こんな時代だからこそ、笑いで勇気づけられたら
今やこのライブツアーが1年の楽しみとなっているファンも多いだろう。サンドウィッチマンの全国ライブツアーが今年も開催される。ふたりの新作ネタが存分に楽しめるこのライブツアー。ネタの面白さもさることながら、その規格外の上演時間もひそかな楽しみのひとつとなっている。
富澤「こっちは1時間30分を目安で準備しているんですけど、なぜか長くなってしまいますね」
伊達「気づいたら3時間30分とかになっている。去年の仙台では5時間近くかかったので、エンディングでは新幹線とか飛行機の都合で帰ってる人もいました」
その理由のひとつが、ふたりによる「客イジり」。ネタに入るまで1時間以上観客をイジることも、ライブでは「通常運転」だ。
伊達「たとえば一番前の席がひとつだけ空いてたりすると、なんでかな?と思って隣の人に聞いてみるんですよ。そしたら、ちょっと遅れているっていう話で。だったら待ちましょうかということで、あれこれ他の人にも話を振っているうちに、気づいたら1時間経ってるという」
富澤「早くネタをやれよと思ってる人もいると思うんですけど、中にはイジってくれという人もいて。僕らも頭おかしい人が多いんだなと思いながらやっています(笑)」
伊達「お客さんがノせてくるんです。だから長くなるのはお客さんのせいです(笑)」
富澤「うちわをつくってくる人とかを見ると、やっぱり気になるし」
伊達「長いなと思っている方は、そういうことはやめていただけると(笑)」
ファンにはおなじみ、サンドウィッチマンのライブには欠かさず駆けつける「小島さんイジり」も、ライブの定番だ。
伊達「『今日小島さん来てますか?』って聞くと立ち上がるんですよ。いなければイジらないんですけど」
富澤「どうしても来ちゃうんでね」
伊達「イジりに関しては事前の打ち合わせは一切なし。だから長くなりすぎて、よく富澤からツッコまれています(笑)」
富澤「伊達が振りだから、伊達からいかないとネタに入れないんですよ」
伊達「今年こそは予定通り1時間30分で終わるつもりでいこうかと。1時間30分で終わったことはないですけど(笑)」
数々のテレビ番組で活躍するサンドウィッチマンだが、やはりその真骨頂はライブだ。
伊達「僕らにとってこのライブツアーは主戦場。ふたりでネタを考えるのが楽しくて。もちろんしんどくもあるんですけど、やはりこういう時間は必要だなって思います」
富澤「新ネタをやるときは今でも緊張します。やりながらウケないところは微調整して。だから、最初の方の公演と最後ではわりと違うものになっていることもあります」
時には、生ならではのハプニングもある。
富澤「去年はある会場で、幕が開くときに引っかかってテーブルがひっくり返ってしまうハプニングがあって。でも、俺は伊達の後ろについて入っていくので、舞台上は何も見えない。ただ、伊達が立ち止まっているから、何だこいつ早く行けよと思ったら」
伊達「目の前でテーブルがひっくり返ってて。泥棒でも入ったのかなと(笑)」
「笑う門には福来る」「笑って損した者なし」という諺もあるように、いつの時代も笑いが与えてくれる力は、きっと大きい。サンドウィッチマンの所属するグレープカンパニーの公式YouTubeチャンネルでも、現在、過去ライブのネタがいくつか公開されており、ファンが「興奮してきたな」というお約束のフレーズをコメント欄で連発するのが、一種の様式美となっている。
富澤「バカのひとつ覚えみたいにね(笑)。それは冗談として、皆さんにそうやって楽しんでもらえるのはありがたいことです」
伊達「いろんなイベントが中止になって、外に出られない分、テレビなりYouTubeなり見てもらって、ネタを通してとにかく勇気づけて、気分が沈まないようにすることが芸人の仕事なのかなと。だから、いっぱい見て、いっぱい笑ってほしいです」
富澤「外出自粛で疲れている中、僕らが笑いを発信することで何かの力になるなら嬉しいし。ついでにDVDも買ってもらえるなら、なお嬉しいんですけど(笑)」
インタビュー・文/横川良明
Photo/山本倫子
※構成/月刊ローチケ編集部 5月15日号より転載
※写真は本誌とは異なります
掲載誌面:月刊ローチケは毎月15日発行(無料)
ローソン・ミニストップ・HMVにて配布
【プロフィール】
サンドウィッチマン
■サンドウィッチマン ’98年、伊達みきおと富たけしによって結成。’20年、ビデオリサーチによる男性タレント人気度ランキングで4連覇を達成。