ブルーマングループ ジャパンツアー 2024│ブルーマン事務局員・中村浩昭 インタビュー

ブルーマンに会いに行こう!
ブルーマン事務局の中村さんに聞く「ブルーマン」の楽しみ方

ステージを観たことがなくても、どこかで出会ったことがある。この夏、彼らが帰ってくる!
ブルーマンが日本に上陸してからはや17年。彼らの誕生から現在までをよく知る、ブルーマン事務局の中村さんに話を聞いた。

「ブルーマン」はちょっと敷居が高い「高尚なエンターテインメント」かと思いきや、娯楽性の高い「参加型エンターテインメント」だと中村さんはいう。
1987年にニューヨークで誕生したブルーマン。大学を出たばかりの親友3人が、顔を青く塗って、ジャケットを着て、ニューヨークの大通りを棺桶を持って行進したり、高層アパートからグランドピアノを落として破壊したりと、驚くようなパフォーマンスをしたのが始まりだ。
その後、1991年にニューヨークの小さな劇場で「ブルーマングループ」という画期的な作品が生まれ、以降、世界20カ国以上で上演され続けている。日本初上陸は2007年。六本木の専用劇場でロングラン上演され、4年強で延べ80万人以上を動員した。

ブルーマンは常に3人!

ブルーマン未体験の人は、そもそも何人いるのか?と思うかもしれない。ブルーマンは常に3人で、その「3人」にも意味がある。

「ドラムボーンという楽器は大きなパイプを上下左右することによって音が出ます。2人が上下左右にパイプを動かして音階を上下し、3人目が叩く。そのため、3人いないとできません。このように、彼らは3人いるからできるショーを次々と考案していきました。3人というのは、2:1になる、仲間割れの最小人数で、ショーのほとんどがその仲間割れの構図です」

ウルトラマンだけ共演OK

ブルーマングループは他のキャラクターとの共存を禁止しているが、唯一ウルトラマンだけはコラボの実績がある。その理由はウルトラマンが大好きだから。日本との縁もいろいろとあるそうだ。

「ニューヨークのアスター・プレイス劇場に行くと、以前はウルトラマンの人形が置いてあったり、ウルトラマンのシュワッチポーズがパフォーマンスに出てきたりします。だから、ウルトラマンとのコラボはぜひやりたいと。ウルトラセブンとウルトラマンとバルタン星人の3人が舞台に立って、一緒にパフォーマンスをやったこともあるんですよ」

バラエティー番組形式

ブルーマンの一番の面白さは、会場が一体となって楽しむエンターテインメントであること。日本人にも馴染み深い、1時間のバラエティー番組を思い出してほしい。10分ずつのコーナーがあり、どんどん転換していく形式になっている。『8時だョ!全員集合』『オレたちひょうきん族』『めちゃ×2イケてるッ!』などを思い出してもらうとわかりやすいかも。さらには、老若男女が楽しめるファミリーショーでもある。

「子どもがやったら怒られるようなことを、ブルーマンがやって代弁してくれます。その辺に落ちてるものを叩いて楽器にしたり、以前のパフォーマンスでは、大量のトイレットペーパーを会場中に広げたり。会場全員で大人も子どもも楽しめるのがいい。直径3メートルぐらいあるボールをブルーマンとお客様でアタックし続けると、いい大人も喜んで立ち上がっちゃう。僕自身もそうでしたが、子供や友達を連れて行ったら、100%みんなが大笑いしてくれて、面白かったと喜んでくれます。終演後ロビーで私がカメラを持ってお客様の感想を聞くと、一緒に来た仲間全員で「ブルーマン最高!」と叫んだり、一人で来た若者が『明日、会社に行くのが憂鬱だったけど、ブルーマンを観たから頑張って行きます』と元気を出してくれたり、本当にそういう人が多いです」

ブルーマンとコネクト

ブルーマンが一番大切にしているのは「コネクト」。過去の日本公演ではそれを強く実感する出来事もあった。

「2019年名古屋公演で、ショーの途中ステージ上で機構トラブルが起き、20分ほどショーができなくなりました。それでも『演奏を続けて』という指示にショーを中断することはありませんでした。皆さんトラブルには全く気づかず、『100分のショーが今日は120分もあった』と喜んで帰られて。今年になってそのときに出演していたキャストが、『あの日のショーは忘れない。これもお客様とのコネクト。お客様と繋がることによって、20分間アドリブだけでも楽しいショーができたのは、お客様が我々をずっと見てくれたから。我々もお客様と音楽を通じて繋がったからだ』と言っていました」

常に進化するパフォーマンス

構成は昔からのメインパフォーマンスが半分、新しく変化するパフォーマンスが半分。常に進化してくので、何度見ても飽きない。

「メインは変わらないですが、テクノロジーが進化していくので、見せ方がどんどん豪華になっています。メインパフォーマンスであるペイントドラムは、一見テクノロジー満載のようで実はアナログ。リズミカルに叩きながらも、実は機構のスイッチとなる右のペダルを踏んで、左のペダルを踏んでと器用なことをやっていて。またニューヨークにはブルーマンの秘密基地があり、新しい楽器やパフォーマンスを開発しています。今年のショーでは10個以上のパフォーマンスがあります」

観客も巻き込まれる!?

観客を巻き込んでくれるのも楽しい。

「お客様は皆、ショーを観ながら大笑いします。子供達はもちろん、普段舞台に接する事のない大人たちもです。付き合いで来たネクタイをした大企業の偉い方達も最初は腕を組んでしかめっ面で観ていても、徐々にブルーマンに喋らされたり、立たされたり、思わずリアクションが出てしまう。ブルーマンは自然と笑いをとるような観客の巻き込み方をします。毎年何回も来てくれるファンの人たちは『参戦した』と言いますね」

前方のポンチョ席では近さと巻き込まれる楽しさが、2階席や3階席ならば、全体が見えるからこその綺麗な光景に出会えるという。新たな劇場では2階席や3階席にもブルーマンがやってくるかも。

ブルーマンとコネクトして、みんなで楽しい思い出を共有する。今年の夏は、ブルーマンに会いに行こう!

インタビュー&文/岩村美佳
撮影/江森康之

※構成/月刊ローチケ編集部 8月15日号より転載
※写真は誌面と異なります

掲載誌面:月刊ローチケは毎月15日発行(無料)
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【プロフィール】

中村浩昭
■ナカムラ ヒロアキ
’01年よりブルーマン日本公演の権利獲得のための交渉、制作委員会設立、劇場建設、日本上陸プロモーションに携わる。’07年12月、「ブルーマングループ」アジア初の東京公演開幕。現在はブルーマンジャパン事務局で様々な業務に携わる。