男だけの個性派俳優集団による
ファンタジックな恋と友情の物語
アミューズ所属の若手男優たちによる劇団プレステージ(=劇プレ)。一見すると、有名事務所のイケメン集団に思われがち。だが、劇団員の今井隆文(リーダー)と平埜生成に話を聞くと、想像よりもずっと泥臭い、ちゃんと“劇団”な集団なのだった。
今井「小屋(劇場)のランニングコストのことも考えるし、座付きの脚本家や演出家がいないので、自分たちで探してくるんです。昔は情報を載せてもらいに雑誌に売り込みもしたし、ファンサイトやメルマガの運営も全部自分たちでやってるんですよ」
平埜「僕は高校2年生のときからいるんですけど、みんなと打ち解けるのにかなり時間が掛かったりしながら(笑)、小道具作ったりチケットを手売りしたりしてました」
現在では東京だけで4000人以上を動員。人気者の平埜が欠席した前回公演で最高動員数を記録したのは、役者個々の人気に頼らず、劇団自体にファンが付いてきた証拠だ。
今井「変わってきたのはここ最近。僕らの冠番組(tvk『銀の劇プレ』)が始まったりした今年は特に感じます。やることがますます増えて大変なんですけど、とてもありがたいですね」
平埜「そうですよ。忙しいほうがいいですからね、絶対!」
10代から30代後半まで、21名が所属。モジャモジャ頭のリーダー今井は、劇プレのトレードマーク的存在だ。
今井「ここ(自分のポジション)がイケメンだと、ただのイケメン集団になっちゃうんですよ。でもヘンなヤツらが集まっているから、個々の個性をぶつけてヘンなことをやっていきたい。僕のブサイクさで、集団としての面目は保てている気がします(笑)」
本公演は半年に1回行われ、2015年2月の『WORLD’S ENDのGIRLFRIEND』は、ファンタジックな恋と友情の物語になる予定。ただし、劇プレは男優のみの集団だ。
今井「女性の役も僕らがやるんです。女役の技術にたけてるメンバーが何人かいて、僕の友達が観に来たとき最後まで女優だと思っていたくらい」
平埜「稽古場ではヒゲ面でスカートをはいていたりするので、なんかもう混沌としてますけど(笑)」
今井「ただ、ここまでラブがテーマになるのは初めてなんですよ」
脚本の北川亜矢子と演出の大関 真は、第3回公演「『ゼツボー荘』より愛を込めて」を手がけたコンビ。
今井「あれをきっかけに劇団が変わったので、ターニングポイント的な作品でした。今回もまた次の段階に引き上げてくれるような作品になるんじゃないかと個人的には思っています」
平埜「『ゼツボー荘~』は僕、オーディションに落ちて出られなかったんです。その、みんなが大好きと言ってる世界に新たに出会えるのがうれしい。ま、オーディションに受からないと話にならないんですけど」
劇プレは毎公演ごとに劇団内オーディションを行う。審査するのはプロデューサー、脚本家、演出家のみで劇団スタッフは加わらない。つまり純粋に作品に必要な役者だけが選ばれる、いまどき珍しいほどガチでシビアなオーディションだ。落ちれば、自動的にお手伝いに回る。
今井「だから結構殺伐としてますよ。僕らこうして話してても、出てない可能性がないわけじゃない(笑)」
平埜「プロット読んだ感じ、これキャストの数が少ないですよね? とても不安になっちゃって……」
今井「でもファンタジーだから、やり方はいくらでもある。人間の役じゃないかもしれないけど(笑)」
果たしてふたりは本番の舞台に立っているのか!? いろんな意味でスリリング、だがエンタテインメントにひたすら真っすぐな彼らを見守りたい。
インタビュー・文/武田吏都
Photo/大嶋千尋
ヘアメイク/氏川千尋(つくる女)
スタイリスト/部坂尚吾
衣裳協力/
今井隆文
シャツ¥22,464(GITMAN VINTAGE)、ベスト¥32,400(Oliver Spencer)、タイ¥12,960(Oliver
Spencer)、パンツ¥29,160(Oliver Spencer) / 以上すべてOUTER LIMITS 03-5457-5367
シューズ ¥65,880(JOSEPH CHEANEY / 渡辺産業プレスルーム 03-5466-3446)
平埜生成
パンツ ¥14,904(FREQUENT / grangy co.,ltd 03-6459-2406)
シューズ ¥30,240(Pantofola d’Oro / カメイプロアクト 03-6450-1515)
※すべて税込
【プロフィール】
今井隆文
■イマイ タカフミ ‘85年、東京都生まれ。劇団プレステージの前身のユニットから所属し、現在は劇プレのリーダーを務める。劇団内外で活躍し、ドラマ「アリスの棘」(TBS)、映画「青天の霹靂」などに出演
平埜生成
■ヒラノ キナリ ‘93年、東京都生まれ。‘09年、劇プレの前身のユニットで初舞台。「FROGS」、蜷川幸雄演出「ロミオとジュリエット」など舞台を中心に活躍