ミュージカル ダブル・トラブル TAKE2 ~Hollywood Ending~ ゲネプロレポート(上口耕平&辰巳雄大 Ver)

撮影/岡千里

東京・西東京市のタクトホームこもれびGRAFAREホールにて開幕したミュージカル『ダブル・トラブル TAKE2 ~Hollywood Ending~』。公演に先立ち、ゲネプロがメディア向けに公開された。本記事では上口耕平と辰巳雄大の2人によるヴァージョンをレポートする。

本作は、映画音楽で一旗揚げようと奮闘する作曲家の兄ジミー・マーティンと作詞家の弟ボビー・マーティンが、さまざまなトラブルに巻き込まれながらも仕事や恋愛に奮闘する姿を描いたミュージカル作品の続編。2人の俳優が10役以上もの役を演じ分けるコメディで、シリーズとしては2021年、2022年、2023年と上演されてきた。今回の『~TAKE2』は、この日本公演が世界初演となる。

舞台には、レトロな調度品が棚に並ぶハリウッドのスタジオセットが組まれており、作り込まれたその空間の密度に期待が高まる。幕が開いてまず驚かされるのは、その緻密な空間をたった二人で、それも圧倒的なスピード感で支配していく上口耕平と辰巳雄大、2人のエネルギーだ。ハットを自在に操り、スリーピーススーツで華麗にタップダンスを踏む二人は実にスマート。名画のような軽快なセリフのやりとりや、2人が奏でるハーモニーに、一気に物語の世界へと引き込まれていった。

物語は、ハリウッドでの成功から4年がたち、再びジミー(上口耕平)&ボビー(辰巳雄大)の兄弟がスタジオへと戻ってくるところから始まる。2人はこの4年の間に結婚し、先日、豪華列車でのダブルウェディングを終えたばかりの新婚だ。早速、新作映画のための新曲づくりに取り組む2人だが、主演女優が降板して、あわや企画が中止になりかけてしまう。企画をつなぎとめるべく、急遽次代のスターを探すオーディションを開催することになる。慌ただしく状況が変化する中、兄弟のもとにギャングの手下3人組が近づいてきて――。

息つく暇もないほど、次々と雪崩のように巻き起こるトラブルの数々。個性豊かな登場人物たちの振る舞いに振り回される兄弟の姿が実にコミカルで、客席から笑い声が起こる瞬間も幾度もあった。

そして何より、めまぐるしく入れ替わる登場人物たちを、すべて二人がその場で見事に演じ分けていることにも、舌を巻いてしまう。キャラクターによってくるくると衣装も表情も変えて、その“変わり身”の早さが見ていて実に楽しい。女性キャラクターについては、裏声でのセリフだけでなく歌声まで披露するのだから、もはや職人芸のような印象だ。それでいて、どの登場人物にも愛嬌が感じられて、すべて愛すべきキャラクターになっていたのは、上口と辰巳の2人の手腕によるところだろう。

二人の歌声が重なる瞬間の、力強いハーモニーは実に心地よい。コメディとしての瞬発力を維持しながら、ミュージカルとしての聴かせどころも外さない。盛り上がるシーンでは記者席からも自然と手拍子が沸き起こるなど、2人が放つ物語の世界に客席が同調していくのを感じられた。シャドーが支える場面もあるが、物語の心臓を動かしているのは間違いなく、汗を光らせて舞台を駆け回る2人の姿。そこには、互いに背中を預けている信頼とこの場を心から楽しんでいるという確かな充実感を感じ取ることができた。

このゲネプロには脚本・作詞・作曲を手掛けたボブ・ウォルトン&ジム・ウォルトンの姿もあった。舞台を見守る彼らが客席の記者やスタッフと同じように、楽しげな笑い声をあげていたことも、本作の成功を約束しているだろう。

また、本作は2チームでの上演となっており、兄ジミーを原田優一、弟ボビーを室龍太が演じるヴァージョンでも上演される。原田&室コンビでの上演もまた、上口&辰巳コンビとは違ったカラーを描き出すに違いない。

ミュージカル『ダブル・トラブル TAKE2 ~Hollywood Ending~』は大阪公演まで完走し、2月20日(金)からは再び東京へ戻り、東京・I’M A SHOW(アイマショウ)で上演される。

取材・文/宮崎新之

オフィシャル写真

コメント

ボブ・ウォルトン&ジム・ウォルトン/ 脚本・作詞・作曲
We’re so thrilled to be here at the world premiere of Double Trouble Take 2! Hollywood Ending. We will be seeing the show for the very first time, along with audiences here in Tokyo, and in Osaka. From all we’ve seen so far, we expect this production to be every bit as funny and entertaining as the original Double Trouble was just a few years ago. Enjoy these amazing actors, and we hope to see you there.

『ダブル・トラブル TAKE2〜Hollywood Ending〜』の世界初演に立ち会えることに本当にワクワクしています!
私たち自身も、東京、そして大阪の観客の皆さんと一緒に、この作品を初めて客席で体験することになります。ここまで(舞台稽古を)見た限りでは、数年前の『ダブル・トラブル』の魅力はそのままに、さらにパワーアップした、思いきり笑えて楽しめる舞台になるはずです。
最高のキャストたちが繰り広げる舞台をお楽しみください。劇場で皆さんにお会いできるのを楽しみにしています!

ウォーリー木下/演出
2人だけで何役もこなし、歌に踊りに、タップに、モノマネと、それをキャラクターごとに使い分けながら2時間近くノンストップで演じ続けるというミュージカル俳優にとって“虎の穴”のような作品「ダブル・トラブル」のTAKE2が完成しました。やっている2人は本当に大変だと思いますが、その大変さが、笑いになり、感動になる作品です。ニューヨークの作家・音楽家が作ったものを日本で世界初演で上演するというとてもレアな取り組みでもあります。ここからはじまる「ダブル・トラブル」の次なるステージにご期待ください。

上口耕平/兄ジミー役

ついにダブル・トラブル TAKE2世界初演開幕!
今はただただ、今作が世に放たれることへのワクワク感でいっぱいです。 皆様もきっと驚くであろう展開が繰り広げられます。
そして毎公演、その回だけの奇跡がいろんな箇所で起きそうな予感。
どうぞお楽しみに!

■辰巳雄大/弟ボビー役

『ダブル・トラブル TAKE2』世界初演がついに開幕します!
稽古は前作以上にハードな時間でした。台本を読んだ時、これは不可能でしょ?と思うことがウォーリーさんの手で具現化されて、それに必死に食らいついてきました。ダブル・トラブルは歌って踊って役を生きる『ミュージカル落語』だと思っています。古典落語のように台本はあれども演じる役者によって出てくるキャラクターもストーリーも歌も見せ方が変わってくる。是非2チームをご覧になって違いを感じてほしいです!
毎日、作品の中で起こるトラブルを体力限界ギリギリの所で楽しみたいと思います。
ここでしか味わえない驚きや笑い、キャストの生き様を是非!劇場でお楽しみください!

原田優一/兄ジミー役

いよいよ初日を迎えるということで、あっという間に過ぎ去っていった稽古期間を振り返ると、そこにいるみんなが客席を笑顔にするため、楽しんでいただくために全力でした。各部署全てのスタッフの皆様の愛とエネルギーに支えられて創作できた「TAKE2」です。無茶なオーダーにも、とりあえず元気に「やってみます!」と、なんか分からないけどトライする様は清々しく、誇らしく、ブチ上がるカンパニーです。作品が教えてくれるトライアンドエラー魂を体現する人々が挑戦しています。ご期待ください。

室 龍太/弟ボビー役

遂に開幕です!!!
一刻も早くミュージカル『ダブル・トラブル TAKE2』をお届けしたくて、ウズウズしてました!
こうして皆様にお届け出来る日が来たことを大変嬉しく思います。
沢山の方々に楽しんでいただけるようキャストさん、スタッフさんと最後まで無事に全公演走り抜けられるよう全力で楽しみたいと思います!
以上、室龍太でした。