「ハナコ第9回単独公演2025『リストランテ』」|ハナコインタビュー

写真左から)菊田竜大、秋山寛貴、岡部大

『キングオブコント2018』王者・ハナコが今年も単独公演を開催する。ハナコの単独公演では、第6回まで一貫して『タロウ』というタイトルを使用してきたが、第7回よりタイトルを変更。『はじめての感情』『そのうち』ときて、今回は『リストランテ』と名付けた。そこで、そのタイトルに込めた想いや、改めて単独公演にかける想いを聞いた。

――10月3日(金)から「ハナコ第9回単独公演2025『リストランテ』」が始まります。まずは、今回のタイトルの意図を教えてください

秋山 単独公演では、毎回8本前後のコントをやるんですけど、ネタを作って、並びを考えていくという作業が、コース料理を考えることに似ているのかなと思いまして。それで料理関連のタイトルにしないかというのをチームに提案して、『リストランテ』になりました。

菊田 秋山ってその時々に体験したものをネタとかに取り入れることがあるので、このテーマを聞いたときは、最近いいレストラン行ったのかな?って思いました。

秋山 特に体験したからではないです(笑)。コース料理っぽいなというのは、最近というより、ずっと思っていましたね。

――たしかに自信のあるネタを一つひとつ披露していく単独公演は、ちょっとコース料理の作り方と似ているかもしれませんね。単独公演において、並びというのはどのくらい意識しているんですか

秋山 ネタによって毛色も尺もバラバラなので、こっちが先じゃないか、いや、こっちがいいんじゃないかというのは、岡部と毎回結構考えています。それこそ去年の公演では、初日を終えてから、こことここの順番を逆にするだけでもうちょっと伝わるんじゃないかってなって、並びを変えましたね。

――なるほど。ハナコさんの場合、秋山さんと岡部さんが主導でネタ作りをしているそうですが、菊田さんはどのぐらいのタイミングで公演の全貌が見えてくるんですか

菊田 台本がそろってからなので、初日の2~3週前くらいですかね。でも昔に比べたら、だいぶゆるくなってますね。以前は、3日ぐらい前までネタが仕上がってない、なんてこともあったので。

秋山 以前は、携わってくれるスタッフも少なかったので、せっつかれなかったんですよね。

菊田 そんなことも経験してきているんで、最近の単独は準備期間がしっかりあるので、だいぶ「ぬるゲー」ですね。

秋山 じゃあもう少し長ゼリフもいけるってことですね。いいこと聞きました(笑)。

――(笑)。チームが大きくなってきたことで、内容においてもできることが増えたんじゃないでしょうか

秋山 そうですね、技術スタッフさんから演出案をくれたり、こっちが相談した以上のもので応えてくれたりするので本当にありがたいです。前回でいうと、卓球の試合中のコントがあったんですけど、打ち合わせのときに「音が聞こえたほうが、お客さんは想像しやすいけど、まあ無理ですよね。こんなに動くし…」なんて話をしてたら、スタッフさんが音を用意してくれました。本番では、僕らの動きに合わせてそれを流してくれて、より臨場感が出せました。

岡部 あと、最近はオープニングでプロジェクションマッピングをやらせてもらってるんですけど、それによってだいぶライブ自体を上質なものにしていただいているなって思いますね。音楽も思い出(思い出野郎Aチーム)さんが作ってくださるんですけど、それが本当にいいんですよ。

菊田 以前の公演では、変なお願いなんですけど、「出られそうには見えないけど、ギリギリゴリラが一匹通れそうな幅の檻を作ってもらえますか?」って相談したら、本当に絶妙な幅の檻を作ってもらえました。本当にギリギリ、着ぐるみを着た岡部が通れる幅だったんですよ。あれはすごかったな。

岡部 若手のときって、これができたらおもしろいけど、どうやって見せればいいんだろう?みたいなことが多かったんです。でも、最近はチームの力を借りて全部かたちにできるので、本当にありがたいです。

――昨年の単独では、岡部さんの地元・秋田と秋山さんの地元・岡山も行かれましたね。地方での公演はいかがでしたか

岡部 うれしかったです。でも、歓迎ムード過ぎて、コントなのに登場したら拍手が起きて。それでみんなちょっと戸惑ってしまいました(笑)。

――また、いつか地方での公演も…という理想は?

秋山 やりたいですね。ただ、僕らの単独ではセットなどもこだわっていろいろ作っているので、それをそのまま地方でもやるというのが今は難しくて。単独公演は東京で毎年パワーアップさせつつ、地方でも見てもらえるようなシリーズも別軸でやりたいね、というのは話しています。

――改めてハナコさんにとって、単独ライブとは活動の中でどんな位置づけのものなんですか

秋山 「一番いいコント見てもらえる場所」というのは、1回目から変わらず思っています。僕らの全力を出す場所なので、そのときの実力を見てもらえる場所だというプレッシャーも感じながら、毎回やってますね。

岡部 そうですね。いろんなお仕事をやらせてもらってる中でも、ハナコとして一番見てほしいものは、やっぱり単独ライブ。別の場所で僕らに興味持ってくれた人も、単独ライブを見てもらったらもっと好きになってもらえると思うので、ぜひいろんな人に見てもらいたいです。

菊田 単独ライブは、自分がお笑い芸人だと再認識させてくれるというか。お笑いとは少し離れているなと思う仕事もある中、ネタのみを見せる単独ライブは毎年、本当に緊張するんですよ。でも、終わったあとの達成感は、何物にも代えられなくて。これをやりたかったんだよなって再認識させてくれるんです。だから毎年やるべきもの、やらなきゃなって思います。でも、これ僕が言うことじゃないか。

秋山 そんなことないですよ(笑)。菊田さんも毎年参加してるわけですから。

――そんな『ハナコ単独公演』も順調に回を重ねてきて、次が10回目になりますね

秋山 毎年、目の前の公演に必死だったので、もう次で10だというのも考えてなかったですね。先輩たちの「第10回」「第20回」というのを見て、ゾッとしてたんですけど…。継続ってやっぱり大事なんですね。

岡部 僕も次が10回目というのを今日初めて意識しました。

――では、最後に改めて『リストランテ』に興味を持ってくれている方へ、メッセージをお願いいたします

秋山 ハナコの単独を毎年楽しみにしてくださっている方には、今年も期待していただきたいですし、見たことのない方もぜひ、お笑いを生で見る入り口として来ていただきたいですね。きっといい入り口になるはず。できるようにがんばりますので。今回は東京公演しかなくて申し訳ないんですけど、『リストランテ』と名づけましたので、家族なり友達なり、ひとりでも、思い出作りとしてでもぜひ、来ていただけたらと。遠方の方はぜひ配信でご覧いただけたら嬉しいですね。

岡部 2時間じっくりコントを見ていただけるのは単独しかないんで、やっぱりここが一番見ていただきたい。贅沢なレストランへ行くつもりで、僕らの単独に思い切って来ていただきたいなと思います。

菊田 お笑いライブは、生で見るのが最高におもしろいと僕は思ってて。それをいろんな人に体感してほしいので、ぜひ会場で僕たちのネタを見ていただきたいです。

インタビュー・文/梅山織愛
写真/ローチケ演劇部