【観劇レポート】『ベルサイユのばら45 ~45年の軌跡、そして未来へ~』

1/27(日)東京・国際フォーラムで『ベルサイユのばら45 ~45年の軌跡、そして未来へ~』が開幕した。

1974年に宝塚歌劇で初めて上演された『ベルサイユのばら』は空前の大ヒットとなり、その後も再演を繰り返し、宝塚歌劇の代名詞の一つとも言える作品として多くのファンを魅了し続けている。初演から45周年となる今年、宝塚歌劇『ベルサイユのばら』の歴史を彩ってきた歴代キャストが集まり、組や世代を超えた夢の共演が実現した。

今回の公演は上演年代や役柄により出演者を変え、公演ごとに様々なバージョンの『ベルサイユのばら』が楽しめる。※筆者は1/27(日)ソング&トーク1970年代ALLバージョンを観劇

きらびやかな『ベルサイユのばら』のロゴがあしらわれたお馴染みの幕があがると、プロローグは小公子・小公女たちが歌う「ごらんなさい ごらんなさい」。続いて颯爽と男役たちが「心の白薔薇」を歌い踊る。1974年初演から1976年までの舞台映像が流れ、45年前にタイムスリップしたような感覚になる。

『ベルサイユのばら』公演最多出場回数の宝塚歌劇団 専科 汝鳥 がMCを務め、初演メンバーを紹介。今回の出演者の中で最上級生となる初代マリー・アントワネット役を演じた初風 が見事なソプラノで歌い上げる「青きドナウの岸辺」は感動で鳥肌ものだ。そして初代オスカルを演じた榛名由梨、ベルばら四天王と謳われる 夏子安奈 が次々と当時の名曲を披露。

 

続いて1989年から1991年までの舞台映像が流れ、平成初期の出演者が登場。日向 紫苑ゆう杜けあき一路真輝麻路さき。コスチューム姿ではないが、当時よりも更に深みを増したフェルゼン、アンドレ、オスカルを歌で表現した。※麻路さきは公演替わりキャストでコスチューム姿も披露

お待ちかねのトークコーナーでは、主に初演組と平成初期の再演組が交代で担当。中には「アンドレ」を演じた出演者だけのトークもある。各回とも当時のエピソードなどを思い思いに語り、会場は爆笑の渦に。

 

そしてここからは当時の名場面の再現。フランス革命に身を投じたオスカルとアンドレの「バスティーユ」を軸に、衛兵隊とのやりとりをはじめ、数々の歌と群舞で舞台を盛り上げる。凛とした佇まいの 、革命に突き進む情熱的な朝海ひかるのオスカル。そんなオスカルを優しく見守る 夏希、包容力溢れる湖月わたるのアンドレ…。

 

ニ幕はフェルゼンとマリー・アントワネット編より、囚われの身となった王妃を救おうと駆けつけるフェルゼンと、死を覚悟したアントワネットの「牢獄」「断頭台」をメインに展開される。和央ようか演じるフェルゼンはひたすら麗しく、マリー・アントワネットの白羽ゆりは穏やかさと強さを兼ね備えた気高い王妃に。二人の悲しくも美しい芝居に涙を抑えることができず、こんなにも泣かされるとは思わなかった。

短く切り取った場面でも、ここまで観客を劇中に入り込ませることができるのは、ひとえに作品の持つ力と、宝塚OGたちの底力と、出演者、スタッフ全員の『ベルサイユのばら』への愛情だと強く感じた。

 

フィナーレでは『ベルサイユのばら』の定番ソングや「小雨降る径」「薔薇のタンゴ」「ボレロ」など、往年のダンスナンバーが次々と繰り広げられ、ファンはため息ものだ。

 

最後は『ベルサイユのばら』から生まれた名曲「愛あればこそ」を全員で。世代を超えて歴代キャストが集う一大イベントは、懐かしくてあたたかい気持ちになれる、夢のひと時だ。

同じ場面でも出演者が変わるとまた違う魅力を発見し、現役時代には実現しなかった夢の共演を観ることができる、何度も通いたくなること間違いなし!の公演。偉大な『ベルサイユのばら』の45年の軌跡を是非、体感いただきたい。

東京公演は2/9(土)まで東京国際フォーラムホールCにて上演中。
大阪公演は2/16(土)~2/24(日)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演。

 

文/ローソンチケット