シリーズ累計発行部数4200万部突破の超人気コミックを原作とした、ミュージカル『SPY×FAMILY』の続編となる『SPY×FAMILY 2 爆弾犬篇&豪華客船篇』。
大好評を博した2023年の初演、そして2025年の再演に続き、早くも続編が始動した本作。ミュージカル第二弾となる今回の公演は、本作の超重要キャラクターである犬・ボンドの登場エピソード「爆弾犬篇」と、クルーズ船プリンセス・ローレライを舞台に華やかなアクションが繰り広げられる「豪華客船篇」の豪華2本立てで上演される。初演からロイド・フォージャーを演じる森崎ウィンと、同じく初演からヨル・フォージャーを務める唯月ふうかに、初演・再演の思い出や本作への意気込みを聞いた。
―続編が決まったときのお気持ちを教えてください
森崎:初演、再演と出演させていただき、こうして続編に繋がったことは、これまで応援してくださったお客さまのおかげでもあると、まずは感謝の気持ちでした。今回、「2」として続編が作れることは、僕自身もとてもワクワクしています。(本作の)製作発表会見では「大変だ」という言葉がありましたが、作品を作る上では、どんな作品であっても大変なのは当たり前です。大変さを楽しめる仲間がいるので、その仲間たちを頼りつつ、一緒に切磋琢磨しながら、温かい“仮初めの家族”を作れたらと思っています。
唯月:続編にまた自分が出演できることが本当にうれしいです。個人的には、初演からウィンくんとはロイドとヨルとしてやらせていただいているので、そのままの形で「2」ができることはとても感慨深いですし、うれしいです。全力を出して作品に臨みたいですし、いい作品にしたいと心から思っています。
―初演、再演での思い出や特に印象に残っているエピソードを教えてください
森崎:本当に大変でした(笑)。笑ってしまうくらい大変だったよね?
唯月:うん、今だから笑える(笑)。
―1番大変だったのはどんなことだったのですか?
森崎:もちろん作品を作るにあたっての苦労はたくさんありましたが、再演ではロイド役が変わるということもあったので、カンパニーとしてどう対応していくのかという物理的、体力的な大変さもありました。きっとカンパニー全員が「もっとこうしておけばよかったのかな」「もっとできることがあったんじゃないかな」という後悔が残っていたと思います。少なくとも僕はありました。でも、そこにもみんなで向き合って、ある意味では、みんなが一つになれた。まあ、この作品は一つになれる場面がたくさんあるので、そうしたきっかけでなくてもよかったなとも思いますが…。それはすごく心に残っていることです。
唯月:曲の中でセットが動いたり、綿密にいろいろな決まり事が多いんですよ。すごく神経を研ぎ澄ませて、アンテナを張り巡らせながら演じていたので、頭も相当疲れたのだと思います。だからこそ、そうした作品を皆さんにきちんと届けられたときは、感動も大きくて。お互いに助け合えたからこそできたことだと思うので、大変ではありましたが、今はいい思い出です。

―ミュージカル『SPY×FAMILY』ならではだなと感じたことはありますか?
森崎:僕はたくさんのミュージカルをやってきている人間ではないので分からないところもありますが、心の声を生で、その場で話すというのは、ならではなのかなと思います。例えば、録音という技術を使えばきっと演出の幅も違う意味で広がったり、また違う演出ができたりすると思うのですが、その場で役者が芝居をしながら、生で心の声を話すという絵を作ろうと決めたG2さんは天才だなと思いました。登場人物が独白をする、シェイクスピアのような舞台ももちろんありますが、この作品はそうした世界観の舞台ではないじゃないですか(笑)。ホームコメディで、豪華なセットの中で、急に心のうちをバーって話し出すなんて、G2さんは本当にすごいなって(笑)。再演のときに、僕はちょうどある映像作品の撮影をしていたのですが、その映像のプロデューサーさんが観に来てくださったんですよ。その方が観終わった後に、「ごめん、日本のミュージカルなめてたわ」っておっしゃってくださって。アメリカにも留学されていて、ブロードウェイを観ていた方だから「日本のミュージカルでしょう?」という気持ちがどこかにあったんだと思います。でも、「原作を知らないのに、本当に楽しかった。演出がとにかくすごい」と絶賛してくださったので、僕も「はい、当たり前じゃないですか」って(笑)。分かります? このうれしさ。
唯月:分かる、分かる(笑)。うれしいよね。私は、小さな子どもがこれだけ活躍する作品ということが他にはない魅力だなと思います。アーニャが歌って、0番に走ってきて、ポーズを取るというのは、やっぱりすごい。ぜひこれからもたくさんのアーニャが誕生してほしいと思いました。
―本作のアーニャ3人も発表されましたが、新たなアーニャたちはいかがですか?
森崎・唯月:かわいいです!
森崎:めちゃくちゃかわいいです。僕たちが、アーニャの誕生に立ち合わせていただくのは3回目になりますが、やっぱりみんな緊張しているんですよ。今回の製作発表での姿を見ていて、初演のときのアーニャたちを思い出しました。彼女たちにどんなことが待っているのかなと楽しみになります。
唯月:かわいいのにプロフェッショナルというのが本当にすごいですよね。(製作発表のときのように)あんなにハキハキと話せない。しかも、笑いまでとっていましたから。作品を作っていく上では大変なこともありますが、アーニャたちの純粋な目を見ると頑張ろうと思えるんです。そうした存在が目の前にいるという、すごく幸せな現場だなと思います。
―アーニャたちと仲良くなる秘訣はありますか?

唯月:ウィンくんはすぐに仲良くなっているイメージがあるよね。
森崎:子ども扱いしないことは意識しています。本当にかわいらしいけれども、彼女たちはすごくプロ意識が高いんですよ。仕事として現場に来ていることをしっかりと自覚しているし、間違えることも本当に少ない。僕たちの方がセリフを間違えていますから(笑)。なので、こちらも「子どもだから」ではなく「お願いします!」という思いでお芝居をしています。初演では、僕もどう接していいのか分からなかったですが、再演でそれをやってみたら、こういうことなのかってちょっとだけ分かったように思えて。
唯月:いや、本当に接するのがうまいですよ。私は、本当に簡単なことですが、子どもたちと目線を合わせて話すようにしています。ヨルは母親になるという設定の役なので、そういう意味でも、顔を見て話すということは心がけていますね。
―子役の皆さんと舞台で共演する機会は、あまり多くないと思いますが、やはり得られるものは大きいですか?
唯月:得るものしかないです。
森崎:彼女たちは本当に素直なので、お芝居をする上で自家発電をしないんです。だから、こちらが投げないといけない。でも、投げたらめちゃくちゃ投げ返してくれる。そういう意味でも、やっぱり大人とは違うところがあると思います。それに、大人になって蓋をしていたものが、彼女たちに出会うことでちょっとずつ開いていく感覚があって。もしかしたら、ロイドもそうしたことを感じているのかもしれない。そんなことを考えながら演じています。
唯月:アーニャのみんなは何事にも全力なので、原作通りの面白いことを全力で演じている姿を見ると、思わず笑ってしまうことがあるんですよ。本当は良くないことなのですが、どうしても笑いが堪えきれなくて。でも、それくらい一つひとつにパンチ力があるので、私たちもそれにしっかり乗って繋いでいきたいと思いますし、可能性が無限大だなといつも思います。
―初演、再演を経て、今、ロイドとヨルをどのようにとらえていますか? そして、今回、そうしたキャラクターをどのようにブラッシュアップしていきたいですか?
森崎:初演に比べれば再演の方が、ロイド・フォージャーとしてより深く演じることができたのではないかと思います。遠藤先生が生んでくださったキャラクターを、その佇まいからもより感じていただけるようになったのかなと思いますし、ロイドの中に鳴っている音を初演よりは深く表現できたような気がしています。ただ、今回は続編で、なおかつ新作です。初演・再演で得たものは自分の中に染み付いていると思うので、そこは頼りにしつつ、「2」で新たに感じられるものを深掘りしていきたいです。今作は、「平和」をテーマにしている作品だと僕は思うので、ロイドとしてどんなメッセージを伝えていきたいのかも考えていきたいと思います。「平和がいいよね」といった簡単な言葉ではなく、彼がどんな生い立ちで、どんな思いがあってこの仕事に就いているのかを、より深く自分の中で作り上げて表現できたらいいなと思っています。
唯月:ヨルさんは二面性があるキャラクターです。どこか掴みどころのないふわふわとした姿と、殺し屋としてしっかり誠意を持って戦っている姿のギャップがあればあるほど、この作品に深みが増すのではないかと思うので、緩急をつけてしっかり演じたいと思います。それから、「2」では、ミュージカルのヨルさんだからこそ出せる人間味をより意識していきたいと考えています。今回は、アクションも多いと聞いているので、そこでも説得力を持たせられるように今から頑張ります。

―今回は、「爆弾犬篇」と「豪華客船篇」の2つのエピソードが描かれるというのも楽しみですね。
唯月:まだ(取材時点では)私たちも詳しいことは分からないですが、一幕はロイドさんがメインに描かれて、二幕はヨルさんがメインだと聞いているので、責任感を持って演じていきたいと思います。
森崎:会見でG2さんが「一幕、二幕で物語が完全に別れると思ったら大間違いですよ」とおっしゃっていたので、それがきっとキーポイントになるんだと思います。あの方は、そんなに分かりやすいことはやらないです(笑)。必ずお客さまを驚かせます。夢を見せるのが上手な方なので、きっとそこが1番の見どころになるのではないかと思います。
―初演、再演を見ていない方も楽しめる作品になることを期待しています!
森崎:G2さんも「原作を知らないから楽しめないというものには絶対にしない」と断言しているので、どなたでも存分に楽しんでいただけると思います。ミュージカル化にあたって、G2さんが脚本も書き直して、初めて来られるお客さんを置いていかないような構成になっています。なので、原作を読んだことがないという人も安心してきていただけたらと思います。もちろん原作を知っている方も楽しめる表現がたくさんあると思いますので、知っている方も、知らない方も楽しんでいただきたいですね。
唯月:この作品が持っているホームコメディの部分とシリアスな部分が1つの作品の中に共存しているので、いろいろな感情になれると思います。原作がそのままミュージカルでも表現されていますから、ぜひお客さまには気軽に、ラフな気持ちで来ていただきたいですね。
森崎:ラフなチケット代ではないですが(苦笑)。でも、だからこそ絶対に楽しませたいと意気込んでいます。

―初演、再演で共演をされてきて、よく知った間柄のお二人ですが、俳優としてお互いにどんなところに魅力を感じていますか?
森崎:言い出したら止まらないです(笑)。一人の人間としてももちろん魅力的な人ですし、初演のときから話していて楽しいと思っていました。ほんわかしているイメージがありますが、仕事になったときのキリッとした顔が僕は好きで。俳優として舞台に立って演じている佇まいがとにかくかっこいいです。稽古場では、一人で集中している姿もよく見ます。すごく集中力が高いので、きっと周りが見えていないんですよね(笑)。それくらい、抜群の集中力を持っている。初演、再演でヨルさんのアクションもありましたが、それが今回さらに広がるということなので楽しみです。ふうちゃんのアクションはすごいと風の噂で聞いているので、期待しています。
唯月:頑張ります。うれしいです。私から見ても(森崎の)魅力はたくさんあります。やっぱりいろいろな顔を持っている。ロイドさんと同じように、俳優としての顔、アーティストとしての顔、森崎ウィンさんという人間としての顔、いろいろな面がある方だなと思います。私が初演、再演でご一緒して感じたのは、座長としてカンパニーを引っ張っていく空気感がかっこいい方だなと。心からついていきたいと思える力を持っていると思いました。座長の持つ空気感で、カンパニーの空気は変わると思います。再演でもいろいろなことがありましたが、それでも最後に笑顔で「みんなで頑張ったね」と言えたのは、間違いなくウィンくんの力だと思っているので、心から尊敬しています。今回の「2」でも頼りにしていますし、甘えたいです(笑)。阿吽の呼吸ができていると勝手に思っているので何も心配ないなと思っています。
森崎:僕も思っています。本当に心配は全然ない。怪我だけ気をつければね。
唯月:はい、本当にウィンくんだったら何があっても大丈夫という自信があります!
―改めて、公演を楽しみにされている読者に向けてメッセージをお願いします。
森崎:皆さん、読んでくださってありがとうございます。少しでも興味を持っていただけたら、ぜひ劇場にお越しください。とにかく待っています!
唯月:最後まで読んでくださりありがとうございます。皆さんが待っていてくださったこの「2」がいよいよ開幕すると思うと、私も本当に楽しみです。ぜひ心から楽しんでいただきたいと思いますし、この作品の描く「愛」をきちんとお客さまにお届けできるよう心を込めて頑張ります。皆さん、お待ちしております。

インタビュー・文・撮影/嶋田真己
