく飲まないですね。体質的には飲めるので、先輩とかとご飯に行って居酒屋とかだけで飲んでます。1杯目はビールで、2杯目からはハイボールですね。記憶を飛ばしてしまったのは、朝起きたらトイレの中だった、っていうのが1回だけあるくらいです。でも酒癖は良くて、ちゃんと絶対に家には帰ってるんですよね。

松永 僕は外で飲むことの方が少なくて、だいたい家で1人で飲んでます。ツマミとかもなく、飲む時は食べないんですよね。だいたい麦焼酎のソーダ割で、飲むと寝たくなってくる。外だとそれが制御できないので、家です。お酒を飲むと寝る、みたいにトリガーになっちゃってるんですよね。

立花 私はお酒が好きですね。結構強いので、いろんな種類のお酒を飲みます。みんなで飲むのも好きで結構テンションが上がるタイプ。飲んで楽しくなって、みんなでカラオケ行こう!とかなりますね。最近は1人でも家で飲みたくて、ハイボールグラスとビールグラスを買いました。やっぱり専用のグラスで飲むとおいしいんですよ。でも、日本酒とかも好きなんですよね。

――このメンバーで飲むと、なんだか楽しいお酒になりそうですね。最後に公演に向けての意気込みをW主演の高本さんと佐伯さんにお聞きしたいと思います!

佐伯 今回は初めてご一緒する人がたくさんいて、そういう人たちが集まって、全員でバカなことも全力でやっている子の感じがすごくいいんですよ。演出の村井雄さんも言ってたんですけど、まさに「劇団ぐらんぶる」って感じなんですよ。俺たちは劇団だから、ってすごく言っていて、このみんなで作りあげているから「ぐらんぶる」らしいところもたくさん見えてくると思うんです。多分僕たちもすごく青春していると思うので、そういうところを感じ取ってもらいたいですね。

高本 本当に原作ファンのみなさんは「どうやって表現するんだろう」「裸になるのかな?」「どういう舞台になるんだろう」と期待してくれていると思います。その期待をいい意味で裏切れるように、僕らも稽古の中で新しいことをやって、いろいろと研究して、お客さんに笑ってもらえるように一生懸命取り組んでいきます! 僕はもう、本読みの段階でコレは絶対に面白くなる!と思いました。ここからは役者のマンパワーで、みんなの熱量をしっかり出して、笑えるのに見終わった後にはしっかりとメッセージが残っているような、そう思ってもらえる作品になると確信しています。期待して、劇場に足を運んでいただけたらと思います!

取材・文:宮崎新之