サーカス・シルクール『ニッティング・ピース』|北欧を代表する現代サーカスカンパニーが6年ぶりに世田谷パブリックシアターに登場!

© Karoline Henke

北欧を代表する現代サーカスカンパニー、サーカス・シルクール
10 年にわたる世界ツアーを経た人気作とともに、
6 年ぶりに世田谷パブリックシアターに登場!

サーカス・シルクールは、スウェーデンのストックホルムを拠点に活動し、北欧を代表する現代サーカスのカンパニー。フランスのヌーヴォー・シルクに触発されたティルダ・ビョルフォシュと若いアーティストたちによって、1995年に設立された。「不可能を可能にする」というビジョンのもと、芸術性の高さと極限まで研ぎ澄まされた身体パフォーマンス、そこに込められた力強いメッセージで世界中を熱狂させている。
設立当初より社会性の強いテーマを扱った作品を多く生み出しており、世田谷パブリックシアターでは、2018年に欧州難民危機をテーマとした『LIMITS/リミッツ』を上演し、カンパニーのテーマでもある「境界を崩せ」という想いを込めた圧倒的なパフォーマンスで観客を魅了した。
現代サーカスを通して力強いメッセージを投げかけているサーカス・シルクールが、10年にわたる世界ツアーを経て、多くの声によってリバイバルツアーが実現した『ニッティング・ピース』とともに、6年ぶりに世田谷パブリックシアターに登場する。

「平和を“編む”ことは可能だろうか?」という問いから生まれた、
幻想的な糸とロープの世界で繰り広げられる圧巻のパフォーマンス

『ニッティング・ピース』は、2013 年の初演以来 14 カ国 63 都市で上演され、世界各地の劇場やフェスティバルで完売を続ける人気作。
本作は、争いの止まない世界の中で、「平和を“編む”ことは可能だろうか?」という問いから、平和への想いを込めて創作された。白い糸やロープに埋め尽くされた幻想的な世界の中で、5人のサーカスアーティストたちが、バイオリンやキーボードなどの生演奏による美しい音楽に導かれながら、エアリアルやシルホイール、玉乗り、綱渡りなど、息をのむようなサーカスパフォーマンスを繰り広げる。舞台に張り巡らされた糸とロープをまるで魔法のように操り、「手を取り合えば人にできないことはない」と証明するかのように、ダイナミックに、ときに詩的に、平和への道を紡ぎ出そうと挑む。
ドキュメンタリー映画「YARN 人生を彩る糸」(2016年製作)の中でも取り上げられたほか、世界ツアーを通じて生まれた、平和への願いを込めた編み物で劇場ロビーや展示スペースを埋め尽くす「Calls to Knit」が国際的なムーブメントへと発展するなど、『ニッティング・ピース』は世界中にインパクトを与えている。

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プロフィール

サーカス・シルクール/Cirkus Cirkör

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ストックホルムを拠点に活動する、北欧を代表する現代サーカスカンパニー。
「シルクール」は、フランス語の「サーカス=cirque」と「心臓=coeur」を組み合わせた造語。
1995 年、フランスのヌーヴォー・シルクに触発されたティルダ・ビョルフォシュと若いアーティストたちにより「現代サーカスを通して世界を変える」とビジョンを持って設立。当初より、スピーディーで挑発的なステージが話題となり、どの公演も即日完売となるほどの人気を見せる。
「現代サーカスを多くの人に体験してもらいたい」との思いから、障害をもつ方を対象とした身体的機能やコミュニケーション術の強化を目指すトレーニングを実施するほか、1997年からはスカンジナビア初の現代サーカス教育を本格的に開始。このほか、ワークショップやレクチャー、サーカス・キャンプなども入れると年間約 30,000 人がシルクールを通してサーカスと触れ合っている。

ティルダ・ビョルフォシュ/Tilde Björfors

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サーカス・シルクールの創設者。『ニッティング・ピース』演出・コンセプト。
2005 年から 2010 年まで「The School of Dance and Circus(サーカスとダンスの大学)」で教鞭をとる。また、研究プロジェクト「Circus as transgressor in art and society(アートと社会の交差点としてのサーカス)」を発表。
サーカス界をリードするアーティストとして、世界中からその実力を認められている。

コメント

ティルダ・ビョルフォシュ(『ニッティング・ピース』演出・コンセプト)

『ニッティング・ピース』では、何キロメートルにもわたる糸を使用します。そのため、パフォーマンスの最中に糸がもつれたり、アーティストが引っかかったりする可能性が随所にあり、舞台スタッフとアーティストは、そのような予想外の事態に対応し複雑で危険な場面を回避する必要に迫られます。その瞬間の、息を呑むような心の揺れ。そんな経験を観客席に座る皆さんと共にしていると、こう思うのです。世界平和への歩みの中では、それが実現するかどうかではなく、ただ平和を希求し、行動し続けることが肝心なのだと。私たちの誰にも、戦争を止めることはできないかもしれない。私たちの誰にも、その力はないのかもしれない。しかし、調和と共感を生み出すことはできる。それは私たちの力です。安全な場所で観劇をしているとき、あるいは舞台に立っているとき、思考と共感を次につなぐことはできるのです。
サーカスパフォーマーは、不可能を可能にすることに心血を注ぎます。身体と精神の一体化を通して「実現可能なこと」の境界線を内と外から揺さぶり、不可能に思われていた技が成功したあとには、次なる課題が生まれる。1995 年のスタートから、サーカス・シルクールは、リスクはチャンスに変えられるという思考をヒントにし、それを社会変革のための探求に利用しています。
編み物は、サーカスアートのパフォーマンスとは異なります。しかし、平和のために編み物をすることは、サーカスと似ている。どちらも、不可能を可能にするために、身体と心を駆り出すのです。

推薦コメント

田中未知子(一般社団法人瀬戸内サーカスファクトリー代表理事/現代サーカスディレクター)

サーカス・シルクールに抱き続けるイメージは「知的なクレイジーネス」だ。視覚的な美しさと、高いレベルのサーカス技術を担保しつつ、その裏で必ず、革新性へのあくなき探求があり、どこかに狂気が垣間見える。同時に知的である、というのは、彼らはその“ギリギリ”の攻略を非常に客観的に、知性をもって行っていることが、創立からこれまで辿ってきた道のりが物語っているからだ。
そんなサーカス・シルクールの『ニッティング・ピース』の魅力は、まず造形的な美しさ。数キロメートルにもわたる糸が覆いつくす、誰が見ても心惹かれるビジュアルである。世界のさまざまな言語で、やはり「糸」「綱」「つなぐ」「編む」といった言葉は、人々のつながりとも連結していて、シルクールがこの作品に込めた思いもそこにある。
Cirkör というのは、フランス語の「Cirque(サーカス)」と「Coeur(心)」を合わせた造語だそう。サーカスと心が結びつく、という彼らの思いは、本作『ニッティング・ピース』にもよく表れている。