原作・和月伸宏からのメッセージも。ミュージカル『るろうに剣心 京都編』製作発表レポート

ミュージカル『るろうに剣心 京都編』が5月から6月にかけて、東京・IHIステージアラウンド東京にて上演される。その製作発表記者会見が開かれ、脚本・演出の小池修一郎、緋村剣心役の小池徹平、志々雄真実役の黒羽麻璃央、瀬田宗次郎役の加藤清史郎、相楽左之助役の岐洲匠、神谷薫役の井頭愛海、巻町操役の鈴木梨央、駒形由美役の伶美うらら、斎藤一役の山口馬木也、比古清十郎役の加藤和樹が、役衣裳で登壇した。

本作は、『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて連載された和月伸宏の剣劇漫画「るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-」が原作のミュージカル。原作の中でも特に人気の高い“京都編”のエピソードを、小池修一郎による書き下ろし脚本でミュージカル化する。音楽を手がけるのは太田健と和田俊輔。

会見は、本作の大きな見どころとなる殺陣のパフォーマンスからスタート。冒頭、小池徹平演じる剣心と、黒羽演じる志々雄が静かに対峙すると、会場にはピリッとした緊張が走る。志々雄が去り、その手下らしき者たちが勢いよく剣心に斬りかかると、剣心はかつての“人斬り抜刀斎”を思わせる鮮やかな殺陣で応酬。無駄のない動きで次々と相手を打ち倒す様は、本作への期待を高めた。

トークコーナーでは、まず脚本・演出の小池修一郎が、2022年の今、本作を上演することについて「この作品では剣心たちが平和を守るための戦いを繰り広げるのですが、現在の世界情勢を見ると、改めて和月先生が作品に込められたメッセージが大変な意味を持つように思います。迫力のある立ち回りやスペクタクルだけでなく、自分たちが明日からも生きていくことや日本の未来のこともふと考えさせられる作品です」と明かす。ただしそこは『るろうに剣心』の世界。作品としては「深刻なものではなく、とても楽しく面白いものになると思います。だけど帰り道でちょっと心の中に残るものがある。そういう原作の隠し味的なメッセージを、改めて伝えることができたら」と本作の魅力を話した。

また、『1789 -バスティーユの恋人たち-』(16年・18年)ぶりのタッグとなる緋村剣心役の小池徹平については「芝居はもちろんのこと、歌も殺陣もなんでもできる人です。だけれどもそれ以上に、この役が要求する“純粋さ”というものを体現できる役者さんで、そこがとても嬉しい」と絶賛。「普段の彼は、剣心の持つ純粋さと共通する部分がすごく多い。彼が演じる剣心の純なところは作品全体を彩り、引っ張っていく要素だと思います。皆さんにぜひ観ていただきたいです」と話した。

小池徹平は、冒頭の殺陣に触れ「なかなか激しい殺陣だったと思いますが、この作品はミュージカルでございます。殺陣の直後に歌えって言われたらちょっと小池先生と喧嘩するかもしれないです(笑)」と笑いを交えながら、剣劇漫画を原作としたミュージカルならではのがんばりどころを明かす。さらに、もともとは2020年に上演予定であったが新型コロナウイルスの影響で全公演中止となったことに触れ、「こうやって剣心の格好をして、キャストの皆さんが扮装された姿を見て、ああようやく始まるんだなとワクワクしています。まだ予断を許さない状況ではありますが、みんなで素晴らしい『るろうに剣心』をつくっていきたいです」と意気込んだ。

原作そのままの姿を見せた志々雄真実役・黒羽は「(上演予定だった)2020年からずっと心の中の火は消えず、『いつか必ずやりたい』と思い過ごしてきました。僕自身が原作ファンなので、こうして志々雄真実を演じられることが感慨深いです」と話しながらも、明治政府に抹殺されかけ全身火傷を負いながら生きる志々雄の包帯だらけの衣裳に触れ「少しでも早くこの包帯の暑さになれなきゃいけないなと。衣裳の下はびしょびしょです(笑)。歌も殺陣も芝居も盛りだくさんですが、最後まで頑張りたいです」と話した。

剣心の師匠であり育ての親である比古清十郎役の加藤和樹は「僕が演じる比古は、徹平くんが演じる剣心に飛天御剣流(剣術)を伝授するという大変な役割があります。時代は違えど、この作品に描かれた『人がなんのために生き、なにを残していくのか』は今の時代にも通ずるものだと思います。この舞台に立つからには、次の世にも残っていくような作品にしていきたいです」と語った。

さらに、原作・和月からのメッセージも到着。「自信を持って御送り出来るエンターテイメント」という言葉も送られ(※全文は記事最後に掲載)、登壇者は嬉しそうに耳を傾けた。最後に小池徹平が「素敵な劇場で、このメンバーで、上演できる喜びを噛み締め、素晴らしい『るろうに剣心』をお届けできるように全力で励みたいです。応援をよろしくお願いします!」と呼びかけ会見は終了した。

<和月伸宏コメント全文>

るろうに剣心の舞台化は宝塚版、前回と続き3回目の今回は満を持しての京都編。

原作でも人気の高いパートですが登場人物が多く、場面転換は目紛るしく、筋書きも複雑で舞台化はちょっと難しいのではないかと打診当初は思いました。

しかし、名も実も有る素晴らしい俳優陣とスタッフ、演劇好きの妻がベタ褒めする素晴らしい劇場、3回目とあって益々冴え渡る小池先生の素晴らしい辣腕と、素晴らしいの揃い踏みで今では公演が待ち遠しい限りです。

コロナ禍という大困難の中、実現に向けて尽力して下さった関係各位の皆様に心から感謝します。

自信を持って御送り出来るエンターテイメント ミュージカル「るろうに剣心 京都編」、感染対策をバッチリきめて是非劇場に御越し下さい。

文・中川實穗

写真・山口真由子