『池袋ウエストゲートパーク SONG&DANCE』
大野拓朗・染谷俊之・矢部昌暉(DISH//)インタビュー

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石田衣良の人気シリーズ小説「池袋ウエストゲートパーク」が初舞台化。2度のワークショップを経て、ついに劇場での公演に踏み出す。
おなじみのキャラクターたちが暴れ回る、池袋のストリートギャングの闘いを描いた「サンシャイン通り内戦(シヴィルウォー)」をオリジナル楽曲と群舞に乗せて描く。

主演・マコト役はミュージカル『ロミオ&ジュリエット』や連続テレビ小説『わろてんか』で活躍中の大野拓朗。
ドラマ版「池袋ウエストゲートパーク」を愛して止まないという大野は「ずっと憧れていたあの輪の中に入れるという喜びと衝撃で痺れました」と、本作への思いを語る。

カラーギャング集団・G-Boysのキングことタカシ役には、舞台・ドラマ・映画など精力的に仕事の幅を増やしている染谷俊之。対立するレッドエンジェルスのリーダー京一役には、ダンスロックバンド・DISH//の矢部昌暉がオーディションで選ばれた。

2人とも「発表された時の周りの反響がすごくて、プレッシャーを感じています」と緊張の面持ちを残すが、出演出来ることになった喜びは大野にも負けない。

揃うのは本日の取材が初めて、という3人に『池袋ウエストゲートパーク SONG&DANCE』という新たな試みへの意気込みを語ってもらった。

 

―― 台本を読んだ印象は?

大野「これがどんな風に舞台になるんだろう? とワクワクしました!最初にもらった段階では歌が入っていない台本だったんです。でもG-BOYSとレッドエンジェルスたちのセリフの感じがとても舞台っぽくて、演出が楽しみになりました。」

染谷「小説もドラマも、それぞれの面白さがあると思うんですけど、舞台は“SONG&DANCE”ならではの、歌と踊りの効果がすごく大きい作品になるんだろうなという気がしました。それと、座席の一部がステージ上に設置される対面式の舞台になるので、両面から観られるってどんな感じなんだろう?と。」

矢部「僕も対面式の舞台ということが一番気になりました。」

 

―― 特殊な客席スタイルはみなさん初めてですか?

染谷「僕は円形劇場でやったことがあります。」

大野「そうなんだ!それもまた違いそうだね。」

染谷「はい。円形は360度なので、立ち位置の正解がないんですよね。だから背中も意識するような感じでやっていました。でも対面式だとまた違う臨場感があるのかなと。」

矢部「僕はグループのライブで色んな会場に立たせていただいているのですが、ライブはやっぱり客席に向かってパフォーマンスするので。対面式、新鮮です。」

大野「対面で客席があると、客席に向かって言う感覚ではなくて、本当にその場でセリフを言う感じになりますよね。ドラマもカメラの位置とかを意識しなくてはいけないので、そう考えると映像より何より“生”のスタンスでやれる気がします。」

 

―― 原作があると、原作を読み込む研究タイプと、封印するタイプの方がいる印象があるのですが、みなさんはどちら派ですか?

染谷「役が決まった時にドラマ版を見返しました。観たのがけっこう前だったので、作品のテイストや当時の池袋の雰囲気を知りたくて。原作小説との違いも気になったので小説も読みました。小説の「キング誕生」や、キングが関わるエピソードは役作りの参考にしていきたいと思っています。」

矢部「僕も原作を読み返しました。グループのメンバーが宮藤官九郎さんが好きで、勧められてドラマ版を見たのがキッカケだったんですけど、読書も好きなので原作小説も読むようになっていて。出演が決まった後に、改めてもう一度エピソードを読みましたね。」

大野「僕はドラマ版が大好きでDVD-BOXも持っているんですけど、しばらく見ないようにしようかと思っています。もちろんドラマ版は大好きなんですけど、自分のマコトは台本とにらめっこして、あとは周りとの関係性でできていくモノだと思ったので。でもドラマ版が大好きだった分、もう自分の中に流れてしまっている気はしますけどね(笑)。」

 

―― 脚本・作詞に柴幸男さん(ままごと)、演出に杉原邦生さん(KUNIO)、振付に北尾亘さん(Baobab)と、気鋭のクリエイター陣も話題ですが、みなさんの中で注目は?

大野「先日発表になったんですけど、「IWGPオープニングテーマ」作曲のJUVENILE(ジュブナイル)さん!曲を聞かせていただいたんですけど、カッコ良くて一気に惹き込まれました。 さすが「PERFECT HUMAN」!(=同氏はRADIO FISH「PERFECT HUMAN」の作編曲担当)」

全員「(笑)」

大野「テーマ曲が冒頭からガンガンにかかるので、お客様も一気に世界に入り込めると思います。すごくキャッチーなんですよ。そこにキャストそれぞれが持つカリスマ性が乗って、魅力的なシーンになるだろうなと。さらに、ストーリーの中では多種多様の作曲家さんがミュージカルやヒップホップ調の素敵な曲を作ってくださっていて、心の琴線に触れる音楽、ダンス、歌、芝居になること間違いなしです。」

染谷「僕も曲には大きく助けられると思います。キングのテーマは、ストーリーの中には描かれていない“何故タカシがキングになったのか”というバックボーンを表現してくれているので。しっかり想いを乗せたいなと思いますね。」

大野「タカシのテーマも京一のテーマも、めっちゃくちゃカッコイイんです。俺もマコトのテーマ欲しかったー!」

全員「(笑)」

矢部「でも歌いますよね?」

大野「そうだけど、ひとりで歌っているからなぁ。2人はグループの人たちが周りにいてくれるから羨ましい!」

染谷「でも中立の立ち位置がそこに出ていて、逆にカッコイイですよ。」

矢部「「わ、マコトだー」と思いました。」

 

―― 京一はソロダンスシーンがありますね。

矢部「はい!元・バレエダンサーの役ということで、役が決まってから柔軟体操は始めていました! 僕、めちゃくちゃ体が硬かったので。ヒップホップをやったり、グループの曲で踊ったりはしていましたけど、今回はバレエみたいなジャズみたいなコンテンポラリーっぽい感じの振り付けです。どれも初めてのジャンルなので、今はまだ四苦八苦しています。」

大野「ダンス見たけど、全然そんな風に感じない!色っぽいよ。セクシーです。」

矢部「いやいや、頑張ります!」

 

―― 最後に、意気込みをお願いします。

矢部「ファンの方がたくさんいる作品だと思います。幅広い世代の方から支持を受けていますし、その中に京一のファンだという方もいらっしゃると思うので、その期待に応えられるように。そしてイイ意味で裏切れる、舞台版の京一というのを演じることが出来たらと思っています!」

染谷「原作ファンの方にはもちろん、そうでない方にも楽しんでいただける作品にできたら良いなと思っております。みなさん、ぜひ観に来てください!」

大野「不良の話しだから怖いと思う人もいるかもしれないけど、全然そんな感じではないです。みんなとてもすごく人間味あふれていて、カッコよくて、さらにミュージカルなので歌があって踊りがある。個性が強い人たちの表現がより色濃くなると思いますし、曲も素敵です!老若男女、おじいちゃんおばあちゃんでも楽しんでいただけるような作品になると思います。このザ・エンターテイメントの中にあふれるカリスマ性に酔いしれていただけたらうれしいです!」

 

インタビュー・文/片桐ユウ

 

【公演概要】
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『池袋ウエストゲートパークSONG&DANCE』

日程・会場:
2017/12/23(土)~2018/1/14(日) 東京 東京芸術劇場シアターウエスト
2018/1/19(金)~21(日) 兵庫 阪急中ホール

原作:石田衣良(『池袋ウエストゲートパーク』文春文庫刊)
脚本・作詞:柴 幸男
演出:杉原邦生
振付:北尾 亘

キャスト:
大野拓朗

矢部昌暉(DISH//)

塩田康平
海老澤健次
大音智海
尾関 陸
加藤真央
小島ことり
笹岡征矢
高橋駿一
富田大樹
細川 優
三井理陽
伊東佑華(Wキャスト)
徳永純子(Wキャスト)
田中佑弥

染谷俊之