パルコ・プロデュース公演『サクラパパオー』 初座長の塚田僚一インタビュー

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これまでの経験の上でのこの舞台。新しい自分でお客様を楽しませます!

喜劇の名手として知られる劇団ラッパ屋の鈴木聡。その作品郡の中でも、上質なウェルメイド・コメディ『サクラパパオー』が、エンターテインメント舞台の次世代を担う新進気鋭の演出家、劇団 柿喰う客の中屋敷法仁の手によりパルコ・プロデュースで新しい喜劇に再誕生!主演に抜擢されたのは塚田僚一(A.B.C-Z)。塚田といえば、『イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー~パパと呼ばないで~』(2014年)『ボクの穴、彼の穴。』(2016年)とパルコ出演が続いているが、今回は同プロデュースで初の単独主演となる。『サクラパパオー』とは競馬の競走馬の名前。この一頭に絡み、馬券売り場の前でさまざまな人間模様が繰り広げられるコメディ作品だ。12月10日の30歳の誕生日直前にインタビューに応じた塚田は、「なんとしてもお客様に楽しんでほしいです!」と気合たっぷり!

 


――いきなりですが、髪が伸びたようですが役作りの一環ですか?

塚田  僕の勝手なイメージなのですが、競馬場にいる男の人たちを想像すると、たとえば、金髪に染めているけど根元は黒いとか(笑)、馬に熱中するあまり身だしなみに意識が向かないのではないかと思いました。演出の中屋敷さんとはまだ話せていないので、長髪、短髪のどっちに転んでもいいようにしています。

 

――出演が決まった気持ちは?

塚田  すごくうれしかったです。が、それだけでなく、見に来てくださるお客様やファンの方々に楽しんでもらえないと意味がないので、浮かれてる場合じゃないぞ!とも思いました。僕の中に天使と悪魔がいる感じですね(笑)。悪魔は「うれしいからみんなに言いたい!」、天使は「浮かれている場合じゃない!」。前回の二人芝居(『ボクの穴、彼の穴。』)では、あまりのうれしさに、出演が決まってすぐみんなに言ってしまいました。でも、今回は、情報解禁まで黙っていました。みんなに一斉に知ってほしかったんです。それは、本番だけでなく、開幕までの期間のみんなの期待のリアクションも大事にしたいから。…とはいえ、宮田くん(宮田俊哉・Kis-My-Ft2)には、どうしても抑えきれなくて解禁日少し前に言ってしまいました(苦笑)。

 

――初の単独主演。初座長、と呼んでいいですよね?
塚田  あ、そうですね…!! だから、少し感覚が違うのかもしれないですね。いま“座長”と言っていただいて気づきました。でも、この作品は、物語自体や人との掛け合い、そこに生まれる人間性で笑いもシリアスもあるものです。だから、作品の魅力=座長ではなく、みんなで作り上げる一員として僕もがんばりたいと思います。

 

――過去上演(2001年)をDVDでご覧になったそうですが、どんな魅力を感じましたか?
塚田  馬券売り場の前のお話で、競馬を知らなくても楽しめると思いました。物語のキーになるのがサクラパパオーという馬です。登場人物それぞれに、借金や女性問題という背負うものがあるけれど、最終的にみんなサクラパパオーに行きつく。そこに行きつくまでの掛け合いを見ていると、みんな愛くるしく、かわいらしくて…、人間味に魅力を感じました。物語が進むにつれてドキドキ明るく開けていく感じで、素敵だと思いました。

 

――演じる田原俊夫はどんな役ですか?
塚田  嘘がつけない人で、そこは自分とすごく似ています。田原は、恋人の前でがんばろうと思えば思うほど見栄を張ってしまいます。僕の場合はテレビに出るときが近いかもしれませんが、そういう気持ちはよくわかります。こういう自分に見せたいと理想は高いけれど、空回りして実際にはできていない自分がいる――。田原のように好きな人の前でがんばってしまうのは、自分もそうだろうな、似ているなと思いました。

 

――熱演が話題の塚田さんですが、舞台をやるにあたって心がけているのは?
塚田  稽古の段階ではとことん自分を追い詰めます。追い詰めて、追い詰めて、稽古最終段階、本番直前に開き直ります(笑)。結局、考えてもわからない、幕が上がってやってみないとわからないことがあるんです。また、作品の印象に近い映画を家でずっと流します。たとえば、『イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー~パパと呼ばないで~』のときは映画『シド・アンド・ナンシー』、『ボクの穴、彼の穴。』のときは映画『アメリカン・スナイパー』。見るというより音楽を聴くのに似ていて、体に刷り込ませる感じ、と言いますか。そうやって世界観に入り、鼻歌を歌うように意識しなくてもセリフが出てくるのが理想なのです。

 

――ちなみにセリフの覚え方は?
塚田  じっとして覚えるより、動きながら覚えることが多いので、たとえばトイレとか(笑)。動きながら覚えることで、演じながらのセリフが自然になると思うんです。

 

――本作のためにどんなことをしますか?物語の舞台は、最近デートスポットとしても人気のトワイライトレース(夜のレース)ですね。
塚田  いま、競馬ってそうなんですか!…ダメだ、知らなかった、耳に赤鉛筆さしているイメージでした。リサーチしてきます。ぜひ、みんなで競馬場に行きたいですね。詳しい方と行って、馬券の買い方も知りたいです。ただし、ハマりすぎないように(笑)。

 

★ここでプロデューサーから、「そもそも脚本の鈴木さんが当時競馬好きでこの作品を書いたほどですから、初演の際はみんなで行きました。すると何枚か買った中に万馬券が!全員で山分けして、一人5,000円ほどを元手に競馬遊びを体験したんですよ」とのエピソードが。
塚田  それはすごい!今回もぜひみんなで行かなければ、ですね!

 

――脚本の鈴木さん、演出の中屋敷さんの印象は?
塚田  鈴木さんの作品はいくつか見てきましたが、現実的で身近なお話が多く、おしゃれな雰囲気があると思います。鈴木さんの舞台には稲垣(吾郎)さんがよく出ていらっしゃるし、稲垣さんにも見てもらえたらうれしいです。中屋敷さんの柿喰う客はこれから見る予定です。中屋敷さんはジャニーズの演出が初めてということで、“初”というのはうれしいし、楽しみです。

 

――ちなみに馬券「1~16」の中では、塚田さんはどの数字を選びますか?
塚田  …(少し考えて)10、です。自分の誕生日の12月10日から頭に浮かびました。一つの節目の数でもありますし。

 

――30歳のイメージとは?
塚田  自分より周囲を優先する、余裕のあるイメージですね。ただ、いまの僕に関して言えば、余裕は持たなくていいかな、とも思います!行けるところまで行こう!この勢いに乗ってどこまで行けるだろう!と思っていて。正直な話をしますと、『アウト×デラックス』で一時のブレイク的に表現されもしましたから、いつまで続くだろう…と不安がありました。でも、こうして舞台のお仕事も毎年いただけているし、使えば使うほどエネルギーは湧いてきます。まだいける、まだまだいける! と思ってがんばります。

 

――最後に、メッセージをお願いします!
塚田  ファンの方々はこれまでも僕の出演作を見てきてくれたと思います。この作品は、その経験をしてきた上でのもの。コメディだからとひよることもないし、新しい自分が絶対に出ると思うんです。初めて僕を見る方も、競馬好きも、そうでない方も、みんなに楽しみにしてほしいです!

 

取材・文/丸古玲子

 

【プロフィール】
塚田僚一(A.B.C-Z)
ツカダ・リョウイチ 1986年、神奈川県出身。 2001年ジャニーズJr.内ユニットのA.B.C.(08年よりA.B.C-Z)のメンバーに選ばれ、12年にA.B.C-ZのメンバーとしてDVDデビュー。得意のアクロバットでコンサートやバラエティ番組を沸かす。ドラマ『仮面ティーチャー』、舞台『イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー~パパと呼ばないで~』(14)『ボクの穴、彼の穴。』(16)ほか、17年1月には『JOHNNYS’ ALLSTARS ISLAND』が控える。

 

【公演情報】
パルコ・プロデュース公演『サクラパパオー』

作:鈴木聡
演出:中屋敷法仁
出演:塚田僚一(A.B.C-Z)ほか
日程・会場:
2017/4/26(水)~30(日)予定 彩の国さいたま劇場 大ホール(埼玉)
2017/5/10(水)~14(日)予定 東京国際フォーラム ホールC(東京)
2017/5/16(火) 電力ホール(宮城)
2017/5/19(金) 穂の国とよはし芸術劇場(愛知)
2017/5/25(木)・26 (金) サンケイホールブリーゼ(大阪)

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