東京ホテイソン 第1回単独公演「洒落柿」 東京ホテイソン インタビュー

2022年は新しいモノを連発する1年に
初の単独ライブツアーは、目指す未来への第一歩

 

M-1グランプリ準決勝進出4回、2020年にはファイナリストとなるなど、着実に笑いの実力をつけている東京ホテイソンが、ついに待望の単独ライブツアーを開催する。「洒落柿」と題し、コントなどこれまでに見せたことのない東京ホテイソンを露わにしていくという。どのような想いで単独ツアーに臨むのか、2人に話を聞いた。

 

――まずは単独ライブツアーが決まってどんなお気持ちですか?

たける やりたいなとは思っていたので、第一歩が踏み出せてよかった。でも、落語をやりたいって言ったんですけど、『えっ?』ってマネージャーに即却下されました(笑)。とはいえ、他にもたくさんやりたいことがあるのでトータルで楽しくやれたらと思います。

ショーゴ 僕はネタを作る側なんで…どうなるかわからないんですけど、決まったからにはやるしかない。まだ具体的なことは浮かんでないんですけど、まずはシンプルに漫才をたくさん作れたら。それで、ちょっとコントもやってみようかな?


――お2人のコントは新鮮ですね。単独ライブだからこそ挑戦したい?

たける そうですね。あんまりやったことないし、単独だからこそのネタをやりたい。コントは単独じゃないとやらないと思うので、それに挑戦できるという部分はあります。コントの時の自分たちなんて、想像もつかないけど。

ショーゴ コントをやってみたい気持ちはあって、1回挑戦したんですよ。でも、相方と目が合わなくて。なんか役に入っている感じが恥ずかしくなっちゃうんですよね(笑)

たける そこを、入りすぎないというか自分たちが自分たちでいられるようなコントを出来たらなーと思います。


――単独ライブにはコンビのカラーが強く出ると思いますが、自分たちのカラーをどういうふうに作っていきたい?

ショーゴ ふざけているというか、変なこと言ってるなーっていう、バカ騒ぎなイメージでやりたいですね。にぎやかな感じが一番!

たける そうですね。でかい声だして、バカみたいなことをしたいね。


――ここ最近のご自身のネタの手ごたえや変化は感じている?

ショーゴ 年々、違うことはやっているので、今回の単独で大幅に違うことをやってみたいな、という気持ちはあります。けっこう、大きめに飛んでもいいのかな、と。

たける やっぱり、この単独を足掛かりに賞レースでも優勝できたら…とか、そういう想いはあって、目指しています。

ショーゴ チャレンジっぽいこともやりたいし、漫才はラストイヤーまでにM-1で優勝できたら。今のネタをやりつつ、違うこともできたらとは考えています。


――M-1ではこれまで、ファイナリスト1回、準決勝4回という成績を残しています。特に2020年にファイナリストになってからは世間の認知度も大きく上がって、変化を感じることも多かったのでは?

たける シンプルにお仕事をいっぱいいただけるようになりました。街で声をかけていただくことも増えましたし、そのあたりも目に見えて体感できたことだと思います。

ショーゴ ネタ作りの面では、ハードルが上がった。ただ準決勝まではいける自力はあるんだ、ということは確認できたので、あとは決勝でびっくりするようなネタを持っていけばいいだけ、と、意外とシンプルな考えにはなりました。シンプルに面白く、いい意味で裏切れるようなネタを作ろうと思えました。


――ネタ作りで大切にしていることは?

ショーゴ やっぱり、1発目で誰よりもうんと大きな笑いを取るということですね。1発目のツッコミがウケないと、2発目3発目は面白くてもウケない。1回目は大事なんです。


――やっぱりツカミは大事なんですね。そうなると単独1回目も大事ということになっちゃいますね。プレッシャーは感じている?

ショーゴ やっぱり、スベれないっていうのはあります。でも、チャレンジはしたいので、みなさんに受け入れてもらうっていうのが大事ですかね。

たける 僕らは漫才なので、もしウケなかったら次の公演では変えよう、とか、そういうことができるんです。もちろん、最初から一番いいクオリティのものを出していきたいとは思っているんですけどね。


――単独公演までにどういうことを準備しておきたい?

ショーゴ 5月6日からなんで、4月6日までに全部のネタを決めたいですね。残りあと3日で、まだ2本できてないとかは無しで。

たける でもそういうのザラにあるよね。

ショーゴ そう!そういうのは本当に大変なので、4月6日までに全ネタ出来ていて暗記も大丈夫、あとはもうやるだけの状態にして過ごす!


――新ネタをそこでたくさん下ろすとなると、やりこむ時間を考えたら1カ月前には終わらせたいところ、という感じですね。なんとなくネタは浮かんでいる?

ショーゴ これとこれはやろうか、くらいのアイデアはありますね。でも僕ら、結局ダメってなることも多いんで…。

たける 例えば今出している案が100%全部、ネタになるかと言ったらそういうわけでもない。本当にギリギリになって、やっぱりこのネタはダメだってなることもめちゃくちゃあるんです。


――ネタが固まるまでにはどれくらいの時間をかける?

ショーゴ 僕らの場合、1回出してウケたらほぼほぼ変えないんですよ。例えばネタの中に4つ動きがあって、1、3、4は残して2だけ変える、みたいな調整ができないんですよね。やっぱり最初のインパクトも大事だと思いますし、そこまでに何カ月もかけてやる感じです。


――ネタってどういうところからヒントを得てる?

ショーゴ 最初に、こういうことをしよう、みたいなところから決めていく感じですね。例えば2020年M-1でやった「アンミカドラゴン新大久保に出現!」は、2人でネタの話をしているときに、テレビにアンミカさんが映っていて、それで「アンミカドラゴン」っていうフレーズが降ってきたので、どうしてもこれを言いたいね、ってなったんですよ。そのためにどうしようか、って考えて謎解きのネタだったら…って作っていきましたね。この間の「信長とガンディーのオールナイトニッポン」もたけるがどうしても言いたいって言いだしたんで、言わせます、って。

たける なんでしょうね、リズムなんですかね。回文ネタもリズムで覚えるというか。でも、なんで言いやすいとか、言いたいとかはわかんないです(笑)

ショーゴ やってみると七五調だったりとか、早口言葉と同じリズムだったりとかがあるんですよね。

たける そういう聞き心地のいいフレーズとかを自然にやってるのかな?


――仕事が充実してくると、プライベートも充実させたくなると思うんですが、そのあたりはいかがですか?

たける 俺は…なにも考えずにひとりで過ごせる時間が欲しくなりました。以前は、時間があれば外に出て先輩とかと遊びたいって思っていて、もちろん今も楽しいんですけど、それとは別にひとりの時間も欲しいと思うようになりました。サウナがずっと好きなんで、ひとりでサウナにも行きたいし、金沢にサウナで有名なところがあってそこに行きたいんですよ。あとは、ひとり旅とか、死ぬほど寝たいとか(笑)。忙しくて、とかじゃないんですけど、自分の時間が欲しいと思うようになりました。なんか、普段テレビとかを見てても「あ、これツッコミのワードでいけそうだな」とか考えちゃうので、もう、何にも考えずに1日過ごす日が欲しいな、と。


――ひとりの時間を充実させるものは?

たける ウマいメシを食べることですね。一番メシの欲求が強いです。安くてウマいとかじゃなくて、とにかく高いもの!高いと大概ウマいじゃないですか(笑)。でも、結局は肉とかなんですよね。しょっちゅうできることじゃないんで、贅沢にいこうと思います。


――この時期のカニはいいですね。ショーゴさんはいかがですか?

ショーゴ 逆に僕はずっとインドアだったんで、外に出たいという気持ちになってきましたね。ジムに行く時間は確保しつつ、遊びたいなと思うようになりました。本当は後輩とかと行きたいんですけど、後輩に奢れるほどのお金はまだないので…

たける いや、コイツはシンプルに奢りたくないだけですよ。それをこうやって逃げてるんです(笑)。

ショーゴ 奢るんだったらお金を気にせずに奢りたい。理想は、高級焼肉に行ったり、高級なお酒が飲めるお店でシャンパン飲め~とか言って、お寿司行って、それで帰りにタクシー代に10万くらい渡すとかね。それをやるには、あまりにお金がなさすぎる。

たける タクシー代10万とかバカなの?タクシー代あげたことないから、金額がわかってない(笑)。

ショーゴ じゃ1万くらい?でも後輩10人いたら10万じゃん。そういうのを毎日したいんですけど、できないんで。


――往年のスター芸人の振る舞いですね。みみっちく奢るのは違うぞ、と。お話を聞いていると、以前とは逆になっている感じがしますね。以前はたけるさんがアクティブに外で誰かと遊んでいて、ショーゴさんがインドアでおひとりが好きな印象でした。

たける そうかも?今でも、先輩やみんなと飲みに行ったりするのは楽しいんですけどね。

ショーゴ もう、家でこの世の動画は見尽くしたんですよ。見るものがないんです(笑)

たける 俺もこの世のアウトドアは全部したから、中で過ごしたいです(笑)


――あとはやっぱり、人気芸人といえばモテたいとか?

たける それよりも、大金持ちになりたいんですよ。それが一番大きい。まずはそっちからですね。

ショーゴ 俺も女性とかじゃなく、お金ですね。


――そこは一致しているんですね(笑)。

たける だから今は、目の前の仕事を頑張るしかないです。結局はそれが一番ですね。

ショーゴ 地道にやっているYouTubeだったり、もちろんネタだったり。テレビに出させていただくことももちろんです。面白い、と思ってもらえる人を少しでも増やしていきたい。

たける 単独公演をちゃんと続けていく、ということもこれからは大事かな。シソンヌさんとかみたいに、毎年単独をやっていてチケットが取れない!とか、ライブってすごいらしいよ?とか、そうなっていければ素晴らしいですよね。


――そのためにも、今回の第一回はしっかりインパクトを残したいですね。

たける そうですね、ちゃんと次につなげられるように。

ショーゴ 今、やっていることをちゃんとやる、ってことですね。


――結果的に、芸事への真面目さが出ていますね(笑)。今後、自分たちを跳ね上げるために、どんなことが必要そうですか?

ショーゴ 人となりを知ってもらうこと。そのためにYouTubeとかもやっているし。ネタって、人間性まではわからないじゃないですか。型に入っているんで。YouTubeだったりとか、ラジオもやらせてもらったりとか、そういうところで地道に広報活動していくことですね…。あとは、僕もガタイがまだ全然すごくないんで。たけるも、もっと太って漫才師っぽくなれば、説得力が出ると思いますね。

たける あとは、僕もショーゴも、もっと先輩方と飲みに行ったりしたほうがいい。したほうがいい、というかできるようになるのが一番。結局、芸って飲み会から生まれる傾向がやっぱりありますから。今でも飲みに行ったり、仲良くしてくださる方はたくさんいるんですけど、松本人志さんとかレジェンドのような方とはまだ席を並べたことがないんです。現場で揉まれることももちろんなんですけど、じゃないところでご一緒することが大事になってくるんじゃないかな。


――松本さんというレジェンド芸人のお名前が出てきましたが、今、あこがれていたり、目指しているような芸人さんがいたりします?

ショーゴ 以前現場で、野生爆弾のくっきーさんとご一緒したんですけど、ずーっとふざけていらっしゃって、すごいなと思いましたね。あのゾーンに入ると、もう無敵じゃないですか。


――ずっとふざけ続けるって、結構難しいことですもんね。

たける くっきーさんはすごく面白くて好きなんですけど、でも、僕はそのタイプではないと思うので目指す、となると違うんですよね。何かしら面白いことを続けられたらとは思うんです、どこでもいいから。YouTubeなのか、テレビなのか、なんなのかは分からないですけど。前はこの人みたいになりたい、ってありましたけど、今はなくなりました。結局、その人がすでにいるわけですからね。独自で何か考えていけたらと思いますね。


――やっぱりオリジナリティが大事ということですね。そこで、ここ最近でお互いに「ここが面白かった」「組んでてよかった」と感じたことはある?

たける え、なんだろ…最近?

ショーゴ うーん、声がでかいところ?


――たけるさんの声については、ずっと良いとおっしゃってますもんね

ショーゴ あとは…カンペが読めること!最近、ミニコーナーとかでたけるがMCになることがあるんですけど、ちゃんとカンペが読めるんですよ。通販番組だったんですけど、声がいいし、しっかりやっていてすごくよかった。僕は、ちゃんとやらないと!ってなると、できなくなっちゃう。それは組んでてよかった、って思いましたね。やっぱり多少はしっかりしたことできる奴とじゃないと、ダメなんだなと。


――そこを任せられる、預けられるというのはありがたいですね。たけるさんはいかがですか?

たける やっぱりネタが書けるってことは、スゴイ。1から100は簡単でも、0から1はすごく難しい。生み出す能力があるというのはスゴイですね。ネタだけじゃなく、YouTubeの企画とかも。僕は一切考えていないので、そこはスゲーなと思います。あとは、体毛が少ないことですね。自分が濃いので(笑)


――(笑)。体毛は処理されているんですか?

ショーゴ いや、もともと薄いですね。相方に気に入られるように、これからも薄くしていきたいと思います。薄毛を目指して頑張ります!

たける ネタの口調になってんじゃん(笑)。


――(笑)。YouTubeの企画を考えるのは楽しい?

ショーゴ カメラマンが1人しかいなくて、本当はもっとすごいことをやりたいんです。できない中で、できないなりにやる、っていうのが大変ですね。今、登録者は6.6万人くらいなんですけど、66万回再生されている動画とかもあるんですよ。このYouTube飽和時代に、これくらいの登録者数で再生が回ると、やった!っていう気持ちになります。知名度のある人でも、YouTubeではなかなか再生が回らないことも多い中で、30万再生とかが出てくると嬉しいですね。制限がある中でも、企画がバズった、ってことですから。


――いろいろと変化がありそうな今年ですが、どんな年にしていきたい?

ショーゴ 単独が近いこともそうですが、ネタ番組も増えてきたので、クリエイティブな年にしていきたいですね。漫才じゃないところでも、新しいものをどんどん作っていけたらと思います。

たける やっぱりM-1で優勝したい。芸人自体も多くなってきていますし、そこから抜きん出るには優勝しないと厳しい。もうひとつ上に行くためには、単独公演もM-1優勝につながるものにしていきたいです。


――では、10年後くらいのビジョンは?

たける MCとかをやれるようになっていたらうれしいですね。やっぱりMCにはあこがれもあります。そして、冠番組があれば!

ショーゴ 深夜とか小さな枠でも、面白いことやってるなぁって思ってもらえるような冠番組を持って、その番組がネット配信されて、ランキングでいつも7位くらいに入っていたいです。「この番組いつも7位くらいにいるな」って認識してもらえるような、安定した冠番組を持ちたいです。


――そんな未来への1歩となる単独公演、楽しみにしているファンにメッセージをお願いします

たける お客さんも楽しめるように、そして僕らも楽しめるようにいろいろやっていこうと思っているので、来てほしいですね

ショーゴ コントもやるし、映像もあるし、漫才もやります!東京ホテイソンを好きでいてくれていて、いつもとちょっと違うところを観たい方はぜひ来ていただきたいです。

 

インタビュー・文/宮崎新之
Photo/篠塚ようこ
※取材日:2021年12月

 

※構成/月刊ローチケ編集部 2月15日号より転載
※写真は誌面とは異なります。

掲載誌面:月刊ローチケは毎月15日発行(無料)
ローソン・ミニストップ・HMVにて配布

 

【プロフィール】
東京ホテイソン
■トウキョウホテイソン ボケ担当・ショーゴとツッコミ担当・たけるによるお笑いコンビ。’15年結成。M-1グランプリ2020ファイナリスト。