森の奥深くであなたを待つものは・・・!?
日本文学への憧れとリスペクトを込め、シス・カンパニーと劇作家・北村想がオリジナル戯曲をお届けする「日本文学シアター」。これまで、太宰治、夏目漱石、長谷川伸ら近代文学の巨星たちの名作をモチーフに、北村想独特の斬新かつ繊細な感性と軽妙な言葉のマジックが炸裂!演劇ファンの期待度も高い人気シリーズです。
その待望の第4弾『黒塚家の娘』が、風間俊介・趣里・高橋克実・渡辺えり の出演で、 いよいよ5月12日(金)に初日を迎えます!
本作のインスピレーションは、これまでの近代文学から一気にさかのぼり、「安達ヶ原の鬼婆伝説」が由来の能「黒塚」がその源となりました。「え?能?」と後ずさりしそうな皆さんもご心配なく!おぞましいのか、滑稽なのか、一度見たら絶対に忘れられない宣伝ビジュアルの強烈なパワーは、寺十吾の演出の下での約1ヶ月の稽古を経て、益々グレードアップ!幽玄の世界を現代の私たちの心に映す、新たな“ファンタジーホラー”が誕生。ついにその全貌が明らかになります!つきましては、本公演の公式舞台写真を開幕に先がけてお届けいたします。是非、この森の奥深くに眠る黒塚家の謎を探しに劇場へお越しください!
【あらすじ】
若き牧師の小洋手治(風間俊介)は、傷心から失踪同然の旅に出た。ところが、いつしか見知らぬ森に足を踏み入れ、突然の深い霧の中でさまよってしまう。そこで出会った一人の老婆に教えられた、さながら廃屋のような館にたどり着くと、若い女性(趣里)と母親らしき女性(渡辺えり)に出迎えられ、そこで一晩を過ごすことに・・・。そして、ささやかな夕餉の後、小洋手の目の前には、「決して開けてはならぬ」という禁忌の扉が!そこに、盲目の先輩牧師(高橋克実)が現われて、謎めいた母娘にまつわる「黒塚家」の伝説を追い詰めていくのだが、そこにはどんな謎が・・・・!?
【キャスト紹介】
風間俊介 演じる 小洋手 治(こようて おさむ)の役柄は・・・
基になった能「黒塚」では、熊野那智の山伏一行が登場。数珠を擦りながら力の限り祈祷し、鬼女を調伏するという「仏教説話」なのだが、本作で風間が演じる主人公・小洋手治は、キリスト教プロテスタントの若き牧師である。それがなんと、手ひどい失恋で放浪の旅に出てしまう。そんな「普通の青年」なのだが、迷い込んだ森で出会った黒塚家の女性たちを相手に論じる宗教論や哲学に見識の深さと閃きが滲み出る。追いかけてきた先輩牧師(高橋克実)との師弟愛にも似た関係も注目だ。
趣里・・・・・・黒塚華南(くろつか かな)コメント
最初に台本をいただいたとき、面白くて一気に読んでしまいました。そのとき感じたワクワク感や切なさの感覚は、今も変わっていません。この作品は、宗教や哲学を描いていて、男女の理解し合えない関係や女性の幸せについて考えさせられるところも多いのですが、どこかポップで決して重たくならないところが素敵です。今回、劇場に現われる森の中に、観客の皆様も風間さんと一緒に迷い込み、意外なラストに共に向かって頂けるようなお芝居にできたら、と思っています。楽しんで頂きたいです。
高橋克実・・・馬浜博士(ばはま ひろし)コメント
最初は、哲学や宗教論が出てくるし、おいおい大丈夫か?と心配だったんですが、実際は、宣伝写真のイメージとは違って、こんなに笑うシーンがあっていいのか、と思うほど。4人だけの出演者なのに稽古場が本当に濃くて楽しくて・・・。もともと「能」がモチーフで、その様式が戯曲にも演出にも生きているのが興味深いですし、「人ってそういうもの」という人間の真理が面白くわかりやすく描かれていると思います。人間は不完全だからこそ面白い・・・と感じられる作品ですね。
渡辺えり・・・・黒塚烏鷺(くろつか うろ)コメント
北村想さんは、私と同世代の演劇人。この作品は、どこか昔のアングラっぽい遊びの精神があって、不条理の匂いもする小劇場っぽい芝居です。それを、風間さんや趣里ちゃんのような若い方や、やはり小劇場出身の高橋さんとご一緒できることが、とっても嬉しいです。ただ、演じる側にとっては、正解があるわけじゃないから、とても手ごわい台本で、演出の寺十さんと相談しながら探っていました。本番では、女性の哀しみや苦しみも感じられるような演技ができたら、と思っています。
撮影:加藤孝
【公演概要】
日本文学シアターVol.4「黒塚家の娘」
日程・会場:5/12(金)~6/11(日) 東京・シアタートラム
作:北村想
演出:寺十吾
出演:風間俊介、趣里、高橋克実、渡辺えり
★チケット発売中!