ミュージカル『メリー・ポピンズ』|濱田めぐみ&上川一哉 インタビュー

世界中で愛されている傑作ミュージカルが新キャストを迎えて3度目の上演!

2018年、2022年に日本版キャストにて上演され、大いに話題を呼んだミュージカル『メリー・ポピンズ』の再演が決定した。
主人公のメリー・ポピンズ役は前回公演から引き続き濱田めぐみ、笹本玲奈に加えて朝夏まなとが新加入。バート役も前回公演から引き続き大貫勇輔、小野田龍之介に加え、上川一哉が初参加する。

メリー役は三度目となる濱田。「メリーからのメッセージをその存在を通して伝えていきたい」と語る。

濱田 メリーは人間ではないけれども、とても人間的な不思議な役です。子どもたちと接するためにやって来ていますが、実はお父さんに一番に会いに来ているんです。大人になった彼の中に閉じ込められているインナーチャイルドを開放してあげて『やりたいことはできるんだよ』と伝えるために来ているのだと演じるたびに思います。きっとこの作品の持つメッセージは、子どもの心を閉じ込めた大人の方たちも必要としているものだと思うので、そうした思いも込めて演じたいと思います。

さらに、映画版でメリーを演じたジュリー・アンドリュースを意識した役作りをしたことも。

濱田 もともと(ミュージカル版を制作した、プロデューサーの)キャメロン・マッキントッシュは、メリー役にはジュリー・アンドリュースの持つ、サバサバしていて男勝りというイメージの人物を探していたそうです。なので、この作品は彼の頭の中のメリー・ポピンズが描かれています。そこに『心の自由』や『自分の道は自分で自由にチョイスしていい』という作品のテーマがあります。役を作る上では、私は映画の中の彼女ではなく、普段の彼女を取り入れようと、インタビュー動画を見たり、彼女の歌を聴いたりして、どんな女性なのかを自分なりにリサーチして追いかけた時期もありました。

一方、バート役の上川は「これからの稽古で固めていきたい」と話す。

上川 バートのお二人といろいろな話をさせていただいたり、稽古をしたりする中で、どんどん役を組み立て、立体化していけたらと思います。実は、すでにバートのお二人からもこの役の大変さをいろいろと聞いているんですよ。歌にダンス、タップと稽古をしなくてはいけないことはたくさんありますが、中でも、僕は高いところが苦手で…。高所恐怖症なんです(苦笑)。でも、吊るされた状態で客席を逆さまに見ることができるのはバートだけとも聞いて、とにかくやるしかない、と思っています。この公演中に楽しめるようになれればいいなと思います。

濱田と上川は今年、ミュージカル『ある男』で15年ぶりに共演を果たした。

濱田 15年前、『ウィキッド』で私がエルファバを演じたときに、エルファバが可愛がっているペットのような存在のチステリーを演じていたので、その印象が強くて。なので、久々の共演は不思議な感覚でした。『ある男』では恋人で、同世代の役だったので、これはとんでもない展開になったぞって(笑)。でも、すごく楽しくお芝居できました。

上川 めぐさんがいてくださるのは心強いです。前回はケンカばかりの役柄でしたが、めぐさんが『今日、よかったね』と言ってくださった時は『よし!』と思いますし、すごく安心できます。僕のチャレンジをしっかりと見てくださり、面白いキャッチボールをしてくださるので本当に楽しいです。

濱田 今回はケンカもなく、仲良くできるので(笑)、どんなコンビになるのか楽しみですね。

インタビュー・文/嶋田真己
Photo/矢野寿明

※構成/月刊ローチケ編集部 12月15日号より転載
※写真は誌面と異なります

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【プロフィール】

濱田めぐみ
■ハマダ メグミ
数多くの作品で主演を務めるミュージカル俳優。代表作は『レ・ミゼラブル』『アイーダ』『ウィキッド』など。

上川一哉
■カミカワ カズヤ
2005年に初舞台。以後、数多くのミュージカル作品に出演。代表作は『ムーラン・ルージュ』『リトルマーメイド』など