写真左から)亮太、押田
一昨年、『キングオブコント2024』決勝に進出し、ネタの面白さが多くの人に知られることとなったシティホテル3号室。2025年に開催した初単独公演『ジワニモマケズ ダサニモマケズ』でも爆笑の渦を巻き起こした。が、その場で押田が11年前に結婚していたことが明かされ、ライブの感想はその話題一色に……。今年7月25日(土)・26日(日)、座・高円寺2での第2回単独公演『無隠(ムガクレ)』を控える二人に、初単独の振り返りや第2回への意気込み、さらに今年の『キングオブコント』について聞いた。
霧が晴れた押田、階段を昇る亮太
─今回の単独公演について伺う前に、昨年の第1回単独公演『ジワニモマケズ ダサニモマケズ』について振り返っていただきたいです
押田 最後のコントで僕が結婚を11年間隠していたことを明かして、それまでちゃんとネタでウケていたのが全部なしになってしまったあの単独ですね。
亮太 なしにはなってないだろ(笑)。あれは本番1か月前くらいに(押田の結婚が)わかったので、コントにしたら面白いかなとやってみたんですが、その部分への反応がすごくて。正直、思った以上に本ネタが薄まってしまったのは事実ですね。
押田 僕はそれまでずっと黙っていたことを言えたので、あれから毎日がすごく楽しいです! 空が今までより青く見えるし、空気もおいしく感じるし。
亮太 確かに押田の笑顔が増えました(笑)。
押田 やっぱり嘘ってよくないですね。新しい自分になれました。
亮太 ただし、信用は一旦全て失ったので、事務所の人たちとの人間関係も白紙になって、0から再構築する1年間ではありました。
押田 特にキュウの清水(誠)さんからは不信感を露わにされました。でも、清水さんとはそこから今までを取り返すように距離が縮まったので、結果としてよかったです。
亮太 そう、これまで押田ってただただ“付き合いの悪いヤツ”だったんですよ。
押田 ライブ終わりの打ち上げも参加せずに帰っていたので。でも家庭があるからだとわかってもらえて、ウエストランドの(河本)太さん、ネコニスズのヤマゲンさんといった家庭のある先輩たちが親近感を持ってくれたりもしました。ただ、社長の信頼がまだ取り戻せていない気がするんだよな……。
亮太 こんな感じで、振り返ってみてもネタの話が一切出てこない(笑)。

─ぜひ、ネタの話も伺わせてください。初の単独公演を経て、昨年のキングオブコントは惜しくも準決勝で敗退となりました
押田 一応、ネタの話もしますか。
亮太 一応って言うな(笑)! ネタは、しっかり面白いものができたなという手応えがありました。反応もよかったですし、そこからキングオブコントにネタを持っていけましたし。決勝には行けませんでしたがいいコントにはなったので、「面白いものを出す」という部分は初単独である程度実現できたのかなと思います。
押田 ネタは全部亮太が作っているので……、僕はとにかく、霧が晴れました。
亮太 またプライベートの話になってるな。十数年前から同じ形でやってきてはいるけど、どんどんよくなっている、階段を昇っている感じがあります。評価とは別の、あくまでも僕自身の感覚ですけど。
─押田さんのプライベートの変化が、ネタのパフォーマンスに反映されていたりも?
押田 一昨年キングオブコントの決勝に行けて、去年単独公演を初めてやったことで、「ちゃんとネタをやってるぞ」という芸人としての軸を示せた。だからもう僕は自分の好きなことをやろうと、個人で単独ライブを始めまして。1人で1時間恋バナをして30分脱ぐ『赤裸々』というライブはもう去年から3回やりましたし、『成功者セミナー』というセミナーも2回開いています。だから第2回単独を成功させたら、さらに好きなことをやろうと。
亮太 え、好きなことをするためにネタをやってる感覚ってこと? 「ここだけやっておけば怒られないだろ」みたいな?
押田 うん。
─押田さんにとっては、ネタが宿題のような感覚?
押田 あ、まさに!
亮太 ネタ作ってコンビのこといろいろやって、どちらかといえば宿題をやってるのは僕なんですけどね。
押田 普通、好きなことをやってる方がコンビの外交担当として芸人さんと交流を深めて仕事に繋げるものですけど、僕は飲みに行かないので、全部亮太がやってる。僕は亮太から「この空欄だけ埋めといて」と言われて、それだけやって「いってきます!」という状態かもしれない。亮太には感謝ですね。
亮太 ……まあ、押田が結婚を隠していたのも、こういう一面も、結果的にウケてしまえば何でもいいので。

追い風が吹いていなくても
─さて、いよいよ1年ぶりとなる第2回単独公演についてお聞きしたいです
亮太 初単独から1年経ってさらによくなっている状況を見てもらいたいです。昨年はネタ以外の部分をかなりシンプルに構成しましたけど、今回はもう少し凝ってみようかなと思っています。今回の「無隠(ムガクレ)」というタイトルは、僕が印象が薄いとよく言われるので、亮太=印象が何もないヤツの無、押田=隠蔽の隠という意味も込めています。1年前の押田の事件をまだフックにしようとしている気持ちも若干あって(笑)。「もう隠すものは何もありません」という意味でもありますし、仏教用語で「無隠(ムイン)」という言葉があって、「隠すところのない晴れやかな非常にいい状態」らしいです。いろんな意味が込められています。
押田 だから、隠れない=目立つように、ビジュアルでも目立つ格好をして。
亮太 前回のフライヤーは景色に馴染む服装でしたけど、今回は景色に馴染まない格好にしたんです。自分たちでもかなり気に入ってます。
押田 ちなみにこれ、うちの実家の竹やぶです。
──そうなんですか! 立派な竹やぶですね。押田さん、今回の単独に向けた準備は何かありますか?
押田 僕個人での準備は……、ないです。亮太に頑張ってネタを書いてもらう。ネタ合わせにはなるべく協力する。
亮太 押田は今年に入ってから、大きいライブで連続でネタを飛ばしてまして。そういう意味でも、しっかりネタ合わせはしてもらわないと。
押田 でも、一度ネタを飛ばしておくとその部分がミスりづらくなるので、僕としては必要なミスなんですよね。
亮太 飛ばしたタイミングで見たお客さんにそれを言えるのか!
押田 まあまあ。でも、うん、しょうがない。飛ぶときは飛ぶ。
─ちなみに、単独公演は今後も恒例にしていこうと?
押田 まず僕から言いますと、亮太次第です。亮太に聞いてください。
亮太 今のコメント、必要あった!? たまたま2年連続になりましたけど、1年に1回必ずやるとは決めていないです。ただ、まだ東京でしかやったことがないので、全国のいろんなところでやりたいという気持ちはありますね。あとは、過去のネタを全部並べてベストなネタを10本、15本並べるようなライブもやってみたい。どちらにしても、ネタはずっとやっていくので、何かしら多くの人に知ってもらえるような活動はしたいとは考えています。

─最近、お二人が所属するタイタンは事務所全体で盛り上がっている感じがありますね。30周年ライブも話題になりましたし、ウエストランドはもちろんのこと、ネコニスズ、春とヒコーキといったコンビも注目を集めていますし
亮太 本当ですね。昔から「少数精鋭」と言われてきましたけど、それぞれが精鋭としてより強くなれたらと思います。
押田 M-1チャンピオンはもういるから、次は僕らがキングオブコントで優勝して、コントのチャンピオンを担えたら。
─そのためにも、単独ライブでネタを磨くわけですね
亮太 普通は5、6月に単独ライブで披露した新ネタをキングオブコントに向けて磨く人が多いと思うんですけど、今回は時期的にも予選直前なので、キングオブコントでやるであろう勝負ネタの、仕上がりきったものをやることになると思います。もちろん新ネタもあります。
─亮太さんはネタを作る時、どうやって勝負ネタを選び、磨いていきますか?
亮太 いろいろあります。設定を思いついた時点で「これは絶対面白くなる」と確信できるものがたまにあるんですよ。そういうネタは、お客さんに見せた時に思った通りの反応が来なくても「伝え方の問題だな」と思えるから、諦めずにそれをどう見せるかの工夫をしていく。逆に、思いついたときは「まあまあかな」というネタでも、押田に話した時の反応とか、お客さんに見せた時の笑いとかで「あれ、意外といけるか?」とよくなっていくものもあって。両方とも、準決勝以上のネタまで育っています。
─決勝を経験した後では、お客さんの反応も変わると思いますが……
亮太 先輩方から言われました。「一回決勝行ったら、マジでウケ方変わるぞ」と。でもね、変わらなかったです。少しも。
押田 追い風を待ってたんですけど、吹く様子が一向にない。
─私がライブでお二人を拝見する時は、いつもとてもウケている印象ですが……
亮太 追い風ではないです。普通に、その面白さ分ウケている感じ。ウケが加算されている感じはまるでない。
─それは、ただただお二人のネタが最強ということなのでは?
亮太 だとしたら、そこに追い風が吹いたらどんなことになるんだろうと思うじゃないですか!
マネージャーさん 亮太は相方の結婚に11年間気づかなかった人ですから、追い風に気づいていないのかもしれません(笑)。
─ちなみに先日、ファイヤーサンダーさんは「僕らが一番面白い」とおっしゃっていました
押田 追い風吹いてるヤツの発言だな(笑)。
亮太 袖で見ててわかる、あいつらには追い風吹いてる。僕らはずっと追い風待ちですよ。でも、風が吹かなくても、『キングオブコント』で優勝するつもりです。
押田 向かい風でも、優勝への扉をなんとかこじ開けます。

取材・文/青島せとか
撮影/ローチケ演劇部
