身体能力抜群のキャストが重力無視のアクロバットダンスを披露
稽古からここまで本気とは!?全力で挑む本番は想像を超えそう!
サッカー漫画の名作、高橋陽一原作の『キャプテン翼』が“超体感ステージ”となって初の舞台化を果たす――。この驚くべきニュースは瞬く間に広がり、8月18日(金)の初日を目前にヒートアップしてきた稽古場が報道陣に公開された。見学できるのは、芝居メインのシーン、ダンスシーン、そして、最大の見せ場となる試合ムーブメントシーンの3つ。時間にすれば30分強だが、ほとんど休憩なしでキャストたちは全力疾走した。
稽古開始の合図が出される前のウォーミングアップから、サッカーボールを蹴り合ったりリフティングしたり、いとも簡単に宙返りやバク転をして身体を温めるメンバー。逆立ち静止で全身の筋力を見せつける人もいる。「そろそろいいかな」、スタッフの一声で26名の男たちが素早く配置についた。カンパニーの団結力は一目瞭然だ。ストーリーは舞台版完全オリジナル。Jr.ユース時代を軸とし、大空翼と全日本メンバーの前に立ちはだかる強敵レッドストームにオリジナルキャラクターのレオンとポポロが登場。激しく散らす火花が見どころになる。
芝居シーンは、フランス国際Jr.ユースからの帰国便で経由することになったドバイが舞台。乗り継ぎ便待ちの間もボールを離さない翼をからかい、初めはじゃれ合ってボールを蹴り合う全日本メンバーだったが、強敵レオンと劇的な邂逅を果たしドバイ旧市街があっという間にサッカーのフィールドに!
「ダンスシーン行きます」と寸暇をおかずシーンチェンジ。翼と全日本メンバーが練習するグラウンドに、ロベルト本郷とレッドストームのレオン&ポポロが乗り込んでくる。「一緒に練習しようよ!」。元木聖也の純粋なセリフの声は“翼くん”そのもの。差し出した手を払いのけられても、サッカーボールさえあれば志を共にする仲間なのだ。
……と、ここで気がついた。出演役者全員がサッカー経験者というわけではないのに、実際にボールをパスし合いながらシーンは展開され、子どもの頃から身についた特技のようにドリブル、フェイント、ヘディングをやって見せる。翼くんの名ゼリフ「ボールはともだち」のまま、いまやキャスト全員がボールとお友だち!
いよいよ見どころの試合ムーブメントが始まった。ここまで休憩なし。「息を整えて」とスタッフから声はかかるが、「あちー」と汗をぬぐう仕草はあるもの、息が上がっている気配は誰にもない。恐るべき体力。袖に引っ込んでもエネルギーを持て余すがごとく動き続ける。
速い――。
見学中の報道陣の前スレスレを高速で走り抜け、スニーカーの靴底をキュキュッ!と鳴らして逆転回。カメラマンも猛烈な連続シャッターを切らねばならない!宙返りや連続バク転のアクロバティックは、ここではもはや特別ではないらしい。全員が自らの役の技に合わせてクルクル跳んでは、勢いよく床を滑ってスライディング。相手と呼吸を合わせたスローモーションからのハイスピードモーションと、身体能力の高さをまざまざと見せつけられた。キャプテン翼独特の技の解説は、各役者が全力で動きながら自らセリフでフォロー。中でも目を見張ったのはダブルコークスクリューだ。初めて生で見た! しかも超至近距離! 完全に重力を無視している。元木はサッカーゴールに見立てた高さ2メートル超のセットから飛び降りるアクションも披露。稽古でここまで完成度が高いとなれば、マジックやワイヤーアクションがプラスされる本番ではいったいどうなってしまうのか。物語ラストは全日本VSレッドストームの熾烈な試合ムーブメント。マジック、フライング、映像などの舞台テクニカルを加えたラストゲームの仕上がりは劇場で確かめたい!
公開稽古後、ゼッケン14番の石崎了役・輝山立のMCでカコミ取材が行われた。芝居中でも翼をかまうキーマンの石崎だが、取材のまとめ役としても活躍だ。
元木聖也/大空翼 役
舞台化されるキャプテン翼は“超体感ステージ”。お客様に特注のハプティックウェアを装着してもらってシュートの衝撃やキックの感触が体感してもらえる、演劇では世界初の新技術の導入や、フレグランス演出システムもあります。そして、エビケン(蛯名健一)さんの演出によってマジックやワイヤーアクションも加わり、僕ら身体能力の高いメンバーが、皆さんがいままでに見たことのないような動きを見せます。スタッフ・キャスト一同で命をかけ、命を燃やしてがんばっていきますのでよろしくお願いします!
中村龍介/若林源三 役
出演オファーを受けた感想を率直に言うなら“仕事が来た!”でした。顔合わせの際は向かい側の人の顔が見えないくらい大人数で、今日もこんな多くのマスコミの方が見にいらして、事の重大さに気づきつついます。「キャプテン翼」の名に恥じないようがんばります。さまざまな新技術もありますが、僕らの本業は役者。役の面でも皆さんに心を動かしてもらえるよう演じたいと思います。
松井勇歩/日向小次郎 役
キャプテン翼の技は、通常のサッカーにはないアクロバティックな技ばかり。大胆に、だからこそ繊細に、いまボールがどこにあるかをキャストの目できちんと追い、たとえそこにボールがなくても客席のお客様からも宙に浮かぶボールが見えるよう演じることを大事にしています。僕自身の役はシュートが多いので、打った時の衝撃がハプティックの体感技術でお客様に伝わるように繊細にやりたい。キャスト・スタッフ全員で、演劇界に新しい伝説を作ります。
鐘ヶ江洸/岬太郎 役
アクロバットは、普段は目線を決めて飛ぶものです。でも、ボールをきちんと追う目線は確かに大事。これからワイヤーアクションも加って大変なことは増えますが、キャプテン翼の原作ファンの方にも喜んでもらえる舞台になるようがんばります。僕たちがこの舞台をやる意味は、もともとの原作ファンで、これまで劇場に馴染みのなかった方にも見に来てもらうこと、そして、これで初めてキャプテン翼を見て好きになってもらうこと。精一杯に稽古してお見せします。
鷲尾修斗/三杉淳 役
ハプティックウェア装着の超体感にフレグランス効果と新技術が楽しみですが、なにより僕らは役者です。新しい効果と演劇の熱を融合した舞台をお見せしたいと思います。また、お馴染みの全日本メンバーもですが、レッドストームという敵チームもいて、そっちでがんばっている役者もいます。キャスト全員を応援してもらえるようお願いいたします!
反橋宗一郎/松山光 役
サッカー経験者より、むしろ未経験者が多いんです。稽古の合間にリフティングなどの練習を各自が一生懸命やっていますし、稽古終わりには4対4の本気のミニゲームをやるんですが、先日エビケンさんがミニゲームに混ざりました。一番スライディングしたり、ダンスプレイをしていたのはエビケンさん。翌日、身体が痛い、めまいがするとおっしゃっていたのがおかしくて印象的でした。みんなで花開く作品にできるようがんばります。
田中稔彦/ロベルト本郷 役
本作ではコーチ役ですが元はブラジル代表のエース。網膜剝離で選手生活を断念し生きる希望を見失っていた時に翼に出会い、本作オリジナルキャラクターのレオンと出会い、二人が生きがいになるのですが、そんな二人がぶつかり合うという大きなドラマが……。全日本とレッドストーム、両方に愛をもって演じています。僕も稽古中にみんなを見ていて感動するんですよ。きっとお客様にも感動がお届けできると信じています。
瀬川亮/見上辰夫 役
僕がサッカーを始めたきっかけがキャプテン翼でした。リアルタイムでコミックもアニメも見て翼くんに憧れ、小学生からずっと翼くんを追いかけてきたほど。実は岬くんも気になっています。ここに出てくるキャラクターはみんな大人で(日向くんだけ子どもですが・笑)、中でも岬くんの周囲を思う気持ち、縁の下の力持ちとしての存在はすごくて、40歳手前になったいまの自分からしても見習いたい。大人チームの役としてはみんなを見守り、毎日体力的にも大変だと思うけど、日々の稽古をどう過ごすかで本番は変わります。ケガに気をつけながら劇場入りまで、そして開幕してからも成長するよう、みんなでがんばります。
渡辺和貴/若島津健 役
素晴らしい作品になると思います。ぜひ僕たちの熱量を劇場で体感してください。
土井一海/早田誠 役
キャスト・スタッフ全員の熱量が高い作品です。僕たちの青春よろしくお願いします!
加藤真央/新田瞬 役
お客様に衝撃が与えられるよう、一致団結して作品を作っていきます。
大曽根敬大/立花政夫 役
今回改めて原作を読み直しましたが、彼らの練習量はすさまじい。その中であのパフォーマンスが生まれていると考えると、僕たちはもっともっと練習量を増やし、あのすさまじいパフォーマンスに耐えられる身体と表現力を身に着けなければ、この世界観は表現できないと思いました。皆様にいいものを届けられるようがんばりますので楽しみにしていてください。
廣野凌大/立花和夫 役
このカンパニーは本当にみんなが同じ方向を向き、すごい熱量で取り組んでいます。なにかを感じてもらえるよう頑張ります。
皇希/次藤洋 役
この夏は、舞台版キャプテン翼を体感しに来てください!
EBIKEN(蛯名健一)/演出
日々、試行錯誤しながらですが、僕だけの力ではなく、みんなのパワーをもらって創り上げていきます。今日の公開稽古のシーンも流れを追っただけですが、この時点でここまで出来上がっていて、これに映像やワイヤーアクションが加わるとかなりおもしろくなると、自信を持って思いました。男だけのむさくるしい舞台ではありますが、みんなのパッションが伝えられる、感動が与えられる舞台にしますので、ぜひ見に来てください。
最後にこんな質問を一つ!男だらけですが、男臭さエピソードはありますか?
元木 これだけ男が集まる芝居もなかなかないと思います(笑)。みんなそれぞれ特技があるのでそれを熱くしゃべり合うところは“男同士”ならではですね。あと、さっきの話にも出たミニゲームは本当の本気なんです。円になってボールを蹴り合ったりして、失敗すると後ろ向きに壁に手をついてみんなでその人のお尻をボールで狙うんですが、よく当たるのは土井くん(笑)。中高生みたいな男の遊びをやっています。
少年心を忘れない彼らの熱い青春を劇場でぜひ見届けたい!
取材・文/丸古玲子
超体感ステージ『キャプテン翼』
日程・会場:2017/8/18(金)~ 9/3(日)Zeppブルーシアター六本木(東京都)
原作:高橋陽一
総合演出:EBIKEN(蛯名健一)
脚本:加世田剛
振付:松永一哉
出演:
大空翼 役:元木聖也
若林源三 役:中村龍介
日向小次郎 役:松井勇歩
岬太郎 役:鐘ヶ江洸
三杉淳 役:鷲尾修斗
若島津健 役:渡辺和貴
石崎了 役:輝山立
松山光 役:反橋宗一郎
早田誠 役:土井一海
新田瞬 役:加藤真央
立花政夫 役:大曽根敬大
立花和夫 役:廣野凌大
次藤洋 役:皇希
ロベルト本郷 役:田中稔彦
見上辰夫 役:瀬川亮
伊阪達也
北村悠
斎藤准一郎
松永一哉