今年も鷹之資×玉太郎×梅丸が魅せる! 続「西遊記」

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15年にスタートしたKAAT神奈川芸術劇場の若手舞踊公演「SUGATA」の第三弾が行われる。若手歌舞伎俳優の中村鷹之資、中村玉太郎、中村梅丸が、化粧なしの“素踊り”で、藤間勘十郎演出・振付の新作舞踊劇に挑む企画だ。今年は、昨年好評を博した『新説西遊記』の続編、『続・新説西遊記』を上演。前回に続き、鷹之資が猪八戒、玉太郎が沙悟浄、梅丸が孫悟空を演じる。公演を前に記者懇親会が開かれ、勘十郎、鷹之資、玉太郎、梅丸が出席した。

今回の舞台について勘十郎は「冒頭、鷹之資さん/玉太郎さんによる日替わりの口上が入ります。これは作品の全体像が分かっていないとできません。口上後は、お客様の前で瞬時に役になります。歌舞伎俳優として重要な経験になるでしょう。続く序幕は長唄の舞踊劇ですが、2幕目は一転、義太夫狂言を意識した歌舞伎になります。そして最後は、華やかに皆で踊る“大喜利所作事”。私が演じる妖怪が、鷹之資さん玉太郎さんの前に立ちはだかります」と説明する。

出演者のうち、鷹之資は高校2年生。「この公演では、押し戻しやだんまり、お酒を飲んで踊る演技など、普段のお稽古ではできないことを勉強させていただいています。かと思えば、去年はご宗家に『藤山直美さんみたいに!』と言われ、難しさを感じつつ頑張りました。私が演じる猪八戒はドジで情けなくて、愛嬌あるキャラクター。練りに練って、去年以上に面白いものにしたいと思います」。


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玉太郎は、高校1年生。「去年の映像を見ても改善点は尽きないのですが、次はその続編なので、色々と工夫しながら楽しめたらと思っています。沙悟浄は河童で、不気味なイメージもあると思うのですが、実は見かけ倒し。そこが今の自分に重なります。三人の中で一番しっかりしているポジションながら、きゅうりが大好きというお茶目な部分なども伝えたいです」。

梅丸は大学2年生。このシリーズには前回からの参加だ。「前回の孫悟空は色々な場面にちょこちょこと出たのですが、場面によって役のキャラクターが演出に負けて変わってしまいそうになる難しさがありました。今回は歌舞伎座との掛け持ちになるため、多少出番が少なくなりますが、ここで学んだことを本公演に生かせるよう、ご宗家、尾上の家元(尾上菊之丞)、先輩の澤村國矢さん方にご指導・ご助言いただいて頑張ります」。

 

コンパクトな劇場空間で繰り広げられるエンタテインメント色豊かな舞台は、研鑽の場であると同時に、従来の歌舞伎ファンにも、古典芸能に馴染みのない観客にも、楽しめるものだ。
「私が作る新作は、歌舞伎の美味しいところを取った“パロディ”。パロディをやるには元の作品を知り、自分が演じる役がどういう役で、過去に誰がどう演じたのかを、理解しなくてはなりません。勉強のためにも、鷹之資さん玉太郎さん梅丸さんには、遠慮せず積極的に挑んでほしい。私や尾上の家元も出演者として、遠慮せずガンガン行きます。全員、自分が主役であると思って舞台に出てほしいですね」(勘十郎)

取材・文:高橋彩子

 

【公演情報】

若手舞踊公演SUGATA「続・新説西遊記」

日程:2017/3/23[木]~26[日]
会場:KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ

出演:中村鷹之資 中村玉太郎 中村梅丸
   髙澤花楓 島琴音 澤村國矢 花柳美喜 花柳凜
   尾上菊之丞 藤間勘十郎