写真左から)盛山晋太郎、リリー
テレビで活躍中のお笑いコンビ・見取り図が9月21日(土)、大阪・靭公園センターコート特設会場にて開催する「見取り図盆踊り」。人気コンビが、単独ライブでもなく、フェスでもなく、「盆踊り」を主催するのは前代未聞のこと。この想像のつかないイベントについて、本人に聞いた。
とにかく盆踊りが好きだから、やってみたかった
──そもそも、この「見取り図盆踊り」の企画はどんなきっかけで始まったんですか?
盛山 僕がとにかく盆踊りが好きなのでやってみようと。とにかく「盆踊りがやりたい!」というだけでスタートしたんで、規模感とか、どうやってやるかとか何も想定してなくて。そしたらあれよあれよと動いていって、今です。
──リリーさんは盛山さんのこの発案をどう思われましたか?
リリー 本場の盆踊りってそういえばちゃんと見たことないじゃないですか。だから見てみたいなと思いました。
──会場は大阪・靭公園センターコート特設会場。ふだんライブなどをやるような場所ではないですよね?
盛山 テニスコートです。360度見晴らしがよくて、ちょうど盆踊りにいいかなっていう。お笑いライブなんてたぶん一度もやったことのない場所ですよ。でも、交通アクセスがものすごくいいです。都会のど真ん中にあるんですよ。真横に交番があるんで、何が起きても大丈夫。警察官の人も踊ってくれへんかな。
──やはり第1回は大阪で開催したいと?
盛山 河内音頭が聞きたいなというのがあって、だったら本場大阪がいいかなと。河内音頭の歌い手である河内家菊水丸さんが来てくださいますからね!
──大阪で盆踊りとなると、河内家菊水丸さんの存在はやはり外せないわけですね
盛山 そうですね、えーと、「菊水丸さんありき」と書いといてください。こういうの、菊水丸師匠めっちゃ見てるんで。
リリー だいじょうぶやろ(笑)。
盛山 河内音頭の神様ですからね。知らない人もおるかもしれませんけど、あの人は師匠と呼ばれてる人でいちばん毛量多い人ですから。
リリー ずっと変わらんもんな。
盛山 大阪の人にも来てほしいし、東京とか遠方の方にもぜひ大阪の文化を見てほしいですね。
リリー 本場の河内音頭は東京ではなかなか見れないですからね。俺も生で見たことないくらいやから。
盛山 この伝統を途絶えさすわけにはいかないんで。菊水丸師匠はTUBEのような人なんです。夏になると現れるという。
──盛山さんはなぜそんなに盆踊りが好きなんですか?
盛山 単純に、楽しいじゃないですか。日本人ってめっちゃ恥ずかしがり屋ですけど、盆踊りだけは唯一、みんながはっちゃける伝統という感じがするんですよ。昔、地元の堺で若い人たちが盆踊りを踊ってたんです。それが、イメージしていた盆踊りと全然違って。ブレイクダンスのようなステップで、やぐらのまわりをめっちゃ高速で回転してたんです。混じって踊ってみたらめっちゃ楽しくて。全員で輪になって回るって、なんかそれだけで笑っちゃうじゃないですか。
ぶっつけ本番で踊れる芸人たちを集めた
──出演者にはカベポスター、コットン、さや香、ニューヨーク……と見取り図のお二人を含めて15組もの芸人さんが発表されています。このみなさんは、ネタをされるんですよね?
盛山 そうです、盆踊り+お笑いライブです。
──人選のポイントは?
盛山 これはもう、空いてる人から押さえていきました(笑)。ほとんど同世代ですね。ギャロップという、群を抜いたハゲ先輩もいますけど。
リリー 確かにギャロップさんだけ群抜いてるなあ。
盛山 にしても、出演決まった誰からも反響なさすぎるんですよ。たぶんこいつら全員、「見取り図盆踊り」と名前がついただけの、ただのお笑いイベントとしか思ってないんじゃないですかね。
リリー いつものライブのつもりで来たら、当日びっくりするやろな。
盛山 芸人ってほんまにだらしない生き物なんで、事前に自分が出るライブとかイベントのことを調べるとか全くしないんですよ。だから全員わかってない。だって誰一人SNSで告知してくれてない!
リリー 踊るなんて絶対わかってないんちゃう?
──では、この芸人のみなさんがぶっつけ本番で踊る姿を見られるわけですね
盛山 そういうことも急にお願いできるように、同世代にしました。あとギャロップさんと。
──ギャロップさんは先輩だけど無茶振りも大丈夫なんですね(笑)
盛山 はい。でも、盆踊りって無料で見るものじゃないですか。チケット代9,800円なんですよ。正直高い。だからこそ、これだけ払ってもちゃんと楽しんでもらえる、その満足感をどう与えられるかいま一生懸命考えてます。ゲストのみんなにも協力してもらいたいなと思ってますね。LIVE STAND(吉本興業主催のお笑いフェス)みたいな感覚で、ふつうにお笑いフェスだと思って来てほしいんですよ。そこに盆踊りがくっついてる、と思っていただけたら。
──2年前にはお二人はオリジナルの盆踊り「もりちゃん音頭」(下記にて動画掲載!)をYouTubeにアップされましたよね
盛山 ほんまに怖いのが、5年以上続いてる僕らのYouTubeチャンネルで、もりちゃん音頭が全然再生数回ってないことなんですよ。なんならいちばん金かけたのに。
リリー めっちゃ手間かけたのにな(笑)。
盛山 場所借りて、許可とって、やぐらも立てて、スベった。だからやっぱり、踊りって映像で見るもんじゃないのかもしれん。
リリー 体感してこそなんでしょうね。
いま見取り図がチャレンジをする意義
──見取り図さんはテレビでも活躍されていて、わざわざこんなチャレンジングなイベントをやらなくてもいいのに、あえてやられるのはなぜですか?
盛山 いやいや、やらなダメですよ。これを成功させて、会社の中のランクも上げていきたい。
──大きめのイベントを単独で打てるコンビという箔をつけたい?
盛山 そう、『華大どんたく』(※1)もそうですし、『コヤブソニック』(※2)もそうですし。
リリー 自分たちでこういう規模のイベントをやる人たちは限られてるんでね。
盛山 お笑いと音楽のフェスはよくありますけど、これは踊りですから。といっても、基本お笑いのフェスと思ってもらえたら。音楽は菊水丸師匠が全部担ってくれるので。今回の盆踊りを成功させて、「見取り図盆踊り」が夏の風物詩になればいいなと思います。
──「見取り図盆踊り」について、いまいちばん楽しみにしていることは?
リリー 個人的には子どもにたくさん来てほしいなって思いますね。お笑いを知らない人、興味ない人も、祭りの雰囲気に惹かれて来てくれたらいいなと。それで「お笑いってこんなおもろいんや」と思ってくれる子もいると思うし。
盛山 ファミリーで来てほしいな。芸人たちに下品なネタしないように言わんと。見たことない巨大な盆踊りサークル作りたいです。ほんまに大阪に竜巻できるぐらい。あと、みなさんには芸人さんの浴衣姿を楽しんでほしいですね。なのでお客さんも、浴衣で来ていただけたら雰囲気出ると思いますよ。みなさんと一緒に踊る予定でいるんで、ぜひいろんなところを触ってあげてください。女性芸人はダメですけどね、熊元プロレス(紅しょうが)だけはOKかもしれません。
リリー あかんやろ(笑)。
──最後に、「見取り図盆踊り」に興味を持っている方にひとことお願いします
盛山 3,000~4,000人規模でやる予定ですから。まつりはやっぱり現場に行かないと、ということで配信なしにしたので、この空気感を味わってほしいです。とにかく迷ってる方は、もしよかったら見たことない巨大なサークルを見に来てください。
リリー 基本お笑いライブって受け身ですけど、「見取り図盆踊り」は体験型のライブなんで、一緒に楽しみましょう。
インタビュー・文/釣木文恵
撮影/明田川志保
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※1)『華大どんたく』:2024年2月、多くの芸人たちが参加し、博多華丸・大吉の結成33周年を記念して福岡PayPayドームで開催されたイベント。https://hanadai-dontaku.com/
※2)『コヤブソニック』:2008年7月から開催されている、アーティストはもちろん芸人たちも集う小籔千豊 主催のフェス(公式サイトhttps://www.koyabusonic.com/)。今年開催のチケット詳細はローチケ(webサイト) よりご確認ください。