ミュージカル『十二国記 -月の影 影の海-』博多座公演|柚香光 合同取材会レポート

1991年の刊行以来、日本を代表する大河ファンタジーとして揺るぎない地位を獲得している『十二国記』。世代を超えて愛されるこのビッグタイトルが今回、待望のオリジナル・ミュージカルとなる。2025年12月の東京・日生劇場を皮切りに、2026年1月には博多座に登場。新しい年の始まりにふさわしい壮大さと、多くのファンを魅了し続ける本作にどう挑むのか。公演を前に、福岡で単独会見を開いた主演の柚香光に話を聞いた。

――まずは意気込みをお聞かせください

今回初めて東宝ミュージカルに出演させていただくこと、その作品がたくさんのファンがいらっしゃる『十二国記』で、初のミュージカル化であること、これらのことを大変光栄に感じています。心が踊るような気持ちとともに、一生懸命させていただこうという思いを今、抱いています。

――原作を初めて読んだときの感想はいかがでしたか?

初めて読んだときはなんて面白いんだろうと思いながら、のめり込むように、集中して読ませていただきました。次のページ、また次のページといった具合に、どんどんページを捲っていったことを覚えています。(シーンごとに)あなただったらこの時どうしますか?と問いかけられているような感じがして、陽子が発する深い言葉や、運命に対する向かい方に惹きつけられました。エネルギーにあふれるこの作品に出会えたことをうれしく思っています。

――演じるにあたり、どんな陽子像を思い描いていらっしゃいますか?

葛藤や迷いを抱えた女子高生の陽子が、いろんな試練にあいながら徐々に運命を受け入れていく物語です。最初は逃げたいと思っていますが、日本に帰るために自分はどうればいいかと考えながら成長していきます。陽子は芯が強く、賢い。反対に弱いところなどは私も共感するところがあります。

――異界に連れ去られてからの中嶋陽子を柚月光さんが「ヨウコ」として、日本の高校生時代の中島陽子を加藤梨里香さんが「陽子」として演じます。“二人一役”という珍しい趣向ですね

1人の中嶋陽子をお客様にも違和感なく思っていただけるよう、加藤梨里香さんと心を通じあわせながら演じていきたいと思っています。“二人一役”は演出家の山田和也さんが考えてくださいました。加藤さんの陽子と私が演じるヨウコで、掛け合いもたくさんあります。お客様に共感いただけるようにしたいと感じています。

――陽子は異形の獣たちに襲われます。闘いのシーンも見どころになりますか?

はい、異形の獣たちとの闘いは一つの見どころですね。演劇ならではの手法によって、異形の獣たちがどんどん登場してきますので、そちらも楽しんでいただけると思います。私としては、小説のなかの陽子がそのまま舞台に出てきたように感じていただけるよう、剣の構え方や切っ先(きっさき)の向け方、眼差しなどを考えて、お届けしたいと思っています。

――原作は大人気のシリーズです。宝塚時代も原作がある作品は多数演じられてきました。大事にされていることはありますか?

原作の先生が描かれる世界を何より大切にすることです。先生が描かれたかったものは何なのか、先生が選ばれた言葉から、求められた世界はなんなのか。その役柄をどう作っていかれたのかということを考えます。そしてできるだけ忠実に舞台に立たせていただこうと思っています。原作を愛していらっしゃるたくさんのファンの皆様の心の中にある作品ですから、そのことも大切にしたいと思っています。皆様の心の中にある陽子に、いかに近づけられるかということも考えています。

――ミュージカルということで、楽曲も楽しみです

私もどんな楽曲がいただけるのかと、ドキドキして待っていました。今は楽曲を少しずついただいている最中ですが、一曲一曲にエネルギーがあり、いろんな想像がふくらみます。心がどんどん引っ張り出されていくような感じです。楽曲の数も多いんです。それぞれの登場人物に合った曲もあれば、掛け合いもあります。大ナンバーばかりで、楽しんでいただける楽曲が目白押しです。陽子の言葉がそのまま音楽にのって、お客様に届くよう、一曲、一曲大切に稽古に励んでお届けしたいと思います。

――最後に皆様にメッセージをお願いします!

お正月から博多座に公演させていただけること、そして九州をはじめ、皆様にお目にかかれることにワクワクしています。ぜひ博多座へお越しください。

劇場で体験する『十二国記』がどんなものになるのか。ぜひ舞台で見届けたい。
博多座公演のチケットは11月22日(土)より一般発売。その発売に先駆け、11月3日(月・祝)まではプレリクエスト抽選先行受付中!詳細は下記公演概要欄内の「チケット情報はこちら」よりご確認ください。

取材&文/山本陽子

■「十二国記」シリーズとは

1991年に『魔性の子』(新潮文庫)刊行で始まったこのシリーズは、我々の棲む世界とも繋がる異界〈十二国〉を舞台とした壮大なファンタジー。そして同時に、多くの謎に満ちたミステリでもある。かの世界では、天意を受けた霊獣「麒麟」が王を選び玉座に据える。王が国を治め、麒麟はそれを輔佐する。(株式会社新潮社HPより)
本舞台では、「十二国記」シリーズ本編の第一作『月の影 影の海』を描く。