宝塚歌劇 花組 TBS赤坂ACTシアター公演 TAKARAZUKA MUSICAL ROMANCE『花より男子』制作発表レポートが到着!

5/10(金)に行われたTAKARAZUKA MUSICAL ROMANCE 『花より男子』 ~原作 神尾葉子「花より男子」(集英社マーガレットコミックス刊)~制作発表会の模様をお届けします!

制作発表会ではまず、柚香 光、城妃美伶、優波 慧、聖乃あすか、希波らいとによるパフォーマンスが披露された。

『花より男子』は累計発行部数6,100万部を超える神尾葉子の大ヒット少女漫画。日本以外にも台湾・韓国・中国でドラマ化されるなど、世界各地で愛され続ける少女漫画の金字塔的作品だ。

超絶金持ち名門校である「英徳学園」は「F4(エフ・フォー)=Flower four(花の四人組)」と呼ばれる4人の美男子生徒により支配されていた。世界的な大財閥、道明寺家の御曹司で俺様キャラの道明寺司(どうみょうじ つかさ)、花沢物産の跡取り息子でクールでミステリアスな花沢類(はなざわ るい)、日本一の茶道家元の息子でプレイボーイの西門総二郎(にしかど そうじろう)、美作商事の後継者でマダムキラーの美作あきら(みまさか あきら)。彼らは気に入らない生徒のロッカーに「赤札」と呼ばれる指令カードを貼り、学園中の攻撃の的としていた。

両親のたっての願いで一般庶民でありながら英徳学園に通っている牧野つくし(まきの つくし)は、友人をかばったが為に「F4」に目をつけられ、赤札の対象となってしまう。しかし持ち前の“雑草魂”と正義感でつくしは果敢に「F4」に立ち向かう。そんな彼女に次第に心惹かれていく道明寺は、彼女の気を引こうと、様々な行動に出るが、恋に不器用な彼の作戦は全く上手く行かない。一方、つくしは、危機から救ってくれた、不思議な魅力の持ち主、花沢類の事が気になり始める。道明寺司、牧野つくし、花沢類の恋の行方は……。

■野口幸作(脚本・演出)

私は小さい頃から、原作の『花より男子』のファンで、TBSさんのドラマも、丁度、宝塚の演出家になる試験を受ける時期に放映が始まり、いつかこの作品に携わりたいと思っていたので、その夢が叶い、とても嬉しく思っています。「花」に「男」と書いて、“花男(ハナダン)“と世間一般の方は言うかと思うのですが、宝塚ファンの方は、「花」に「男」と書いて、“花男(ハナオトコ)”と言います。これは、“連綿と受け継がれた宝塚の男役芸を特に極めている花組の男役”という意味なんですけれども、『花より男子』の“花男(ハナダン)”と、花組の男役の“花男(ハナオトコ)”、この二つの美しい調和…「beautiful harmony」というものを、「令和」元年のお客様にお楽しみ頂く、というのが今回の企画の肝でございます。

原作は22年間続いた神尾葉子先生の物凄く面白い漫画で、単行本で37巻ございます。それを全て舞台化するとなると、2時間半と30人の出演者でやらなければなりませんので、物凄い早口で喋ったり、一人あたり30回ぐらい着替えなければならないので、今回は作品全体の三分の一にあたる1巻から12巻までのストーリーを厳選し、その中から『花男』の名シーン・名台詞を集めて、そこに宝塚的な華やぎやミュージカル的な面白さを詰め込んだTAKARAZUKA MUSICAL ROMANCE『花より男子』を作っていきたいと思っております。

この作品の最も素晴らしい点である、次から次へと畳みかけるようにストーリーが展開していく点を、どのように演劇で表現出来るだろうと考えておりました際、先日、ニューヨークに行ってきたのですが、ブロードウェイでは丁度今、『Mean Girls』、『Be More Chill』、『Dear Evan Hansen』といった、映像を使って一瞬で場面を転換させていく作品がかかっていまして、それらは全て、学生が主人公の、スピード感が求められるミュージカルでした。なので、今回の『花より男子』でも、舞台全面にLEDを張り詰めまして、漫画のページをめくるように、スマホのタッチパネルをスワイプするように、一瞬で場面が変わっていく、そういったスピーディーな展開を考えております。

2019年は世界的にも学園モノのミュージカルがとても盛んな年です。今年『花より男子』を上演する上で、やはり宝塚としてもミュージカルナンバーを盛り上げたいということで、三人の音楽家、四人の振付家のお力を借りて、魅力的なミュージカルナンバーに仕上げていきたいと思っております。また、今回はポスターや劇中で着させて頂く衣装を、柚香がモデルをさせて頂いております「JOSEPH(ジョゼフ)」さんに、ご提供頂いております。“花男(ハナダン)”ファンの方、“花男(ハナオトコ)”が大好きな方、そして、宝塚を初めてご覧になるという方、皆さんに楽しんで頂けるように、スタッフ出演者一丸となって頑張って行きたいと思います。

―配役について

入団試験を受けている2005年に、TBSさんの『花より男子』のドラマが放映されていて…本当にどうでもいい情報なんですが、僕、松本潤さんと誕生日が一日違いで、ほぼ同い年なんですが、そういった同年代の人たちがF4を演じていて、凄いなぁ…と思ったところから、自分もこれから宝塚に入ることが出来て、花組で『花より男子』を上演出来たらな、ということを思っていました。入団してからもずっとやりたいなという気持ちがあって、劇団にも何度かお話をしにいったことがあるんですけれども「色々な演出家の方々がやりたいと仰っているから、野口先生は多分無理ですよ」なんて言われたりもして、半ば諦めて『花のち晴れ』をやった方が良いのかなぁ、なんて思っていた頃に、ある日、青天の霹靂のように今回のお話を頂き「え!いいんですか!?」という感じでした。

今回は花組の2番手スターの柚香の主演公演ということで、時代も変わり、花組も、先日、明日海りおさんが退団を発表され、時代が移り変わっていく中で、今回は若手でいってみようかな、と思いました。F4は凄く若いメンバーになっていて、特に、西門を演じる希波はまだ研3(研究科3年)なのですが、高校生役ということもあり、若いメンバーでやりたい、という風に思っています。

道明寺司に関しては、とにかく柚香はぴったりで、これ以上ないというキャスティングだなと自分でも思っていますし、だからこそ彼女の新境地にしたいと思っています。

牧野つくしに関しては、今回ミュージカル的に、歌も踊りもレベルの高いものにしていきたいという風に思いましたので、実力者で、経験者、なおかつ実際に台詞を読んでもらった際に、凄く、つくしを掴んでいた城妃に配役しました。

美作あきらに関しては、以前、星条海斗さんのディナーショーを演出させて頂いた際、出演者が凄く個性的な人たちだったんですけれども、その中で、優波はバランサーになってくれました。美作あきら、というのは凄くバランサーなので、F4の影のまとめ役には彼女がぴったりだと思いました。

花沢類に関しては、今、新人公演でも活躍している聖乃。彼女は、これからの宝塚の花組を背負って頑張って行くスターだと思うので、ここで一つ、この花沢類という役でブレイクして欲しい、というように思って花沢類にしました。

西門総二郎に関してはTBSさんのドラマでは松田翔太さんが、シアタークリエ版の舞台では新田真剣佑さんが演じられていて、彼らはそこから、どんどん有名になっていったので、西門という役は出世役であると思いました。だからこそ若手を抜擢しようと思ったのですが、では誰なのか、といったところで、前作『BEAUTIFUL GARDEN −百花繚乱−』で希波は、凄く根拠のない自信(笑)を持って頑張ってくれていたなと思いますし、彼女ならきっと出来るんじゃないか、と。未知数な部分はあるんですけれども、彼女なら頑張ってくれるのではないかと思って配役しました。

■柚香 光(道明寺司 役)

もし、『あなたが初めて出会った少女漫画はなんですか?』『あなたにとっての少女漫画の原点はなんですか?』という質問を頂いたら、きっと私は「神尾先生の『花より男子』です。」とお答えするだろうなと思うぐらい、この作品は、私の少女時代…このような恰好で「少女時代」というのも違和感があるんですけれども(笑)、自分の幼き頃の思い出や、自分にとって大切な想いの詰まっている大好きな漫画でしたので、道明寺司を演じさせて頂くということを本当に心から光栄に思っておりますし、心を込めて誠実に取り組んでまいりたいなと思っております。

道明寺司は世界的な大財閥の跡取り息子で、圧倒的な経済力と権力、そして、彼の持つ未熟さや幼さ、彼が自覚していない心の中の満たされぬ思いから、彼は権力を使い、暴力を振るい、言葉を使い、あらゆる人を苦しめています。そんな中で、自分の肩書ではなく、自分を見つめてくれる、自分が本当に欲している言葉をかけてくれる牧野つくしと出会ったことで、彼自身がどのように感じ、どのように成長し、どのように人と向き合う、ということを覚えていくか。道明寺司の持つ、愛嬌やカリスマ性だけではなく、そういった彼の内部の移り変わりも、きちんと丁寧に演じていくことが出来たらと思っております。

今、お稽古が始まって一週間弱経つのですが、私自身も『花より男子』という漫画の、そしてTBSさんの『花より男子』のドラマの大ファンでございますので、それを舞台化するというのはとてもプレッシャーがあり、本当に皆さまに愛して頂けるような舞台が出来るのか、という思いもございます。ですが、演出家の野口先生が描かれる『花より男子』の世界はとても魅力的で、本当に神尾先生の作られた漫画を大切にして舞台を構成して下さっていることが伝わる台本と構成になっておりますので、野口先生の導く道にきちんとついていって、『花より男子』をとても大切にしていらっしゃる方、宝塚をとても愛して下さっている方、そして宝塚を初めてご覧になる方、皆様に愛して頂けるような舞台づくりが出来るよう、共演者一同、力を合わせて頑張ってまいりたいと思います。本当に魅力的なナンバーが溢れる作品になっておりますので、歌い踊るF4と牧野つくし、宝塚ならではの『花より男子』を、ぜひ皆様に楽しみにして頂ければなと思います。

―漫画原作の舞台化の際に心がけていることは?

漫画原作の作品を舞台化する時には、まず第一に、原作の先生が作られた漫画を何よりも大切に描いていきたいなと考えております。舞台化することで、オリジナルのキャラクターやオリジナルの場面が出てきたりすることもあるんですけれども、そういったものがあったとしても、原作者の先生が描かれた、そして、その漫画を心から大事にされている読者の方々のイメージされるキャラクター像、役柄というものをきちんと尊重して、お客様に「そうそう、こういう人物なんだ!」「きっとこの場面では、コマに描かれていない部分で、こういう風に動いていたんだな」「漫画では気付かなかったけれども、ここでこういう風に感じて、あの台詞に繋がっていたんだな」と感じて頂けるぐらい、原作の先生の描かれた役柄の芯というものをきちんと持って演じたいなと考えています。

―宝塚版『花より男子』で楽しみにしていることは?

楽しみにしていることは沢山あるんですが、今ぱっと思いつきましたのは、F4がお芝居の本編で登場する場面の振付が先日ついたんですけれども、「THE☆F4!ドーン!登場しました!」といった、お稽古場ですら凄くワクワクするような構成を野口先生がつけて下さいまして、お衣装も照明も装置もまだ何もないお稽古場でもワクワクするぐらい、言葉を選ばないで申しますと、本当にとても偉そうに4人がバッと舞台のセンターに出て来る登場シーンでございますので、実際に皆様の前で演じさせて頂く際にどのような空気感で登場出来るんだろうというのは今からとてもワクワクしております。そして、野口先生がとても魅力的なダンスナンバーを沢山構成して下さっていまして、曲を聴いただけでもワクワク致しますし、きっと素敵な場面になるであろうと、こちらがアドレナリンが出てしょうがないような振付家の先生方が居並んでいらっしゃるので、宝塚ならではの『花より男子』F4・牧野つくしの魅力的なナンバーが沢山繰り広げられるのではないかと、楽しみにしております。

■城妃美伶(牧野つくし 役)

沢山の方に長い年月愛されて来た『花より男子』の牧野つくしというキャラクターを演じさせて頂くのは、プレッシャーもありますが、今は演じられる喜びが大きいです。周りを巻き込んでいくエネルギーのある牧野つくしという役を、真っ直ぐ、そして力強く演じられるよう、一生懸命お稽古してまいりたいと思っております。

―宝塚版『花より男子』で楽しみにしていることは?

牧野つくしは漫画でも凄く動きがあるキャラクターなので、漫画の2Dの動きを、音楽にのせて実際に動いて3Dにすることが出来るのがとても楽しみです。歌で心情を表現したりする場面も多いので、完成形がどういったものになるのか、今から凄く楽しみにしています。

■優波 慧(美作あきら 役)

宝塚に入る前、学生時代の青春の1ページには『花より男子』がありました。そして舞台化が実現するなら是非、宝塚で観たいなとファン時代に思っておりましたので、今回このようなタイミングで自身がF4として参加させて頂けることをとても嬉しく思います。お稽古をしていて「道明寺司さん、ここにあり。」というくらい柚香さんはぴったりだと感じますし、役として見た際にとても「愛しいなぁ、可愛いなぁ、ニクイなぁ」と思うところが、道明寺の同級生としては沢山ございます。また私個人と致しましては、今年入団10年目を迎える“花男(ハナオトコ)”節目の年でございますので、そういった誇りを自信に変えて、精一杯頑張りたいと思います。

■聖乃あすか(花沢類 役)

TBSさんのドラマを観て、当時、とても心惹かれていた花沢類という役を今回演じさせて頂けることが本当に幸せです。この役を愛し、この作品を愛して、花沢類として舞台上で生き抜くことが出来るよう、花沢類の心情の流れや言葉の発し方、仕草の一つ一つを原作から学び、研究してお稽古に励みたいと思います。

■希波らいと(西門総二郎 役)

まだまだ舞台人としても男役としても、経験が浅い中でこのような役をさせて頂けることは大変恐縮ですが柚香さんをはじめとした上級生の方々の胸をお借りしながら、お客様の期待を裏切らず、楽しんで頂けるよう、カッコよく、優しく、クールで、プレイボーイな西門総二郎を素敵に演じられるように、心を込めて頑張りたいと思います。

公演は東京・TBS赤坂ACTシアターにて6/15(土)~7/2(火)上演される。

 

撮影・文/ローチケ演劇部(ミ)