ミュージカル『モーツァルト!』 山崎育三郎 インタビュー

圧巻のパフォーマンスで初見の方に驚きを!

神童モーツァルトが駆け抜けた歓喜と苦悩の生涯を描いたミュージカル『モーツァルト!』が帝国劇場に帰ってくる。本作はミュージカル界のトップクリエイター、ミヒャエル・クンツェ(脚本・歌詞)とシルヴェスター・リーヴァイ(音楽・編曲)がタッグを組んだウィーン発のミュージカル。日本では2002年の初演以来、再演が繰り返され上演回数は500回を超える大ヒットを記録している。そんな『モーツァルト!』のタイトルロール、ヴォルフガング・モーツァルトを演じるのはミュージカル界にとどまらず活躍の場を広げる山崎育三郎(Wキャストで古川雄大)。今回で3度目の主演となる。

 

山崎「モーツァルトは自身の類稀なる才能に苦しみ、迷い、人とぶつかりながら自分の信念を貫いた音楽家。そんな彼の35年という短い人生を壮大なスペクタクルで描いたのが『モーツァルト!』。誰もが一度はモーツァルトの音楽を聴いたことがあると思いますが、本作ではあまり知られていない彼の狂騒的な生き様に心が動かされると思います。また、『モーツァルト!』最大の魅力は音楽家であるリーヴァイさんの楽曲。タイトルだけ聞くと、堅いクラシカルな印象を覚えるかもしれませんが、実際のところはロックやポップス、ジャズなど様々なジャンルを取り入れた楽曲が激しく展開するエンターテインメント作品。出演する側は、どの楽曲も難しく、ダンスの量もかなりあるので、1公演終わるごとにもう立てないんじゃないかと思うくらい消耗するのですが、それだけ見応え十分な作品になっていると思います」

 

これまでヴォルフガング・モーツァルト役は井上芳雄、中川晃教、山崎と現在のミュージカルブームを牽引する顔ぶれがキャスティングされてきた。

山崎「日本のミュージカル界において帝国劇場はいわば聖地。そんな伝統ある劇場で若手の男優がタイトルロール(役名とタイトルが同一の作品)を演じられる作品って実はとても少ないんです。なので、ミュージカル俳優であればヴォルフガング・モーツァルトは誰もが目指す役ですし、僕も学生時代に観て以来、目標にしていました。ただ、モーツァルト役は幕が開いたら最後まで出ずっぱりですし、俳優の全てを出し切らないと成立しない難役なんです。僕が24歳で初めて出演した時は、あまりのプレッシャーと疲労で『こんな経験は2度とできないだろう』と思うほど辛い思いをしましたし、実際に幕間で心が折れそうになったことが何度もありました。それでもミュージカル俳優としてヴォルフガング・モーツァルトを演じられることは光栄なことですし、奇跡のようなチャンス。今回も真っ向から役と向き合おうと思っています」

 

今作ではモーツァルト役を山崎と共に、古川雄大がWキャストで出演。モーツァルトの妻・コンスタンツェ役は平野綾、生田絵梨花(乃木坂46)、木下晴香がトリプルキャストで演じるなど、続投となる山崎と平野を除いて、新しい顔ぶれが並ぶことでも話題を呼んでいる。

山崎「モーツァルトにコンスタンツェと周りを見たら僕が年長で驚きました。今まで、自分は年少者であることが多かったので、不思議な感慨です(笑)。今回は新演出が導入されると発表されていますし、これからのミュージカル界を担っていく世代のキャストが集まっているので、次世代による新生『モーツァルト!』を作らなくてはいけないと感じています」

 

山崎はテレビドラマや映画の出演・吹き替えのみならず、バラエティー番組のMCに初挑戦するなど目覚ましい活躍をみせている。

山崎「ミュージカルだけでなく様々なことに挑戦させていただき、新しい出会いも増え『ミュージカル、観に行きたいです』と声をかけてくださるミュージカル未体験の方が多くなってきました。また、初めての方には『モーツァルト!』をお勧めしているんです。市村正親さんをはじめとした日本ミュージカル界の大スターがこれ程集まる作品って他にないんです。なので、初めてミュージカルを観る方に向けて“これが日本のミュージカルだ”と胸を張れるように、そして、見てくださっている方には次世代の風を感じる『モーツァルト!』をお見せできるよう頑張ろうと思います。どうぞ楽しみにしていてください」

 

インタビュー・文/大宮ガスト
Photo by Leslie Kee

 

※構成/月刊ローチケ編集部 3月15日号より転載

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【プロフィール】
山崎育三郎
■ヤマザキ イクサブロウ ’86年、東京都出身。『レ・ミゼラブル』のマリウス役に抜擢。舞台を中心に映画・テレビ・歌手として幅広く活躍中。