フランス×日本 現代サーカス交流プロジェクト『フィアース5』演出家ラファエル・ボワテルのコメントとトレーラーを公開!

撮影:片岡陽太

2024 パリ五輪に向けた文化イベントでも注目を集める演出家ラファエル・ボワテルら現代サーカスの今を担う若きサーカスアーティストたちによる国際共同制作が再び実現!

世田谷パブリックシアターでは2023年10月、世田谷アートタウン2023関連企画として、フランス×日本 現代サーカス交流プロジェクト『フィアース5』を上演。

構成・演出は、本場フランスの現代サーカス界を牽引するラファエル・ボワテル。彼女は、過去にジョセフ・ナジやフィリップ・ドゥクフレなどが担当したことでセンセーションを巻き起こしたフランス国立サーカスアートセンター(CNAC)の卒業公演シリーズで、2021年に行われた第32期卒業公演のディレクターに抜擢されるなど、常に脚光を浴び続ける気鋭の演出家・振付家。自身が率いるカンパニー・ルーブリエも、つい先月(2023年9月)、2024年のパリ五輪・パラリンピックに向けた大規模文化プログラム「カルチュラル・オリンピアード(Cultural Olympiad)」の⼀環として、パリのパレ・ロワイヤルを舞台に「ホライズン(Horizon)」というパルクール作品を披露したことで、世界的に注目を集めている。

日本では2019年に世田谷パブリックシアターが、本邦初となるカンパニー・ルーブリエの招聘を実現し、『When Angels Fall/地上の天使たち』(2019年・世田谷パブリックシアター)を上演している。オリジナルの装置を用いた迫力あるパフォーマンスや高度なサーカステクニック、ダンス、演劇の要素を取り入れた独自の世界観は、私たちに大きな衝撃を与えた。

そして2021年秋、彼女と日本の若き現代サーカスアーティストたちは、現代サーカス交流プロジェクトと銘打たれた日仏国際共同制作を敢行。日本のことわざ「七転び八起き」から想を得たラファエルの代表作の一つ『5es HURLANTS』(2015年初演)をベースに、コロナ禍の中で苦心の末に生み出されたのが『フィアース5』である。

粘り強さ、勇気、連帯によって不可能を可能にしていく“アーティスト5人の成長譚”緊迫感に満ちたパフォーマンスが生み出す壮観なスペクタクル!

本作は、ダンス、エアリアル、綱渡り、ジャグリングなど、多彩なサーカステクニックを融合させ、サーカスの世界に生きる人々がもつ、幾度となく困難に直面しつつも必ず立ち上がってみせる“粘り強さ”を表現し、“アーティスト5人の成長譚”を等身大で描く作品。

それぞれのパフォーマンスに全身全霊をかけ、倒れては立ち上がり、挑戦し続けるアーティストたち。そしてついに本番の幕が上がるー。舞台上で繰り広げられる緊迫感に満ちた彼らのパフォーマンスは、コロナ禍を生きる人々の日常とも重なり、2021年の初演時には大きな反響を呼んだ。

「常にリスクと向き合い限界を超えていくサーカスと、そこで生きる人々へのオマージュであると同時に、人生のメタファーでもある」とラファエルが語るとおり、作品の中で、粘り強さ、勇気、連帯によって不可能を可能にしようとするアーティストたちの姿は、コロナ禍に限らない普遍的な希望のメッセージとして私たちの心を揺さぶる。

2023年の今秋、本プロジェクトは台湾からも新たなメンバーを迎え、再び創作期間を設けて、さらに発展させた『フィアース5』をリクリエイションする。


国境もジャンルも越えたボーダーレスな日仏台のコラボレーション
滑っても、落ちても、転んでも、必ず立ち上がる̶。アーティストの魂の叫び!

出演は、エアリアルアーティストとして幅広く活躍している長谷川愛実、ジャグリング&音楽集団ながめくらしつ主宰・演出家・ジャグラーの目黒陽介、サーカスアーティストとして活動し、本作で初めてタイトロープ(綱渡り)にも挑んだ吉川健斗ら初演から続投のメンバーに、2名の新たなメンバーが加わる。

台湾を拠点に活躍するアンブローズ・フー(胡嘉豪)は、武術家から転身したエアリアルアーティスト。2021年に当劇場でも映像上映を行った台湾屈指の現代サーカスカンパニー、フォルモサ・サーカス・アート(FOCA)の元メンバーで、現在はエアリアルの可能性を探求しながら実験的な作品を自ら創作するなど、世界各地で精力的に活動している。しなやかに鍛え上げられた肉体が生み出す超人的なテクニックと中性的で情緒あふれる表現で、作品を発表するたびに話題となる稀有な存在である。

浅沼圭は、元日本代表新体操選手の経歴を持ち、現在はコンテンポラリーダンサーとして、2020東京パラリンピック閉会式や森山開次『サーカス』(2015年初演)『NINJA』(2019年初演・いずれも新国立劇場)をはじめ、幅広いジャンルの作品への出演や、振付、創作も行うなど、ダンサーという枠を超え、自由な身体表現を軸に多様なフィールドで活躍している。2021年に行われた本作のオーディションにも参加していた浅沼は、今回満を持しての出演。これまで彼女が培ってきた表現の豊かさが、『フィアース5』に新たな息吹をもたらす。

本番へ向けて始められているリハーサルでは、新メンバーが驚くほど早くチームに溶け込み、すぐにきわめて結束が固いカンパニーが形作られた。日々白熱する稽古場では、互いに刺激を与え合いながら、続投メンバーのパフォーマンスもさらに磨き上げられるというように、まさにリアル『フィアース5』(=アーティストたちの成長譚)が生まれている。

卓越した身体能力と表現力を兼ね備えた日仏台の若きサーカスアーティストたちがコラボレーションすることによって、作品、アーティスト、劇場空間が秘めるポテンシャルが最大限に引き出され、サーカステクニックをふんだんに魅せながら、『フィアース5』はさらなる進化を遂げていく。
滑っても、落ちても、転んでも、必ず立ち上がり、幕をあけるー。アーティストの魂の叫びを、ぜひ劇場で体感してほしい。

撮影:片岡陽太

演出家コメント

ラファエル・ボワテル(構成・演出)

この秋に、世田谷パブリックシアターで再び『フィアース5』を上演できることをとても嬉しく思います。
ワイヤー、エアリアルフープ、ストラップ、ジャグリング、アクロダンスなど、専門分野が異なる多国籍のアーティストと共にこの作品を創り上げました。この作品のためにデザインしたスパイダーと呼ばれる装置を使い、非常にエモーショナルで、壮観なスペクタクルをお届けします。
この作品では“粘り強さ”について描いていますが、今日の世界では“粘り強さ”が非常に重要であると言えます。私がアーティストとして日々の生活を送る中でヒントとしている大好きな日本のことわざから、自由にインスピレーションを得ました。そのことわざは「七転び八起き」です。
このプロジェクトは私にとってはとても重要で、まさに交換と継承と出会いのプロジェクトなのです。さらに、日本の皆さんと出会うための本当に素晴らしい機会でもあります。
皆さんにお会いできるのを心から楽しみにしています。

『フィアース5』トレーラー