熊本公演に続き、12/7(水)から福岡公演スタート!
残すところ福岡・東京・宮崎公演となったガラパのメンバーを直撃!
写真は左から、西山明宏・川口大樹・横山祐香里
2005年の旗揚げから福岡を拠点に活動を続け、今年11周年を迎えた劇団『万能グローブガラパゴスダイナモス』。その旗揚げ当初から評判は広がり、福岡を代表する劇団にまで成長を果たし、今や東京・大阪などでの公演も成功させている。そんな彼らの最新作は、初の熊本公演を終え、残すところ福岡・宮崎・東京の3都市。
そんな公演を目前にした某日、劇団を代表して、劇団のほぼ全作品の脚本・演出を手掛けている川口大樹と、初期の頃から劇団に在籍している横山祐香里、そして今年2月に入団したという新人の西山明宏を直撃し、今作について語ってもらった。
―脚本・演出の川口が旗揚げから一貫してこだわってきたのがワンシチュエーションコメディ。その緻密な笑いと大胆なストーリー展開が魅力だが、最新作は一体どんな物語が待ち受けているのか気になるところだ
川口「今回のテーマは人間の欲望を描いた話で、なんと悪魔が登場します!前作では“鬼”が出て来ましたが、今回は悪魔。最近いろいろ出てくるっていうのが主流なんです(笑)。悪魔が願いを叶える代わりに魂を寄こせ!っていうやり取りをするお話ってよくありません?そういうやり取りの中で、人間が願い・欲望を満たす為に誘惑に翻弄されていく様をコメディタッチで描くとおもしろいだろうなと思ったのが今作を書いたきっかけです」
―人間の欲望と悪魔・・・という題材のもと、演じる側としてはどう演じたいと思っているのだろうか?
横山「川口さんの作品はコメディが主流ですが、私は当初コメディって軽いかな?って思っていた方なんです。でも、ガラパに入って演じていく中で、コメディの奥深さ・難しさを知ったんです。ある時、川口さんから『音楽で人は笑わせられないけど、演劇はそれが出来る』と言われたことがあって、それを聞いた時に『この人の考え方スゴイな~』と思ったんですね。演劇から入った私ですから、コメディは自分が最初にやろうと思っていたものと違ったりするんですが、今は自分がベストな場所で挑戦出来ていると思っています。今作で描かれるような人間の欲望の部分とかって、普通はなかなか人にさらけださないじゃないですか。今回のお芝居では、その欲望具合いを前面に出して演じてみせられたら、きっとおもしろいことになっていくだろうなと思っています」
西山「僕は悪魔の格好をガッツリするわけではなく、見た目は人間だけど性質が悪魔ってことになっているんですよ。こちらの思惑に人間がハマっていく様子を直接的に関わって見ている役なんですが、そんな場面を無邪気におもしろがったりしている奴なんです。そういった部分って自分の中にも実際にあるから、そういった面を出せたらいいですし、自分でも楽しんで演じられそうかなって思います。僕、いたずら好きなんです(笑)」
― 稽古中にいたずらを仕掛けてみたりは?
西山「いやっ、僕はまだ2月に入ったばかりの新人なんで、まだ先輩たちにいたずらを仕掛けるなんて!と言いつつ・・・今後何か仕掛けて、怒られていこうかなとは思いますけど(笑)」
― 『月ろけっと』というタイトルから想像すると、優しいファンタジーのイメージが強く、悪魔が出てくることが意外に思えるが?
川口「ぶっちゃけて言うと、最初は悪魔なんて出てくるはずじゃなかったんです(笑)。むかし田舎で高速道路の足場だけがT字みたいにポツンとあるのを見たことがあって、それがまるでロケットが地面に墜落しているように見えたんですね。その時に、月を目指して飛んだのに失敗して落ちちゃった・・・ていう“寂しさ”みたいなものを感じて、それがなんだかスゴクいいなぁと思ったんですよ。それで、この作品を作る時にその“寂しい”というイメージが自分の頭に浮かんでいたのと、“たま”という歌手の曲に同名のタイトルがあったのを思い出したことから、月を目指したロケットと“たま”の曲がきっかけとなって今作のタイトルが決まりました。あとは、欲望をモチーフにしようと決めた時点から、“空を飛ぶ”という夢は古代の人も鳥を見てそう思っただろうし、“空を飛んでみたい”というある種の欲望は今も昔もずっと変わらない人間の欲望の象徴とも言えるな~と思って、そこを描きたいと思ったんです。そして、欲望を叶えようとする言動力を、そんな欲望をエサにしているような者がいたら?と思った時に浮かんだのが、今作での悪魔だったんです。昔はリアルな話ばかり作っていたんですけど、最近は幽霊や鬼、悪魔・・・10周年を迎えたあたりから徐々に作風がそちらにシフトしてきたんですよねぇ」
―その変化には何かきっかけが?
川口「う~ん・・・飽きてきたっていう(笑)」
横山「そんな!(記事に)どう書けばいいんですか!(笑)」
川口「いやっ、ひとりの人間から出て来るアイデアにも限界があって、前回の焼き直しみたいになってるなと思う時期があった時に、幽霊とか出したらおもしろいかな?と思ったし、実際に設定がグッとひろがるんですよね。ワンシチュエーションにファンタジー的な設定が入ってくると歪になって、ナンセンスな世界観が出て、そのズレによって笑いの幅も広がりますし、それが書いていても楽しいんです。そこに今、自分の中では興味を持って書けていますね。あと、ウソがたくさんつけるんですよね(笑)。だって、現実にいる人、例えば競輪選手とか書くとなれば、きちんと設定を調べて書かないといけないけど、悪魔のことなんて誰も知らないじゃないですか?自分の想像したことがいくらでも入れられる余白がファンタジーにはあるんで書きやすいです。もうファンタジーな生き物がいないぞ!!・・・ってなったら、また作風も変わるかもしれないですね(笑)」
前作『西のメリーゴーランド』では、人間vs鬼という奇妙な組み合わせで人間の輪廻転生を軸に人間模様がコメディタッチに描かれていたが、今作では悪魔vs人間、そして欲望・・・。いったいどんなシチュエーションで物語が展開していくのか?いつも期待以上の世界観を見せてくれるガラパの新作はぜひ劇場で!
<公演情報>
『月ろけっと』
■福岡公演
【公演期間】12/7(水)~18(日)
【会 場】福岡・ぽんプラザホール
【Lコード】84891
★公演スケジュールの詳細は下記(チケット情報はこちら)よりご確認ください
■東京公演
【公演期間】1/7(土)~10(火)
【会 場】下北沢駅前劇場
【Lコード】36542
★公演スケジュールの詳細は下記(チケット情報はこちら)よりご確認ください
※1/14(土)・15(日)の宮崎公演は、ローソンチケットでの取扱いなし。
宮崎公演の詳細は三股町立文化会館(TEL0986-51-3462)までお問い合わせください