大地真央&神田沙也加13年ぶりの共演!|シアタークリエ『ローズのジレンマ』制作発表会見

ローズのジレンマ
(下手)小山ゆうな 別所哲也 大地真央 神田沙也加 村井良大(上手)

アメリカが誇る20世紀最大の喜劇作家ニール・サイモンの晩年の傑作『ローズのジレンマ』。

本作は、実在の作家リリアン・ヘルマンとダシール・ハメットが生涯パートナーとして共同生活をしていたことから着想を得ている。ローズ(大地真央)とウォルシュ(別所哲也)の大人の男女の愛、生と死、さらにはローズの助手アーリーン(神田沙也加)と若手作家クランシー(村井良大)のみずみずしい恋愛をニール・サイモンのウィットの効いた笑いを駆使して描くコメディ。

2月6日(土)からの東京・シアタークリエでの上演に先立ち、12日(火)制作発表会見が行われました。出演者4名と翻訳・演出を務める小山ゆうなが登壇した会見の様子をお届けします!

ニール・サイモンの晩年の傑作に挑む

――稽古が始まりましたが、現時点での手応えはいかがでしょうか。
大地「本当に摩訶不思議なローズという人物をお客様に楽しんでいただけますよう、これからみなさんと一緒に作り上げていきたいと思っております。膨大な、でも無駄がないセリフの応酬を4人だけということでよりチームワークが必要。みなさんそのままかなというくらい適役な感じです。どんどん掘り下げていって、ニール・サイモンの晩年の作品の良さをお伝えできたら。」

神田「久しぶりのストレートプレイということで緊張もありつつ、毎日すごく楽しくお稽古やらせていただいています。連日読み合わせでしたが、ニール・サイモンの言葉のトリックを解き明かしたりだとか、本とかキャラクターを読み解いたりとか(読み合わせが)すごく重要な期間でした。テンポ感が大事な作品なので、大地さんはじめコメディセンス溢れるみなさんと幸せな時間を過ごさせてもらっているという感じですね。」

村井「稽古も始まったばかりですけど、この4人でソーシャルディスタンスをとりつつも濃密な時間を過ごしております。(ここまで)本読みが多かったんです。初見で言葉を大事にしている本だなと感じました。言葉を大事にしつつも、立ち稽古が始まり、人と相対するとまた違った角度で見えてきます。この台本は手強いですけど、創作する楽しさを感じています。」

別所「憧れのニール・サイモン作品ですし、ミュージカルができる4人でストレートプレイをさせていただきます。(亡霊役にちなみ『あ、みなさんいま僕みえてますか?』『そういう役です!』と笑いを誘い)ちゃんとみなさんには思いが届くような、大地真央さん最愛の恋人をきちっと演じさせてもらおうと思っております。

――亡霊役の手応えはいかがですか。
身体が大きいので、ちょっと動くと空気を動かしているんじゃないかと、探り探りです。亡霊なので、どこからでも登場でき、どのようにも振舞えるからこそ、余計にローズとの会話、そしてローズの頭の中にいる存在としてのウォルシュを思い巡らせながら稽古を続けています。ものすごく楽しく、俳優としてもやりごたえのある役柄です。」

小山「ニール・サイモンの晩年の作品をこの錚々たるメンバーと共作できることをとても光栄に思っております。お一人ずつが個性的で素晴らしくて、大地さんを中心に立ち稽古に入ったところですが、私も発見があるアイデアを出してくださり、日々とても楽しく稽古をさせていただいております。」

――(みえないはずの亡霊が登場する本作ですが)稽古中にみえてしまった共演者の素顔は?
大地「神田さん以外初めてですので、今日マスクを外した顔を初めて発見しました。しいていうなら、沙也加さんが意外とオヤジっぽい(笑)『はい、わかりました!やってみます!』という感じで(オヤジっぽい物言いが)ところどころ見え隠れするのが、13年経ったな、と。」

神田「それがもし年輪ということであれば、ありがたく受け止めたいです(笑)地に足がついたとか、肝が据わったとか前向きに今の言葉を捉えます。」

別所「稽古場ではまず台本・セリフとどう向き合って、その先のキャラクターと出会えるか、みなさんそれぞれ試行錯誤されています。コメディですが、キャラクターに忠実にどうあるべきか、みなさんが真摯に向き合っているので、僕もしっかりしなきゃ、と。地に足つけなきゃいけないな、と思うんですが、地に足のない亡霊の役なので(笑)ちょうどセットが立ち上がってきたところなので、自分の居場所探しをしているところです。」

――村井さんはみなさん初共演ですね。
村井「今日マスクを外して大地さんのお顔をみたときに『顔が小さい』とすごくびっくりしました(笑)神田さんは稽古場でも小道具とかをみせてきて『村井さんこれなんて言ってると思います?』とものボケの時間を作っていただいてチャーミングな部分があります。見事にボケさせていただいたんですけども(笑)別所さんはとてつもなくダンディな方なのに、すごくお茶目で、しかもかわいらしい発言のギャップがすごくて、温かくもあり優しい方です。小山さんは『今なにを考えていらっしゃるんだろう…』というのが僕はまだわかってなくて、これからも稽古でビシバシよろしくお願いします!」

 

ミュージカルができる4人ならではのスペシャルカーテンコールに期待大

――本作のタイトルにちなんで最近感じるジレンマは?
大地「私は先月から最近まで、ドラマの撮影で非常にタイトなスケジュールだったんです。家に帰ると猫と接したいんですけど、それよりも台本チェックとか睡眠時間だし、でも猫にあうとリラックスして次の日がんばれるし…。どっちがどっち!?みたいなジレンマはありました。」

神田「大地さんとお会いできたときはいつもハグをしていたんですが、それが2mくらい離れてのハグなので。切ない気持ちです。あと、毎日台本を覚えたくて、夜更かしして読んでいたいんですけども、気が付くと台本を抱いたまま寝てしまっていますね(笑)」

村井「こういう状況下なので稽古場では飛沫防止パネルが四方に貼ってあって、舞台上で何をやっているか自分の席からだと見えなくて。移動したくなりますが、そうすると感染対策の意味がなくなってしまうので、早くパネルがなくなればいいなと思います。」

別所「ジレンマだらけですよ、人生は(笑)僕は甘いものが大好きなので、夜帰ってスイーツを食べてから寝るのが唯一の楽しみなんですけれど、和菓子か洋菓子か毎晩悩みます。ちなみに昨日はフィナンシェでした。」

――大地さんが昨年主演を務めた『おかしな二人』ではスペシャルカーテンコールが好評を博しました。今回もニール・サイモン作品かつ出演者はミュージカルでも沢山活躍されていますね。
小山「稽古はまだですが、もちろんこのメンバーですし、カーテンコールで、劇中でかかる登場人物たちの思い出の曲をみんなで歌えればと考えております。」

 

こういう時代だからこそ、笑いがあってちょっと涙もあって、また元気になれる作品に

――本作の見どころ、おすすめシーンを伺えますか。
別所「(透明の)ウォルシュを通じて、世の中にたくさんある “見えないけれど大切なもの”をじわじわと、弦楽四重奏のように4人で奏でられたらいいなと思っております。ウィットの効いた笑いとともに。個人的には僕が音を出さないことですかね。いろんな小道具にもぶつからないように気をつけながら、その辺でお客様に危ういなと思われないよう頑張ってまいります。」

村井「今回キスシーンがありまして。コロナ禍でもしかしたら唇を重ねられないかなと思い、もしそうなった場合は、大地さんに宝塚式のすごくかっこいいキスシーンをご教授いただければなと。」

大地「お任せください。美しいラブシーンを。」

村井「それを目いっぱい練習して挑みたいと思います。」

神田「ここまで稽古をしてきて、テンポ感含めすごくおもしろかったのが、電話を使うシーンです。このシーンの大地さんの演技がとても面白いのと、私も電話を少し触ります。電話まわりになると『ちょっと面白いことが始まるぞ』と思っていただければ。」

――電話といってもスマホではなく昔の電話ですよね。
神田「そうです。昨日の稽古では、黒電話の話す方と聞く方が逆になってわからなくなってしまい、みんなから笑われてしまいました。何に笑われているのかもわからないっていう(笑)」

大地「昨年の『おかしな二人』で初めてニール・サイモン作品をやらせていただいたんですけれども。『おかしな~』は30代後半に書かれたもので、本作は70代後半で書いた作品なので同じ作家でもここまで違うことをみていただくのも一つ楽しんでいただけるかなと。セリフの背景は日本人にはなかなか伝わりにくいところもあり、もうちょっとかみ砕いてわかりやすく、でもアメリカの香りを残せたらと思います。シアタークリエで ‘89年のアメリカをお楽しみいただければ。」

小山「4人が舞台上に集まるシーンがありまして。ウォルシュ(別所)は亡霊なのでローズ(大地)にしかみえない。ローズにウォルシュがみえていることを知っているのはアーリーン(神田)だけで、クランシー(村井)はそのことを知らない。その4人が舞台上に一堂に会するシーンがとても面白くなるのではないかな。あと、本読みを聞いていて、後半の女性二人のシーンが素敵なシーンになるのではと思いました。」

――13年ぶりの共演(大地・神田)のお気持ちをお聞かせください。
大地「(感染対策を講じた稽古の中で)お話しすることは少ないが、すごく成長したなと感じています。言葉であまり表現できないんですけれども取り組み方とか。何しろ痩せたよね(笑)」

神田「それほんとにずっと言うよね(笑)当時私は20、21くらいでセリフの一言目を発するのも怖かったんですね。何が正解かもわからなかったし、憧れの真央さんとの共演というだけで委縮していた部分もあったんですけれど。13年間での別の舞台での経験に恥じないためにも、今回は挑んでいく気持ちで、あとは前回と変わらず、真央さんを穴があくほど観察しています。真央さんが取り組んでいることにいち早く気づいて、こういう風な意図で取り組んでいるなとメモして、あわよくば自分のものにしていくという勉強の仕方をしていましたね。(真央さんに)成長していると思っていただけて嬉しいです!」

――別所さんは冒頭でニール・サイモン作品に憧れていたとおっしゃっていましたが。
別所「若かりし俳優を目指したときにいくつか見た作品がニール・サイモンで、いつか舞台俳優として出てみたいと思っていました。下北沢で小さくやっていた作品とか、その後ニューヨークに行って、ニューヨークの街や人々の暮らしやそれから人間の葛藤もあるけれど、その面白さを伝えるのがニール・サイモン作品だなと思って。今回は晩年の作品で本当に円熟した中で彼が遺したものだと思うので、どこに彼からのメッセージがあるのか、宝探しをしている部分もあるかなと思っています。」

――最後に大地さんから一言お願いいたします。
大地「みなさま本日はお集まりいただきまして本当にありがとうございました。本当にこういう時代だからこそ、笑いがあってちょっと涙もあって、また元気になれるようなそんな作品に仕上げたいと思っております。2月6日から始まります『ローズのジレンマ』をよろしくお願いします。」

公演は来月2月6日(土)から東京・シアタークリエにて行われる(2月25日(木)まで)。その後大阪、愛知でも上演予定。

チケットはローソンチケットにて好評発売中。詳細は下記よりご確認ください。