ミュージカル『のだめカンタービレ』シンフォニックコンサート!|松島勇之介・有澤樟太郎・高橋健介 インタビュー到着!

累計3900万部超の大ヒットを誇る漫画『のだめカンタービレ』(原作:二ノ宮知子)。2023年にミュージカル化が実現し、全公演が瞬く間に数分で完売という驚異的な反響を巻き起こした。実写版のレジェンドキャストでもある、のだめ役・上野樹里さん、シュトレーゼマン役・竹中直人さん、千秋真一役・三浦宏規さんなど、ミュージカル版キャストが再結集するミュージカル『のだめカンタービレ』シンフォニックコンサート!が、9月に東京と台湾で上演される。今作では人気キャラクターの峰龍太郎 役で、初参加の松島勇之介さんと前回から続投の有澤樟太郎さん、そしてこちらも初参加の高橋健介さんの3人が、トリプルキャストで出演するのも話題。東京公演は、東京フィルハーモニー交響楽団のフルオーケストラとの共演! ベト7ことベートーヴェン『交響曲第7番』をはじめ、“のだめ”お馴染みの珠玉のレパートリーが圧巻の生演奏で堪能できる特別なステージになること間違いない。公私ともに仲の良い松島さん、有澤さん、高橋さんの3人に、同じ役を演じる心境、峰の魅力、お互いの関係性などについて、たっぷり語ってもらった。

――今回、ミュージカル『のだめカンタービレ』が、単純な再演ではなく、シンフォニックコンサート!という形で、しかも峰龍太郎 役が仲のいい3人のトリプルキャスト。ファンも喜んでいると思います。この企画とオファーを聞いて、どのように感じましたか?

松島 シンフォニックコンサートというのも初めてですし、こういったミュージカルの世界に挑戦したいと思っていたので念願叶ったのですが、その一発目が樟太郎くんが演じた峰役というので、聞いたときはまず驚きました。それに海外公演も台湾も初めてで。とにかく初めてづくしで、もうドキドキです。
高橋 本音でお話すると。僕にこのお話が来た時に、“あれ?何で僕?間違えてない?”って思いました。高橋って日本で三番目に多い名字なので、プロデュサーの方が他の高橋と間違えているんじゃないかと、マネージャーに確認しました。僕は、東宝ミュージカルには去年『GIRLFREND』、今年『1789 -バスティーユの恋人たち-』と、2作品しか出演したことがないので、ちょっと早いかなと思ったんですね。でも、もし本当に僕にオファーをいただいたのであれば、こんな機会はないので、ぜひやらせていただきたいなと。それに有澤がやっていた役っていうのもあって、面白いなと思いました。くら寿司で食事しながら、樟太郎に「俺、お前の役やるよ」って話したら、驚いたよね(笑)。
有澤 ハハハハ。2023年のシアタークリエの公演のあとに、長野県・上田の大きなホールでも上演させていただきました。その時に「再演するなら、こういう大きいところでやりたいね」と話していたのですが、今回のシンフォニックコンサートに繋がったのだと思うと本当に嬉しいです。さらにこの2人とトリプルキャストなんて(笑)、いや本当にびっくりしましたよ。

――3人が演じる峰龍太郎という人物の魅力は、どういうところだと思いますか?

有澤 どこか抜けているのに愛されてしまうキャラクターで、何よりも音楽が好きで、人が好きで、好きなものに一直線に向かっていくところが魅力的です。素直で真っすぐな役は自分にとっても初めてで。「こんなにも自分にしっくりくる役があるのか」と感じました。(三浦)宏規からもすごく合ってると言われました。
高橋 一番好きなところで言うと、クラスにひとり絶対必要というか、欲しいというか、峰のムードメーカー的なところがとても素敵だと思う。あとは、ミュージカルであまり描かれていませんけど、原作やドラマでは父親との関係とかもあるので、育ってきた環境がそのまま峰の人柄にもつながるような感じで出ているところも、素敵な部分だなと思いますね。
松島 本当に誰からも愛されている存在で、やっぱり誰も見捨てないっていうのが、一番の魅力だと思います。みんなが千秋のことを“ん?”って思っても、峰だけは見捨てないというか。ずっと傍で寄り添って、誰かのために尽力して。でも、自分のやりたい音楽がちゃんとあってというのが、すごく魅力的で大好きなところです。

――個性が異なる3人の峰龍太郎を観られるのが楽しみです。ご自身たちは、どのような違いが出てくると思われますか?

有澤 絶対、違うと思いますよ。
松島 逆に、まったく一緒にやろうとしても、絶対に違うものに見えてくるでしょうし。それぞれ役の作り方も違うんじゃないですか。
有澤 そうだね。勇之介は、公演回数が6回なので、峰という役に一番触れられると思うんですよ。だから、健介くんですよ、問題は。
高橋 ハハハハハ。
有澤 僕と健介くんは一回だけの公演だから、一発にかけるすごく特別感のある峰になると思うんです。
高橋 今いろいろ考えていて、どういう方向性でやるかはまだ決めていません。普段だったら、自分がその役に選ばれた意味を大切にして、自分ならではの峰を作ることに注力しますが、今回は、出来上がっているものに参加させていただく形で、僕も一回だけの出演なので、樟太郎が作り上げた峰に寄り添う作り方もあるのかなと。まだちょっと迷っていますけど。
有澤 健介くんは、事前に細かく準備して、役を構築していくタイプだと思っていて。勇之介もたぶん同じで、まじめだからいろいろ考えて役作りするタイプだと思うんですけど。健介くんは、一回じゃないですか。だから、構築だけじゃない勢いとかが大事になってくると思う。企画自体がそういう勢いを大切にするものでもあるので、健介くんの一球入魂を見られると思います(笑)。
高橋 アハハハハ!
松島 でも、それがいいエッセンスになるかもしれない。
有澤 そうだと思います。だから、健介くんにとって、たぶんいい日になるんじゃないかな。いいチャレンジですよ、本当に。
高橋 でも、勇之介は6回公演あるのも大変だよ。
松島 どちらにしても、大変ではありますよね。
有澤 僕も今回は、一球入魂で頑張らないと。今回、2人にこのカンパニーは本当に素晴らしいと伝えておきたいです。あと竹中直人さんは舞台上でも自由に、普通にふざけて笑わせてくださる。僕はもう、人生で一番笑ったのでは、と思うほどでした。こういう在り方は憧れでもありますし、上野さんをはじめ、共演者の方々から得られるものがたくさんある現場です。稽古も本番もきっといい時間になると思う。

――3人は、ミュージカル『刀剣乱舞』での共演などで、公私ともに親しい間柄とのこと。改めて、お互いの関係性についてなどをお話いただけますか? では、松島さん、高橋さんから見た、有澤さんは…?

松島 僕は、「刀ミュ」でがっつりお世話になって。そこから、自分の進みたい道の先に樟太郎くんがいるような。顔も似ていますし(笑)
有澤 よく言われるんです似てるって(笑)。
高橋 陰で見たら、どっちかわからないもんね(笑)。
松島 今は、後を歩いていますけど、いつかは追い付きたいなって思います。
高橋 樟太郎とは2016年に出会って、役者だけでは食えない時期から知っているので、2人ともこうして役者を続けられていることが、一番嬉しいです。
有澤 そんな時代もありましたね。
高橋 最近、寂しいのはお仕事情報をファンの方と同じタイミングで知ることかな(笑)。でも、どれだけ売れっ子になっても、普段会うときは出会った当時のまま何も変わっていないところが、本当に素敵だなと思いますね。
有澤 ありがとうございます!

――松島さん、有澤さんから見た、高橋さんは…?

松島 健介くんから見て、僕は生意気だと思うんですよ(笑)。でも、ずっとそのままでいさせてくれるんですよね。それから、僕が落ち込んでいるときに、慰めると余計落ち込むのをわかっていて、めっちゃいじってくるんです。意地悪な部分をビジネスで見せていますけど(笑)、根本はすごくいい人なんだなって。
高橋 ありがとうございます!
有澤 よくおごってくれるんですけど、それを絶対に他で話して欲しくないんだろうなって(笑)。
高橋 ハハハハハ。
有澤 健介くんと出会った頃、こんなにも人からの見え方を気にしない人がいるんだと思って、一緒に舞台やっていけるかなって思ったんですけど。根本は優しいお兄ちゃんで、かまってちゃんで、人から頼られたい人。あと、不思議な能力を持っていて、2人になるとみんな大事なことをつい話しちゃうんですよ。ちょっと危ういコンフィデンスマンです(笑)。
高橋 それ言いたいだけだろ(笑)。

――高橋さん、有澤さんから見た、松島さんは…?

高橋 勇之介は長身でスタイルもいいし、声もデカいんですけど、超繊細。人から言われたことを全部真に受けて、落ち込んで…みたいなところがあるので、それはすごく意外でしたね。
有澤 勇之介は責任感が強くて真面目。それがカンパニーで如実に出るんですよ。「刀ミュ」で初共演したとき、頼りがいがあって、器用にこなすタイプなのだなと思っていたので、意外としっかり悩むタイプだと知って驚きまました。峰の要素を持っているなと思うのは、真面目さゆえ、なんかいじってしまいたくなる愛らしさがすごくあるからなんですよね。

――お互いはどんな存在なのでしょうか?

有澤 二人がいてくれると本当に安心します。食事にも行きますし、銭湯にも一緒に行く。裸の付き合いが出来るほど親密で、おそらくおじいちゃんになるまで一生続いていく関係だと思っています。
高橋 役者同士ですけど、2人のことを普通に好きなので、ライバルみたいな意識はないです。でも、それぞれ仕事でどんどん成長しているので、2人に見限られないように、僕もいろいろなジャンルで結果を出し続けないと、先輩としていられなくなっちゃうんで。2人がいてくれるからこそ、自分も仕事がんばろうって思える存在ではありますね。
松島 僕は、2人のことは尊敬の気持ちでここまでやってきましたから。健介くんとは2歳、樟太郎くんとは1歳、僕が下になるんですけど。ふとした時に、年齢差以上の圧というか差を感じてしまうんですよね。
高橋 今、同じ役をやっているんだよ?(笑)
松島 そうなんですけど…。置いていかれないようにじゃないですけど、自分にプレッシャーを与えてくれる人たちですね。

――東京公演は、東京フィルハーモニー交響楽団のフルオーケストラとの共演になります。楽しみにされていること、意気込みをお聞かせください?

松島 生楽器の音のパワーというか、これまで体験したことのないような迫力の中での歌とお芝居になると思うので、そこにものおじせず楽しみたいです。そして、松島らしさ、峰らしさを精一杯出して、ロックをお届けしたいなと思います。
高橋 僕はクラシックコンサートに行った経験がほとんどなくて、今回の公演がどれだけすごいのか、正直あまり理解できていなかったんですけど。地元の友達や後輩から、「“のだめ”の舞台に出るの?」って、『ウルトラマンX』に決まったとき以上に連絡がきて。
それで、これはヤバいことだぞと。すごいものに出ることになっているのだと、より気合が入りました。千秋役の三浦宏規のことも10代のときから知っていて、今回、宏規とのデュエットもおそらくあると思うんですけど、会って開口一番に「健介くんとデュエットする日が来るとは」って言われました。
有澤 アハハハハハ。
高橋 後輩の足を引っ張らないように、周りの方々にも、しっかりと自分のやってきたことを見せられるように、頑張りたいと思います。
有澤 僕は、ベト7(ベートーヴェン『交響曲第7番』)が、一番楽しみです。しかも、宏規が指揮を降るという特別な公演。そんなのもう最高だなと思って。本格的なフルオーケストラをバックに演じられる機会は本当に貴重で、僕自身も、お客様も心待ちにされていると思います。この贅沢な企画に、一球入魂で挑みたいと思います。

取材・文:井ノ口裕子