<囲み取材登壇者>
風間由次郎、杉本雄治(WEAVER)、猪塚健太
―まず風間さん、オリジナルミュージカルの作・演出に抜擢ということで、初日を迎えた今のお気持ちは?
風間「今回このような機会をいただき、一人では何もできないなと本当に感じました。いざ作品を1から作るとなると、今日この日が来るまで本当にたくさんの皆さんに支えてもらって、こうやって初日を迎えられてとても嬉しいです。」
―杉本さん、今回は全曲作曲ということで、同じく初日を迎えたお気持ちは?
杉本「僕はステージに立つわけではないのにすごい緊張してしまいました。特に由次郎さんの挨拶が一番緊張しました(笑)」
風間「だよね(笑)緊張を和らげるためにやってきてって言われたのに。」
杉本「でもそれだけ由次郎さんが作品に掛ける想いって言うのは凄くて、最初の打合せで由次郎さんと会った時からギラギラした目線を感じました。そのときはまだ台本が出来上がっていなくて、ここから6月までにできるのかなというスリル感も感じました。そんな中で僕も初めてでわからないことばかりだったのですが、由次郎さんが丁寧に教えてくれて、どんどんストーリーからもインスピレーションをもらって、満足いく作品が出来たんじゃないかなと思います。これから初日ですが、この作品は自分の経験値にもなりますし、皆さんが心に何か感じてもらえるような作品になればいいなと思います。」
―猪塚さん、お互いを知り尽くしている風間さんの作・演出、そして今回この素晴らしい音楽の作品に出演して、今のお気持ちは?
猪塚「そうですね、由次郎とは同じ劇団で付き合いも長いので、良い部分も悪い部分もわかっている方だと思います。今回は由次郎の手の届かない部分を自分が仲間として支えられたらという思いで、女房役のつもりでやりました。でもそんな思いをキャスト全員がもってやってくれたってこともありますし、スタッフさんもそんな僕らを見てどんどん協力してくださるようになって、僕らの足りないところをみんなで補ってくれて、一丸となって作った作品になったと思います。また杉本さんが音楽を作ってくれて、僕はミュージカルの経験は全然ないですが、音楽の力の素晴らしさを本当に感じました。由次郎の書いた台本でもここちょっと足りないかなという部分も杉本さんの音楽で説得力が出たり。素晴らしい音楽があって、初めてぐっともう一つ上に行けるなという感じがあって、音楽っていいなと改めて感じました。」
―今回の作品の見どころや聴きどころを教えてください。
風間「このDDDという劇場でできることがとても大きいです。お客さまとの距離がとても近いので、マンパワーというかエネルギーが直接届くんじゃないかなと思います。」
杉本「やはりミュージカルの醍醐味はキャストの声がどんどん重なっていくシーンだと思います。特にエンディングの曲はみんなで希望に向かって突き進みながら歌っていく曲で、僕たちの普段の生活にも勇気を与えてくれるんじゃないかなと思います。あと普段自分がバンドやライブの中では作らないような歌と演技が組み合わさった曲だったり、もっとポップでステージ映えするような楽曲もミュージカルならではだと思います。」
猪塚「僕は主役のアスターという役をやらせて頂いているのですが、この作品はそのアスターが挫折を経験しながらもそれをまわりの人たちが乗り越えさせてくれる物語です。そのなかで問題を解決してくれるのはみんなの歌なのですが、その歌がただ劇中の歌というだけでなく、普段自分が悩んでいるときに背中を押してくれるような曲なんじゃないかなと思います。この作品の歌をきいて、自分が普段悩んでいることを勇気づけてもらえたらなという思いもあって、パワーを伝えたいなと思っています。」
―今回の稽古期間を通して、改めて発見したお互いの才能はありますか?
猪塚「由次郎はツッコミの才能あるなと思いました(笑)ボケを逃さない。」
風間「稽古場は賑やかな方が良いから(笑)健太に関して言えば、手が届かないところをいつも指導してくれていて、普段劇団では見せないような後輩の役者たちを教える、兄貴的な存在になれるんだと知りました。」
杉本「由次郎さんはとても丁寧に指導していてそういう才能があるんじゃないかと感じました。そして(風間と猪塚)二人のやりとりを見ていて、改めて良いコンビだなと思いました。縁の下の力持ちというか、本当に良いチームワークだと思います。」
【STORY】
今からさほど遠くない未来の世界。
人の才能は生まれてまもなく着けられるリングによって管理された。
子供の将来は、1度だけ着けることのできるそのリングによって決まる。親は生まれてきた子供に、いかに優れた才能を収めたリングをつけられるか競い合った。富める親たちは金と権力にものを言わせて特別なリングを手に入れ、優秀な子供を得る。
……それは、愛が薄れゆく世界だった。
裕福な家庭に生まれ、特別なリングの力で将来が約束された「オーバー」の少年アスター。ある日、彼は暴漢に追われる少年トトイと出会う。銃をつきつけられたトトイの命を救うため、自分の首のリングを外して暴漢に渡すアスター。
トトイは「壁」の向こうからきたリングを持たざる者、通称「ロスト」だった。
リングを失ったアスターはいとも簡単に家を追い出される。父親にとって必要だったのは『優秀な才能を持った息子』でしかなかったことを悟るアスター。
居場所を失い、絶望に打ちひしがれて彷徨うアスターは、いつしか「壁」の向こう側、ロスト街に辿り着いていた……。
【公演概要】
アミューズ若手アーティストによるオリジナルミュージカルプロジェクト
「オーバーリング・ギフト」
日程:2017/6/15(木)~25(日)
会場:東京・DDD AOYAMA CROSS THEATER
作・演出:風間由次郎
音楽:杉本雄治
出演(五十音順):
猪塚健太、風間由次郎、加藤潤一、島ゆいか、富田健太郎、中村百花、溝口琢矢