咲妃みゆインタビュー パルコ・プロデュース2022「THE PARTY in PARCO劇場 ~VARIETY SHOW & MY FAVORITE SONGS~」

豪華ミュージカルスターの競演で注目される、パルコ・プロデュース2022「THE PARTY in PARCO劇場 ~VARIETY SHOW & MY FAVORITE SONGS~」が11月5日から開幕する。本公演は、舞台を中心にさまざまなフィールドで活躍するアーティストたちが日替わりで登場するバラエティショー。ショーは2部構成になっており、第一幕ではコメディ仕立てのお芝居と歌、第二幕ではキャストのお気に入りの名曲と、舞台裏のエピソードやキャスト同士の関係性が紐解かれるトークで展開される。
本公演で、全公演に出演するホスト役の咲妃みゆに、見どころや歌唱予定楽曲についてなどを聞いた。


――今回、ホストとして出演が決まったお気持ちを聞かせてください。

「まだ全キャストの方にはお目にかかれていないのですが、毎公演、新鮮にお届けできるのではないかなと、今から楽しみですし、ドキドキしています。きっとお客さまにもリラックスして、純粋に楽しんでいただけるショーになるんじゃないかなと思います」


――キャストが日替わりですと、お稽古も大変そうですね。

「そうですね、いい脳トレになっています(笑)」


――第一幕はコメディ仕立てのお芝居と歌、第二幕はトークと歌という構成も面白く、期待が高まります。

「私自身こうしたバラエティーショーに出演させていただくのは初めてなので、毎公演、初日のような気持ちで出演させていただけるのかなと思います。ですが、キャストの方々にも、そしてファンの方々にも楽しんでいただけるショーをお届けできたらなと1ホストとしては思っております」


――すでに稽古が始まっていると聞いていますが、一緒にホスト役を務める小林遼介とはどんなお話をされていますか?

「小林さんとは今回、特に一幕は軽妙なやりとりのお芝居が必要なのですが、お稽古日数が限られている中で作り上げるのはなかなか大変で、どうすればいいのか話し合いながら進めているところです。とても優しい方で気さくに話しかけてくださいますし、先輩でいらっしゃるのに場を和ませてくださる方なのですごく救われています」


――第一幕の台本を読んでどんな感想を持ちましたか?

「お芝居部分は、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』をモチーフにしたお話になっています。その中に、様々なミュージカルナンバーが登場するという構成なので、お芝居の役と歌をどう切り替えるか難しいと感じてます。完全に切り替えるわけではないですが、全く違うカラーのナンバーもあるので、どういう塩梅で歌ってお芝居をすればいいのかな、と」


――公開されている歌唱予定楽曲を見ると、コメディのお芝居とは落差がある楽曲もありますものね。

「そうですね。自分の中では、芝居から歌に入っていく感覚はなんとなく掴めたのですが、歌い終わってからお芝居に切り替えるところが難しくて…(苦笑)。お芝居への着地点も意識しながらミュージカルナンバーをどのようにお届けするかを考えながらお稽古しています」


――第一幕の歌唱予定楽曲はまさに名曲揃いですが、特に楽しみにしているナンバーを教えてください。

「まず、今回、ほとんどの日替わりキャストの方とデュエットソングを歌わせていただけるので大変光栄ですし、同じ楽曲でもデュエットする方によってまた違ったカラーでお届けできるんじゃないかなと楽しみにしています。その中でも、私が初めてミュージカルを観劇したのが小学校1年生の時で、劇団四季さんの『美女と野獣』でしたので、『美女と野獣』は、初心に立ち返るような特別な思いがあります」


――『美女と野獣』をご覧になったことが、ミュージカル俳優を目指すきっかけになったのですか?

「そうですね。こんなにも素敵な世界があるのかと思って、観劇後すぐに、夏休みの宿題の絵日記を書いたことを覚えています」


――素敵なエピソードをありがとうございます! では、今作の第二幕についても教えてください。

「(取材当時は)まだ第二幕で皆さまがお歌いになる楽曲をリストで見させていただいている段階ですが、素敵だな、早く聞いてみたいと私もすごく楽しみです。ミュージカル楽曲だけでなく、ポップスを歌われる方もいらっしゃいますので、バラエティに富んだものになると思いますし、第一幕とも普段のお芝居をしているお姿とも違った一面をご覧いただけるんじゃないかなと思います。私自身も、第二幕は舞台袖に張り付いて、皆さまのお歌を聞かせていただこうと思っています」


――今回の公演が行われるPARCO劇場の印象や思い出を教えてください。

「PARCO劇場さんといえば、濃厚なお芝居を上演しているイメージが強かったものですから、こうしたバラエティーショーをお届けするというのはなかなか珍しい企画なのではないかなと思います。だからこそ、面白いことが起きるんじゃないかと思っていただけるようなショーにしたいです。今回、私は初めてPARCO劇場の舞台に立たせていただくので、舞台上からの景色を拝見するのが今からすごく楽しみです」


――少し早いですが、年末の公演ということで、2022年を振り返っていただき、今年はどんな1年だと感じていますか?

「1年の約半分は舞台『千と千尋の神隠し』に捧げた年でした。(『千と千尋の神隠し』は)世界初演に携わらせていただくありがたさ、そして難しさ、様々なことを経験させていただいた作品です。0から作品を作り出すというのは本当に大変なことで、舞台は海外のスタッフさんを含め、大勢の方々が関わって成り立っていくものだということを身をもって経験させていただきました。各地方にも足を運び、こんなにも舞台を楽しんでくださる方がいらっしゃるんだということを感じられたのは、私にとって貴重な経験になりました。それから、今年は、新型コロナウィルスに罹患してしまうという経験もして…図らずも、それが自分自身の俳優としてのあり方や今後の仕事への向き合い方を考える機会となりました。本当に濃い1年だったと思います。その中で、こうしたバラエティーショーは、純粋に舞台を楽しむという気持ちを私に呼び起こさせてくれる機会にもなっているので、1公演1公演ずつ大切にお届けしていきたいなと思っています」


――では、今後の目標は?

「私だけではないと思いますが、ここ数年、『人生は何が起こるかわからない』ということを実感する方が多かったと思います。私も舞台に立たせていただけるのは当たり前ではないんだと、本当に痛感しているので、今作もそうですし、今後の作品も、凝縮した情熱を注いでいきたいと思います。私は自分を追い詰めてしまいがちなので、自分自身で風通しをよくして日々を過ごしていきたいとも思っています。みんなが笑顔でいてくれたら、こんなにうれしいことはないと思うので、私も笑顔を大切にしたいです」


――自分を追い詰めてしまいがちということですが、咲妃さんにとってリラックスできる瞬間は?

「私は食べることが大好きなので、美味しいお料理をいただいたり、自分で作ったお料理がうまくいった時は元気が湧いてきますし、自分でもリラックスしていると思う瞬間です。私、美味しいものをいただいた時に、『美味しい』を連呼してしまう癖があるんです(笑)。周りの方からは失笑されるんですが、『美味しい、美味しい』とずっと言ってしまうんですよ。でもそれは、心と体が完全に連動している証拠だと自分では思っているので、美味しいものを美味しいと言ったら、きれいなものをきれいと言える時は、心からリラックスしているからこそなんだと感じられます」


――今回の公演のタイトルにちなんで「パーティー」にまつわる思い出を教えてください。

「小学生の頃に、初めて同級生の誕生会に呼んでもらった時のことが今、思い浮かびました。その時に、みんなでプレゼント交換をするからと1000円くらいのプレゼントを用意していくことになったのですが、初めてだったので『プレゼントは何にしよう』と悩みに悩んで何時間もかけて雑貨屋さんを回って探した記憶があります。プレゼント交換って、自分がどんなプレゼントをもらえるんだろうという喜びのドキドキと、自分の選んだプレゼントがはたして喜んでもらえるのだろうかというドキドキが詰まっていますよね。それを幼いながらに経験できて、すごくパーティーをしている感覚を持てた思い出です。今はなかなかパーティーをすること自体が難しい世の中になってしまいましたが、パーティーでは必ず笑顔があふれています。今回は、まさにそんなパーティーをイメージした公演です。お客さまに笑顔になっていただきたいという思いで皆さん、パフォーマンスをしてくださるので、中身のまだわからないプレゼントを開けるようにお楽しみいただけたらと思います」

 

取材・文/嶋田真己