「マハゴニー市の興亡」稽古場写真&レポートが到着!

009
いよいよ9/6(火)KAAT神奈川芸術劇場にて開幕!

 

 2016年4月にKAAT神奈川芸術劇場の芸術監督に就任した俳優で演出家の白井晃が、長年、上演を切望していたブレヒト劇「マハゴニー市の興亡」が9月同劇場で、ついにその全貌を現す。初日を目前に控えた稽古場では、もとはオペラだった本作を、ジャズピアニストのスガダイローを音楽監督に迎えジャズテイストの音楽劇に再構築する、という白井の革新的な挑戦に、みなが煽られるように熱気にあふれた稽古が続いている。

 「三文オペラ」などでブレヒトとの名コンビとして知られる作曲家クルト・ヴァイルのひねりのきいた音楽を、主演の山本耕史が力強く歌い上げれば、ヒロインのマルシアがまるで語りかけるような説得力で歌声を響かせる。中尾ミエ、上條恒彦、古谷一行という選りすぐりのベテラン俳優陣の芝居は作品に重みを加え、若き男性アンサンブルや女性ダンサーたちの動きも日に日にシャープさを増していた。

 スガダイローが率いるバンドの奏でる音楽は、聴く者に挑みかかるような鋭利な感触を与えるのに、一方で、妙に心の奥底が駆り立てられ、浮き立つような気分にさせることも。それが、人間社会の愚かさや滑稽さを、情緒的な感情に引きずられずに描いていく叙事詩的なブレヒトの世界観に見事にフィットし、不思議な高揚感につながっていく。俳優の身体が雄弁に存在する舞台、との定評がある白井がこだわるのは、俳優たちの動きと動きが互いに呼応して連動していくこと。せりふの響き方一つにも細心の注意を払いながら、完成度を高めていくその様子は、実にアグレッシブで、情熱にあふれている。

 KAAT神奈川芸術劇場に、いったいどんな「欲望の街」が出現するのか。そして舞台上にもある客席「マハゴニー市民席」に座る観客らがどのように「参加」していくのかについても期待が高まる。

文・阪清和

■写真提供=KAAT神奈川芸術劇場
■撮影=伊藤大介(SIGNO)

 

【稽古場写真 クリックすると大きくなります】

002 003 004 005 006 007 008

 

【コメント到着!】

演出家・白井晃
KAAT神奈川芸術劇場の芸術監督に就任して2作品目になりますが、思い切った作品を作りたいなと思い、劇場を一つの街に見立てて使っています。マハゴニー市民席は舞台上でお客様に市民のように参加していただく席です。例えば場所を移動してみたり、立ち上がって一緒に参加してもらったりして欲しいと思ってます。私がマハゴニー市長的な役割りでお客様をお迎えしますので楽しんでいただきたいです。私から皆さんに指令がいくかもしれません(笑)。

山本耕史
稽古は短かったような、長かったような感じです。白井さんとは何作品か一緒にやらせていただいて、ブレヒト作品、音楽、豪華な俳優陣、白井さんの演出と今回もまた新しいものに出会わせていただきました。
一言でこの作品を説明をするのは難しいですが、いろいろな人に観てもらいたいですし、観た人の心になにかしらの爪痕を残せるような作品にしたいです。

マルシア
白井さんの演出はスピーディーなので、稽古に付いていく為に、頭をフル回転させていました。稽古が大変だった分終わってしまうのは寂しいなと思います。明日プレビュー初日を迎えますが、今回舞台上にマハゴニー市民席があり、本番でお客様が入ってから気づく発見が日々あると思います。千秋楽で全てがわかるのでこの作品に出会えてよかったと思える千秋楽にしたいです。

中尾ミエ
この作品は音楽が難しいんです。結構長い間この世界にいますが一番苦労しました。でも本当にいい曲で耳に残るし、家に帰ってからも歌を口ずさんでました。出演者が全員悪ということはなかなかないので、私は苦労しております(笑)楽しませていただいています。

上條恒彦
僕にとっては全員初めての人でしたので、皆さんにすごいなと感心しています。本当にもう圧倒されましたね。皆さんも話されていますが辛くて楽しい稽古でした、そのおかげいい作品になりました。

古谷一行
ブレヒト作品は若いころに何本もやっているので初心の気持ちに戻って頑張ろうと思っています。白井さんはなかなかしつこい方で早く帰してくれません(笑)でも稽古は楽しくやっていました。この作品は僕らの同世代が観に来た時にどういう印象を持つのか、楽しめるのか、どんな反応をするのかとても楽しみにしています。

 

【公演情報】

main

マハゴニー市の興亡

日程:2016/9/6(火)~22(木・祝)
会場:KAAT神奈川芸術劇場 ホール

★詳しいチケット情報は下記ボタンにて!