今年7・8月上演の青山メインランドファンタジースペシャル ブロードウェイミュージカル『ピーター・パン』の稽古場お披露目会が開催された。山﨑玲奈、小野田龍之介、鈴木梨央、壮 一帆、住 玲衣奈、長谷川 寧が登壇し本編のなかから2シーンを披露した。さらにこどもが主役の街「キッザニア東京」とコラボレーションしている期間限定「ピーター・パン パレード」を記念して、稽古場に約1000人の希望者から選ばれた20名がこども記者として稽古を見学・取材をした。
稽古場披露レポート
(撮影:田中亜紀)
1981年に榊原郁恵の初代ピーター・パンが新宿コマ劇場に舞い降りて以来、日本でも多くの大人とこどもに親しまれてきたミュージカル『ピーター・パン』。いつまでもこどものままでいたいピーター・パンと、ネバ―ランドの冒険で成長するこどもたちの、楽しくて、ちょっぴり切ない物語だ。
11代目ピーター・パンを演じるのは、第44回ホリプロタレントスカウトキャラバン「ミュージカル次世代スターオーディション」でグランプリを獲得し、数々のミュージカルで高い歌唱力を発揮する山﨑玲奈。宿敵のフック船長役は、圧倒的な歌唱力を武器に、近年次々と大役を射止めている小野田龍之介が昨年に引き続き務める。ピーターを慕うウェンディ役は、確かな演技力でドラマ・映画・CM・舞台などマルチに活躍する鈴木梨央、ダーリング夫人役には2年振りに元宝塚雪組トップスターの壮一帆、タイガー・リリー役に新鋭ダンサーの住玲衣奈が集結した。そして今回の公演も昨年に続き、上海・ロンドン・サンパウロ・ジャカルタ公演等国内外で精力的に活動中のクリエイター&パフォーマーである長谷川寧が演出・振付を担当し、更にパワーアップした『ピーター・パン』を我々に届けてくれるだろう。
開幕まで約2週間を迎え、都内スタジオにて公開稽古が実施され、キャストのパフォーマンスや約1000人の希望者から選ばれた20名がこども記者との質疑応答などがおこなわれた。
公開稽古で披露された2つの場面を紹介する。
「2幕の幕開きシーン」
ピータ―・パンが、ウェンディ、ジョン、マイケルを連れて飛び立ったネバーランド。
ネバーランドは人魚やタツノオトシドラゴン、シカパカなど不思議な生き物たちがすむ夢の島。
そこにはロストボーイズ、パイレーツ、モリビト3つの部族が住んでいる。
アクション、パルクールなどキャストの身体能力をいかしたパフォーマンスでこども記者を一瞬にしてネバーランドへ誘った。
「血の兄弟」
ピータ―の仲間であるロストボーイズと、敵対する森に住む部族モリビト。ある日、ピータ―・パンがモリビトのリーダーであるタイガーリリーをパイレーツから助けたことをきっかけに、それまでいがみあっていた、モリビトとロストボーイズたちが仲間になる。
部族の対立を越えて、血の誓いを交わし仲間になるシーンだ。
圧巻の歌とダンスでこども記者を魅了した。
演出家・キャストコメント
■ピーター・パン役:山﨑玲奈
ピーター・パンを演じる2年目の夏になります。
鈴木梨央さんなど新しいキャストの皆さんとともに2年目のピーター・パンをこの稽古場で創りあげています。
こども記者の皆さんにも今日の真剣な稽古の様子を学校の皆んなにも伝えてくれたら嬉しいです!
去年よりもさらにパワーアップしたネバーランドの世界をお届けできるように稽古を頑張っていきます!
■フック船長役:小野田龍之介
今年で日本公演のピーター・パンは44年目を迎え、ブロードウェイでは70年目を迎えました。
今年は出発して2年目ということで、去年はこうだったけど今年はもっとこうしたら素敵なんじゃないのかと稽古場で色々と話をしながら暑い夏を過ごしております。
記録的猛暑な日々ですが、ネバーランドはもっと猛暑ですので、皆様に是非楽しんで観ていただければと思います。
■ウェンディ役:鈴木梨央
ひとりひとりのキャラクターや個性がすごく溢れていて、全体を通してみんなの思いが、観てくださった方に届いたらとても嬉しいです。
ウェンディとしても、作品を通してピーターやネバーランドに対する思いや家族に対する思いをより深めて演じていきたいです。
■ダーリング夫人役:壮 一帆
私は2022年以来のピーター・パン以来の参加になります。
長谷川さん版ピーター・パンという事で、前回よりもアクションシーンやアクティブな場面が多く、私自身もイチ観客として、毎回とてもワクワクしながら稽古に参加しております。
今日もたくさんの子供たちが来てくれていますが、この舞台に出たいと思う子が出てきてくれるかもしれないので、またお会いできることを楽しみにしております。
■タイガー・リリー役:住 玲衣奈
私は昨年もこの作品に参加させていただいているのですが、その時からダンスやアクロバット、パルクールが多く使われていました。
今年はより一層、私の率いるモリビトたちが迫力満点のアクロバットを決めてくれます。
舞台の上ではもっと迫力が増すと思いますので、注目していただけたら幸いです。
■演出・振付:長谷川 寧
『ピーター・パン』という作品の話をしていると、周囲の人に「何十年前に観た」というのを聞き、改めて歴史のある作品だなと感じています。
今回の作品を観て舞台を始めたとか、この作品を観て何かが変わった、という子が未来に生まれて貰えればいいなと思っています。
この作品はこの先も続いていく演目でありますし、いろんなタイプの演出によって変わっていく作品ですが、今年のこの作品は今この時期だけしか観られないものです。
命をどうやって扱っているか、命の尊さなどをこどもたちと共有したいという思いが、私の作品を創る原動力になっています。
よろしければ是非劇場に足をお運びいただけたらと思います。
ストーリー
ロンドンに住むダーリング夫妻の子どもたち、ウェンディ、ジョン、マイケルの部屋に、空を飛べる不思議な男の子が“あるもの”を取りに忍び込みます。その子の名前は、ピーター・パン。ピーターは3人の子どもたちを連れ、いつまでも子どもでいられる“ネバーランド”へ飛び立ちます。 ウェンディはネバーランドで出会った迷子たちの“お母さん”になり、タイガー・リリー率いるモリビト(森の住人たち)とも仲良くなりました。ウェンディたちは、みんなと楽しく愉快な時を過ごしながらも、いつしか我が家が恋しくなり、迷子たちも連れてロンドンの家に戻ることにします。 一方、フック船長率いる海賊たちはウェンディを自分たちの“お母さん”にしようと、捕まえてしまいます。それを知ったピーターは、ティンカーベルとともに海賊船へ向かい、リリーたちと協力して、フック船長や海賊たちとの激しい戦いの末、ウェンディを救います。 いよいよ、ロンドンに帰る時、ピーターとの最後の別れを惜しむウェンディたち。ウェンディは彼にお願いをします。「春の大掃除の季節にはきっと迎えにきてね。」と。時が経ち、約束を果たしにピーターがやってくるのですが・・・。