撮影/友澤綾乃
俳優・ダンサーの森山未來が世界的なクリエーターたちと協同する『STILL LIFE -スティル・ライフ-』が日本初演される。共演はアルゼンチン出身の名ダンサーとして名高いダニエル・プロの関係を見つめ直す」意欲作の日本ツアー開幕を控える森山に意気込みを聞いた。
――ダニエル・プロイエットさん、アラン=ルシアン・オイエンさんとの創作に至る経緯は?
二人とは長い付き合いです。この作品はダニエルと一緒にスタートし、その後アランに入ってもらいました。2024年1月に創作を始め、ブエノスアイレス、神戸、パリ、オスロでの滞在制作を経て世界初演しました。その後ヨーロッパ各地で上演し、今回日本ツアーが実現します。
――創作の原点は何ですか?
ダニエルとの共通する話題は舞踏でした。僕は舞踏の創始者と呼ばれる土方巽さんが、抽象的で詩的な文字のつらなりから身体を立ち上げていたこと、その言葉と体の関係値に興味を持っていました。そしてダニエルは日本の文化への関心が深く、同じく舞踏家の大野一雄さんの身体やパフォーマンスに興味を持っていたこともあり、舞踏の本質的な部分をどのように作品に落とし込めるのかを二人で探るところから始まりました。

――「人間と自然の関係を見つめ直す」というテーマに発展したプロセスをお聞かせください。
アランに振付・演出をお願いしたのは、彼が言葉と体の関係性 、言葉から立ち上がる想像力と身体を意識しているからです。三人になってからは、人間が作り出している社会と自然との関係が断絶していることに対して、どのように関わっていくのかに焦点が絞られていきました。作品名の「STILL LIFE」つまり静物画は、フランス語で「死せる自然」という意。土方さんに「舞踏とは命がけで突っ立った死体である」という印象的な言葉もあります。各地での滞在制作を経て三人のコミュニケーションが深められていき、最終的な作品が立ち上げられていったように思います。
――ダニエルさんのダンサーとしての印象は?
本当に美しいダンサーです。バレエ出身でもあり身体の特定の部分を動かす際の可動域が広く、コントロールも強いですね。触れあって踊る場面もたくさんあるので互いに信頼しながら、コミュニケーションをとっています。

――アランさんとの協同作業はどのように行われたのですか?
アランはクリエーションの中で僕とダニエルから生まれた身体や言葉のマテリアルを集め、それらを組み合わせて最終的に作品にしていきました。制作の中でアランとは様々なディスカッションを行いましたが、最終的に彼の中で整理されていき、自分の理解を超えていく部分もありました。朗読するテキストでは「別のテキストを書いてみた」と言って渡され、まったく関係なく作られたマテリアルに組み込むこともあります。こういったことはよくあるプロセスではあります。けれども、アランは人間的に柔らかく、すべてを受け入れてくれる人です。

――神戸出身ですね。神戸での滞在制作に始まり、このたびの日本ツアーは神戸文化ホールの企画制作・招聘です。神戸から発信することへの思いとは?
神戸は港町であり、その流動的な風土は文化にもつながっています。ある土地に固まらない滞在制作が僕の性格に合っています。都市であろうと田舎であろうとローカルから立ち上げる作品は、ある種の独自性をすでにはらんでいます。そこからグローバルへと移る流れを目指していきたいと考えています。
――公演に向けてメッセージをお願いします。
ヨーロッパの第一線で活躍している振付家であるアランの世界観をしっかり堪能してもらいたいです。ダニエルも素晴らしいダンサーです。日本から、神戸から端を発してクリエーションした作品の凱旋公演をぜひ見届けてください

取材・文/高橋森彦
ヘアメイク/河西幸司 (アッパークラスト)
スタイリスト/杉山まゆみ
衣裳/ジャケット・シャツ・パンツ、レーススカート、オペラシューズ(以上、すべてLAD MUSICIAN/[問]MUSICIAN HARAJUKU)
※Backerの「a」の字は、文字の上に点が2つ付いたドイツ語の(アーウムラウト)が正式表記
