『ウーマン・イン・ブラック<黒い服の女>』岡田将生&勝村政信 インタビュー

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岡田将生と勝村政信が英国ホラー演劇の傑作に臨む!
パルコ・プロデュース『ウーマン・イン・ブラック <黒い服の女>』

 

 英国発、ゴシック・ホラーの決定版『ウ-マン・イン・ブラック<黒い服の女>』。

 女流作家ス-ザン・ヒルの同名小説をもとに、スティ-ブン・マラトレットの脚色、ロビン・ハ-フォ-ドの演出で舞台化され、現在ロンドンのウエストエンドにあるフォーチュン・シアターでは、26年目になるロングラン公演中だ。

 日本では1992年に初演。絶大な支持を受けながら公演を重ね、今回キャストを一新して7度目の上演となる。ヤング・キップス役は2度目の舞台出演となる岡田将生。日本初演から本拠地・ロンドンでの公演に至るまで斎藤晴彦が演じてきたオールド・キップス役は勝村政信。濃密な二人芝居に挑む心境を聞いた。

勝村「この話を頂いた時は、正直『来ちゃったな』と思いましたね。初演当時から作品のことは知っていましたし、斎藤さんと言ったら生き方が演技にも出ているような貫禄のある方で。名作を日本でもちゃんと名作にされた方がずっと演じられてきた役が、自分に来たのかと、迷いもありましたが。」

岡田「僕はまだ1回しか舞台をやったことがないので、色々経験をしてみたいという気持ちがありました。それに二人芝居というものにとても惹き付けられて。勝村さんとご一緒出来るということで、ぜひやらせて下さいとお返事しました」

 

――観客のいない劇場。本来なら何百という人の息が聞こえてきそうなその場所で、たった2人の男、中年の弁護士(オールド・キップス)と若い俳優(ヤング・キップス)が、過去に体験した世にも恐ろしい出来事を、劇中劇の形を借りて再現していく。俳優は若き日のキップスを、弁護士は彼が出会った人々演じながら……。

 照明、音響、舞台装置は極限までシンプル。俳優が演技力で小道具を操り、物語の進行とともに様々な登場人物を演じ分ける。観客の“恐怖”という感覚を最大限まで引き出させるような、演劇ならではの手法が随所に込められている。

勝村「舞台は“時間と場所の共有”といわれますが、この作品は如実に観客も含めて時間と場所を共有して、同じ恐怖を味わえる。全員が等価で一つの作品に向かっていられる、なかなか無い作品だと思います」

岡田「体に刻まれていくような伏線の恐怖がありました。それをどういう芝居でやっていこうか、色々相談して探りながらやっていけたらいいなと思います」

 

 2人は映像作品で共演済み。プライベートでも仲が良いという。

岡田「すごく失礼なんですけど、本当に親戚のおじさんみたいな(笑)。同じメイク室でメイクしているのに、ずっとラインしてくるんですよ! もちろん役者さんとして百戦錬磨の方で、勝村さんの芝居に対しての姿勢を現場で見させて頂いているので、ものすごく尊敬しています。以前の共演からの間で僕が経験してきたものを、役として勝村さんにぶつけられたらいいなと思っています」

勝村「僕はずっとサッカーをやっていてクラブチームみたいなものもあるので、岡田くんがサッカーに興味があると知って誘ったことがあったんです。その時、せっかくだからみんな初参加の岡田くんにパスを出すわけですよ。そうしたら途中で『どうしたらいいんですかー!?』って1人でキレてたことが忘れられない(笑)」

岡田「ああ~(苦笑)! サッカー経験が全く無かったので、本当にどうしたらいいのか分からなかったんです。だってパス出そうとしてもドリブルしようとしても、確実に見えているんですよ。ボール触った瞬間に相手に取られるっていうのが(笑)。『どうしたらいいんだこれは!』と思って」

勝村「あれがもう素晴らしかった。基本僕らの世代は、どうしたらいいのか分からないまま芝居をやっているんですよ(笑)。でも言葉に出せるか出せないかというところで違う。長く生きていれば言葉は立つようにはなりますけど、長いから優れているとは限らないですから。若い人に教えられることの方が多い。感性も含めて、持っていないものを持っている世代だと感じています。受け止めきれないけど、受け止めるフリが出来ればいいかなと思っています」

 

 昨年の『皆既食-Total Eclipse-』(蜷川幸雄演出・シアターコクーン)で初舞台を踏んだ岡田は、初日を迎えた時の緊張を「忘れられないです。もう戦争に行く気分でした。開演の1時間前くらいから『お前は最前線に行くんだ、これから死ぬんだ』と言われている感じでした。なんだこれと思うくらいナーバスになりましたが、それが今までにない自分の高揚感に繋がっていました」と振り返る。

岡田「色々な方から、毎日同じことをやるというのは大変で辛くなってしまうこともあると聞いていたんですけど、僕にとっては好きなことだったというか。どんどん突き詰めていくことが出来たり、挑戦していくことが性格的に合っていたのかもしれないです。それも新しい発見でしたし、生でやる楽しさを知ってしまったんです。それを知っていながら舞台をやらないというのはなんて勿体無いことなんだろうと思って、今回に繋がっています」

 

 本作では、「芝居」はオールド・キップスが苛まれてきた悪夢のような出来事を語るための手段として登場する。忌まわしい呪縛から解放されるため、劇中の2人は様々な人物を演じていくが、キップスを演じる俳優自身の「演じる」こととは。

勝村「演じることは、僕にとっては連戦連敗なんですよ。近付いたかなと思うとまた遠くにいってしまう。でも俳優は自分の人生を生きられない人間だと思うんです。僕なんか50過ぎても一人でご飯を食べに行けないし、初めての人とも会いたくない。でも役を与えられたら平気になる。自分に足りないものばかりの男が、何かの役を与えられることによってなんでも出来るようになるんです。だから『演じる』ことは人生のリハビリテーション、なんて言葉をよく使っていますね」

 

 黒い服の女と新しいキップスたちが観客を出迎えるのは、2015年8月。真夏のパルコ劇場だ。

岡田「僕自身がこの本を読み終えた時、怖くて後ろを振り向いてしまいました。そういった自分が感じたものを忘れずに稽古場に持って行って、新鮮にお芝居していきたいなと思っています。鳥肌の立つようなこの怖いお話を皆さんと共有したいです」

勝村「まずは斎藤さんのお墓参りから始めて、感謝と同じ役をやらせて頂くことのご報告をさせていただこうと思っています。しっかりした歴史のある作品の枠組を踏襲すると同時に、今までと全く違った化学反応が起こって、ちょっとしたことが大きく変わったなと思われるくらいのものに繋がっていければ、僕らが新しくやらせて頂く価値があるのかなと思います。たくさんの方にご来場頂ければ」

 

取材・文:片桐ユウ
岡田将生&勝村政信『ウーマン・イン・ブラック 』予告動画!

 

【プロフィール】

岡田将生
■オカダ マサキ ’89年、東京都出身。ドラマ『花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス~』で注目を集め、映画『ホノカアボーイ』『重力ピエロ』『僕の初恋をキミに捧ぐ』等で数々の映画新人賞を受賞。『皆既食 -Total Eclipse-』で舞台初出演・初主演を務めた。

勝村政信
■カツムラ マサノブ ’63年、埼玉県出身。蜷川スタジオを経て、劇団第三舞台で活躍。舞台俳優として人気を博し、その後TVバラエティ出演をキッカケにドラマ、映画、MCと幅広く活躍中。最近の出演作はドラマ『ドS刑事』、映画『龍三と七人の子分たち』等。

 

【公演情報】

パルコ・プロデュース公演
ウ-マン・イン・ブラック <黒い服の女>

日程:8/7(金)~8/30(日)
会場:パルコ劇場
料金:全席指定 ¥8,500

原作:スーザン・ヒル
脚色:スティーブン・マラトレット
演出:ロビン・ハ-フォ-ド
翻訳:小田島恒志
出演:岡田将生/勝村政信

※ 9月大阪・名古屋・新潟にて上演予定、詳細は今後の更新をお待ちください。

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【東京公演・チケット発売情報】

★プレリク抽選先行:2015/5/22(金)12:00~5/26(火)23:59
★一般発売:2015/6/13(土)10:00より

 

詳しくは下記「チケット情報はこちら」ボタンから!