『やっぱなんでもない』│ハナコ・秋山寛貴&かが屋・加賀翔 インタビュー

写真左から)加賀翔、秋山寛貴

ハナコ・秋山×かが屋・加賀がお客さんと築き上げた
「やっぱなんでもない話」ができる心の拠り所

2022年7月からハナコの秋山寛貴とかが屋の加賀翔が、毎月開催しているトークライブ『やっぱなんでもない』。話しているとき、「やっぱなんでもない」と言い淀んでしまうようなことをふたりが自由に自然体で話す。このトークライブの30回目の公演が12月11日(水)に行われる。改めてこれまでのライブを振り返りながら、『やっぱなんでもない』のこれからを聞いた。

ふたりの仲を縮めたおにぎり

──これまで2年半近く、ふたりでトークライブを開催してきましたが、そもそもおふたりの出会いはいつごろになるのしょうか?

加賀 初めて会ったのは2015年くらいですね。コルっていうマセキ芸能社の芸人が主催していた『コルッペライブ』にふた組とも呼んでもらって。ハナコのほかにも黒猫の背中(※浅井企画に所属していたコンビ)とかいましたね。

秋山 コルとか黒猫の背中とか伝わらないから(笑)。

加賀 そのとき、ハナコさんはラジオ体操のネタをやってたんですけど、そのおもしろさが圧倒的に強いというか本当に若手か?みたいな衝撃だったんですよ。

秋山 2015年だと、ハナコとして活動を始めて1年目くらいですかね。でも、かが屋もそのときすでに若手の中ではおもしろいらしいみたいな噂が広まってましたね。そのあとライブで一緒になったときに袖からネタを見てびっくりしたのを覚えてます。

──そこでの出会いから、おふたりが話すようになったきっかけは覚えてますか?

秋山 『コント村』っていうライブを上田(航平)さんとザ・マミィ林田(洋平)の4人でやってたんですけど、それをやるために僕が加賀くんと仲良くなりたくて、「おにぎり食べよう」って連絡したんですよ。

──おにぎりですか?

秋山 僕がお酒を飲めないのもあるんですけど、雑誌かなんかで「ぼんご」っていう有名なお店の特集を見て、行ってみたいなって思っていたタイミングだったので、「おにぎり食べよう」って誘いました(笑)。

加賀 行きましたね~。でも、おにぎりだからすぐ食べ終わっちゃって、ファミレスでひたすらしゃべりました。

秋山 そうだ、最初はやっぱりコントの話がすごいできるなって印象だったんですけど、共通点が多くて、コント以外話せることが多かったですね。

お客さんも含めて作り上げてきた“信頼”

──「やっぱなんでもない」と言ってしまう話も、これまで積み重ねてきたおふたりの関係性があるからできる部分もあるのでしょうか

秋山 それはめっちゃあります。ユニットコントや番組も一緒にやりましたし。でも、このライブを始めてからその信頼はさらに厚くなりましたね。最初は加賀くんだから話せるって理由でトークライブをやろうって誘ったわけじゃなく、加賀くんも僕みたいに「やっぱなんでもない」って言い淀んでしまうような話がありそうだなと思って、一緒に話そうよって誘ったんです。でも、回を重ねるごとに加賀くんが聞き手だから話せてるなって実感してます。

加賀 僕も秋山さんが聞き手だからっていうのは大きいですね。

秋山 この人にこの話したら違う方向に持っていかれるだろうとか、この相手ならゆっくり聞いてくれるかもしれないとか、人によって話せる話せないってあるじゃないですか。その中で「やっぱなんでもない話」に関しては、加賀くんが聞き手としてめちゃくちゃいいですね。

加賀 秋山さんって実際に先輩なんですよ、関係性としては。

秋山 どういうこと?(笑)

加賀 実際に2個上で同じ岡山出身で。だから別の出会い方をして、先輩になっていた可能性もあるし、まったく出会わなかった可能性もあるんです。だけど、秋山さんはなんでもおもしろがってくださるので、興味を持って聞いてくれる力がすごいあるんです。だからその優しさというか、実際に先輩してもらってるなっていつも思っています。

──毎月トークライブをやっているからこそ、よりお互いへの信頼が増しているんですね

秋山 そうですね。それにお客さんも何度も来てくれている方が多いので、なんでもない話をする場として環境が整いきってますね。最初はどれぐらい楽しんでもらえるのかなとか、これ言ったらどういう反応されるかな?とかも思っていたんですけど、回を重ねるごとに、こういうライブなんだっていうのをお客さんもわかってくれて、ここじゃないと話せないことがどんどん話せるようになりましたね。

加賀 そうですね。それに1カ月に1回だと、ちょうど毎月楽しみにして生きていられるんですよ。週に1回とかだとちゃんと仕事になっちゃうというか。

秋山 たしかにちょうど聞いてほしいタイミングで、加賀君とお客さんに会えるっていうのはめちゃくちゃいいですね。

加賀 不思議なんですけど、僕は自分たちのラジオよりもこのライブのほうが、本当っぽいことしゃべれているかもしれないです。直接お客さんの顔を見れるっていうのもそうなんですけど、お客さんに対しても心を許せていますね。

──お客さんも含めておふたりが心地よくしゃべれる場ができている?

秋山 トークライブとはいえ、オチまでちゃんと考えて、みたいなテーマはそんなにないですね。むしろすごくふんわりしたテーマを投げかけてみて、そこから加賀君とお客さんに広げてもらうみたいな。あと、僕はコントの題材にしたいけど伝わるか微妙だなみたいなテーマを、ここで投げかけて反応を見るとかもありますね。実際にネタにしたものも過去にありますし。

加賀 ラジオと違って身振り手振りもできるので、よく話してるうちにミニコントが始まったりもしますね。

変わらない空気感でこのまま続けたい

──12月にはついに30回目の開催を迎えます。ライブを始めたときから、ここまで続くという想定はあったのでしょうか

秋山 できたら定期的にやりたいですっていう意思は伝えてたんですけど、始めるときはこんなに続くとは思わなかったですね。

加賀 もう、2年以上やってますもんね。そもそも毎月やれるとは思ってなかったですし。

──節目となる30回目の公演には、おふたりが「本日も絶体絶命。」(https://x.com/honjitsumo_zz)で共演している中島結音さんがゲスト出演されるそうですね。10回目のゲスト・男性ブランコ平井さん、20回目のゲスト・戸塚純貴さんとはまた少し違った方ですが、どんなトークになりそうでしょうか?

秋山 コントでも嫉妬しちゃうくらいおもしろいんですよ。台本に沿いつつ、崩したり外したりもできる。その塩梅にこっちがわくわくしちゃうんです。だから、普通にしゃべってみたいなっていうのはずっと思っていて。

加賀 現場でもとにかく明るいんですよ。逆に「やっぱなんでもない」とか言うことがなさそう(笑)。

秋山 たしかに結音ちゃんは「やっぱなんでもない」ことを選別するのが難しいかもしれないですね。なんでも話せそうだもんね。

──9月には大阪でも開催されましたが、おふたりの中で今後、このライブを発展させていきたいなど野望はありますか?

加賀 どうですかね。でも、今のままだとどうしても来れない人もいるので、配信とかなにかしらのかたちで観られるパートがあってもいいのかなとは思いますね。

秋山 そうですね。ただ、限られた人にしか観られてないからこそ話せる話もあるので、ショート動画にしたり、ちょっと手を加えたかたちで発信するとか…。ライブはこれまでと変わらず続けていきたいです。

──このインタビューを読んで興味を持ってくれる方もいると思うので、最後に読者の方へのメッセージをお願いします

加賀 このライブと相性が悪い人はそもそもこのライブの情報にたどり着かないんですよ(笑)。だから、このインタビューを読んでるってことは、相性がいいということなので、何も心配せずライブにも来てほしいです。

秋山 たしかに(笑)。普通はこんなひっそりやってるライブのインタビュー記事にたどり着かないですから。読んでくれた方はぜひ、一度来てほしいです。

インタビュー・文/梅山織愛
写真/ローチケ演劇部