とにかく斬新!な“エンタメの福袋”です!!
唯一無二の個性を誇る、世界的ファッションデザイナー、ジャンポール・ゴルチエ。彼が作、演出、衣裳を手がけ、レビュー、サーカス、ファッションショーなどを華やかに交えながら、自身の半生を描く『ファッション・フリーク・ショー』がアジア初上陸を果たす。その日本公演のスペシャルゲストとして、城田優の出演が決定! この貴重な機会に胸躍らせる城田に、この独特なショーへの想いや予想、期待などを語ってもらった。
―『ファッション・フリーク・ショー』への出演が決まった時のお気持ちを聞かせてください。
シンプルに、光栄という言葉に尽きるかなと思います。自分自身ファッションも好きですし、モデルとして東京コレクションやパリコレクションなどに出させていただいたこともあるのですが、果たしてこのミュージカルとファッションショーのコラボという前代未聞の舞台は一体どういうものなんだろう?と思いつつ、ロンドン公演の映像を拝見させていただきました。
――ロンドン公演をご覧になったご感想はいかがでしたか。
ここまで個性的なミュージカルショーというものがあるんだなと、本当に驚きました。とにかく、組み立て方が面白いです。あまり具体的には言わないほうがいいかもしれませんが、オープニングの映像からして奇抜かつ斬新かつ華やかで、これってどのカテゴリーに属するんだろう?と考えると、<ジャンポール・ゴルチエ>というカテゴリーしかないような、そういう印象でした。エンターテイメントというジャンルの中にファッションが完全に入っていて、単にミュージカルとも呼べないですし、まったくこれはカテゴライズできないです。すごいですよね、これっぽいとかあれっぽいとか似ているものすらない、少なくとも僕自身は見たことがないものでした。
――一番斬新だと驚いた点は、たとえばどんなことでしたか?
全体的な構成からして、まず斬新でした。あと、僕が結構好きだったのは、ちょっと地味かもしれませんが、途中でブレイクタイム的な存在として、パリのゴルチエ好きのマダム二人が映像で出て来るシーンです。ショーを見ている奥様方という設定なんですが、じゃらじゃらとアクセサリーをつけて気取っている感じで、ゴルチエを揶揄しているようにも見えるんですけど、僕には緩急が感じられてすごく好きでした。エンタメの中に少しずつそういうちょっとしたお客さんを笑わせる休憩タイムみたいなパートがあるんです。またこのキャラクターが、妙に鼻につくんですよ(笑)。わざとそれをやっているわけです。そういう、ちょっとした遊び心も僕、大好きなんですよね。
――ゴルチエのファッションを身にまとって、みなさん出演されるわけですよね。
もちろんそうです。でも、ただそれだけではないので、だからこそ面白い。本来“ランウェイミュージカル”と言われて思いつくのは、全部ゴルチエの服でミュージカルを作って、その途中でファッションショーみたいな部分もあって、ということになりそうじゃないですか。でも、そういうのではない。本当にカテゴライズできないです。現時点では僕自身、正確な答えがわかっていないので、あまり我が物顔で話すことができないんですけど(笑)。一人の同じクリエイター、エンターテイナーとして活動させていただいている人間として客観的に思ったことを口にするなら、やはりまずは映像と実際にナマで見せるものを駆使している、あの構成が斬新だというのが一番ですね。正直、一回観るだけではなかなか追いつけないというくらいにぶっ飛んでいます、僕もまだ一回観ただけで追いつけていないくらいに(笑)。とにかくすげえな!というもので、過去に見たことがない、前例のないとんでもないショーだという印象ですね。でもすごく盛り上がれるし、最終的にはイエーイ!ってなるはず(笑)。お酒を飲みながら鑑賞してみたい気もしますね。
――城田さんは今回、そのショーにどういう形で参加されるのでしょうか。
おそらくここなんじゃないかな?と予想できるパートはありましたけど、でもまだ確実なところはわからないですし、自分がどんな衣裳を着るかもまだ知らされていないんです。僕が映像で観た、どこかの衣裳なり、どこかのシーンでということなら、たぶんこのへんだろうという予測しかたてられなくて。だけど、今からとてもドキドキですし、本当にワクワクしています。
――ゴルチエさんに関しては、どんな印象をお持ちですか。
自由にファッションを愛してる人で、子どものころはあまり勉強をせずに、教育というよりはファッションに夢中だったということは聞いています。僕自身も子供の頃は勉強そっちのけで曲を作ったり物語を考えたりしていましたし、小学生、中学生の頃からノートに歌詞を書いたりして、勉強よりも自分の好きなことに興味を持っていたほうなので、そういう意味ではすごく共感するところがあります。ゴルチエさんも子どもの頃にファッションに興味を持ち、そして師匠に見染められ、活躍していくわけです。僕自身が初めてゴルチエさんの衣裳を認識したのは『フィフス・エレメント』という映画でした。もちろん映画を観た当初は気づいていませんでしたが、後になってあの世界観こそまさにゴルチエだったんだなと知ったんです。僕もすごく好きな映画でしたが、完全に衣裳で世界観が作られているものでしたよね。あれがもし、いわゆる一般的なお洋服だった場合、全く違う世界観になっていただろうし、映画としてもあそこまで異彩を放つ感じにはならなかったんじゃないかなと思うし。あのファッションセンスはやっぱり奇抜だし、独創的。ふだん僕らが着ている洋服とはちょっと違って、すごくポップ。うまく言えないですけど少なくとも今回の舞台も、流行りとかではなく、本当に好きでやられていることなんだろうなということに僕はすごく共感できるし、素晴らしいなと思っています。
――本作品には物語的な流れもあるんですか。
もちろん、物語としての流れはあります。ゴルチエさんの自叙伝がベースになっていて、幼い頃のシーンでは学校では授業中に絵を描いて先生に怒られたりしていたんだけど、他の先生からは「いいね、僕にも描いてよ」と言われ、生徒たちからも「最高!」って思われていて。そこから風向きが変わった、という描写があったり。
――お会い出来たら、ゴルチエさんにはどんなことを聞きたいですか。
まずはやはり、この作品のことから聞きたいです。どういうコンセプトで、なんてことをわざわざ聞くのは本当ならヤボなんですけど。そもそもエンターテイナーは込めた思いをセリフや歌で表現してお客様に届けるもので、それを観る側は「これってどういうことなの」と聞くのではなくシンプルに感じたまま、その感情を浴びて、それが好きか嫌いかを感じるだけでいいと僕は思うんですよ。だから本来僕も、何も考えずに楽しみたいんですけど。でもせっかくなので、僕も同業者としてエンターテイナーとしてクリエイターとして、このあまりにも楽しく、これまで決して見たことのない、そしてカテゴライズはしづらいこの作品について、作られた順序とか、意味だとか、どこが一番お気に入りなのかとか、いろいろ聞きだしてみたいです。
――今回の作品に出ることで、一番楽しみに思っていることは何ですか。
やはり、なによりもこの作品のカンパニーの中に自分も入れるということでしょうか。もちろんお客さんはほぼ日本人だと思いますけど、出演者はおそらくフランス人が一番多いのかな。オーディションで受かった人やオファーされて参加している方も、きっといろいろな国の方たちがいらっしゃると思うんですけど。自分は、幼少期から自分が属する場所を探していましたし、ハーフである上での葛藤みたいなものもあったんです。ある意味、外国にいるときの方が自分は結構馴染めていると、落ち着けるところが正直あって。また、特にフランスってスペインの隣の国で近いですしね。自分のもうひとつの母国とも近い国の方たち、インターナショナルな方たちと一緒に仕事ができるということが本当に嬉しいです。
――では最後に、お客様へお誘いのメッセージをいただけますか。
何が入ってるか分からない福袋を買いに行くつもりで。福袋は買ってからもしかしたら「ああ、これは要らなかったな」ってこともあるにはあるけれど、中には「うわ、すごい、これもあれもそれも入ってる!」みたいな驚きや感動や刺激を受けることもありますからね。本当、そんな感じなんです、エンタメの福袋です!福袋が好きな方はぜひチェックしに来てください!!(笑)
取材・文/田中里津子
Photo/中田智章