
驚愕のテクニックと独創的なスタイルで数々の衝撃作を生み出し、世界中に熱狂的なファンを持つベルギーのダンスカンパニー、ピーピング・トム。映画のワンシーンを思わせる舞台空間で繰り広げられる、圧倒的な身体表現による彼らのステージは、ダンスや演劇といった枠を超え、最高にスキャンダラスなダンスエンターテインメントとして観る者を惹きつけてやまない。
カンパニーの集大成にして最高傑作との呼び声も高い本作『トリプティック』の開幕に先駆けて、この度、本公演のトレーラーが公開。また、NDT版『トリプティック』に出演し、世界の名だたるダンスカンパニーで活躍を続け、現在はクリスタル・パイト率いるダンスカンパニー、Kidd Pivot(キッド・ピボット)に所属するダンサー、鳴海令那から推薦コメントが届いた。
トレーラー
ピーピング・トム『トリプティック』トレーラー
推薦コメント
鳴海令那(ダンサー/NDT版『トリプティック』出演)
ピーピング・トムの舞台に出演して、キャラクターを「演じる」というより、その世界の中で実際に「生きている」と感じられる感覚がとても新鮮で、アーティストとして大きなインスピレーションを得る機会になりました。
日本で3作品すべてを客席から拝見できるのを、今からとても楽しみにしています。
この特別な作品が、たくさんの方々に届きますように!
鳴海令那 プロフィール
3歳からクラシックバレエを始め、15歳より仏、カナダで研鑽を積む。2009年よりクリスタル・パイト率いるKidd Pivot、2011年より独ヴィースバーデン州立劇場、2013年よりスウェーデン王立バレエ団、2015年よりネザーランド・ダンス・シアター1 (NDT1)に所属。スウェーデン王立バレエ団マッツ・エック振付『ジュリエットとロミオ』で主役を務め、2015年ダンスヨーロッパ誌の最優秀ダンサーに選ばれる。
現在はKidd Pivot に所属する傍ら、ゲストアーティストとして様々なプロジェクトに参加。クリエイションから係るパイト振付『REVISOR / 検察官』、『Assembly Hall』がオリヴィエ賞を受賞。
三部作を再構築して魅せる特別なステージ
ピーピング・トムの集大成にして最高傑作『トリプティック』
舞台は客船。洋上の客室で、ひと癖もふた癖もある男女がおりなす不吉な夜。
不安は現実となり、夢は悪夢と化す。過去へと追い詰められる男たちと、狂気に憑りつかれた女たち。
絶望の淵で、愛を求めてさまよう魂がたどり着く先は——。
『トリプティック』は、オランダを代表するダンスカンパニー、NDTの委嘱作として誕生した三部作『ミッシング・ドア』(13年 カリーソ演出)、『ロスト・ルーム』(15年 シャルティエ演出)、『ヒドゥン・フロア』(17年 シャルティエ演出)を、ピーピング・トムが自身のオリジナルキャストで再構築した、まさにディレクターズカット版となる特別なステージである。
『ミッシング・ドア』では無数に並んだ客室の扉に焦点を当て、続く『ロスト・ルーム』では船内のとあるキャビン、『ヒドゥン・フロア』では忘れ去られた船底のバンケットルームが舞台となってパフォーマンスが繰り広げられる。各パートをつなぐ舞台転換も見どころのひとつだ。
不穏に閉ざされた世界の中で、卓越した身体能力を持ったダンサーたちによる目を奪われるようなステージは、ダンスや演劇といった枠を超え、かつてないスリリングな感動を呼び覚ます。
ピーピングトムについて
ベルギーを代表するダンスカンパニーLes Ballets C. de la B.の中心メンバーとして活躍してきたガブリエラ・カリーソと、フランク・シャルティエによって 2000 年に結成。未知なるダンスの創造を目指してカンパニーを「ピーピング・トム=覗き屋」と命名。
ダンサー、俳優、オペラ歌手ら、国籍も、世代も多様なアーティストたちが生みだす驚異のパフォーマンスは、伝説の舞台としてダンス史にその名を刻み、次代のピナ・バウシュと称されてきた。
人間技とは信じがたいオリジナルなムーブメント、他の追従を許さない独創的なスタイルで全世界の熱狂的な支持を集めている。現代社会の抱える闇へと果敢に切り込み、最も過酷な場面でさえ、美しさとユーモア、愛に満ちたエモーショナルなステージとして名高い。ネザーランド・ダンス・シアターやリヨン・オペラ座、ヨーテボリ・バレエ、マルセイユ・バレエなどへの作品提供多数。『ヴァンデンブランデン通り 32 番地』、『ラ・ルータ』で、英・ローレンス・オリヴィエ賞「最優秀ダンス作品賞」受賞。“見逃してはならないカンパニー”の上位に名を連ねる。