瀬戸かずや インタビュー|Kazuya SETO 1st concert『The ALSTROEMERIA-アルストロメリア-』

撮影:吉原朱美

宝塚歌劇団花組を2021年7月に退団した瀬戸かずやのファーストコンサート『The ALSTROEMERIA-アルストロメリア-』が東京:サンシャイン劇場、大阪:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで上演が決定。 宝塚歌劇団花組の元トップスター ANJU(安寿ミラ)が初演出。スペシャルゲストには元月組トップスターの真琴つばさ、元花組トップスター真飛聖を迎え、歌、ダンスを交え、バラエティ豊かなコンサートとなる。 新しい世界へ一歩を踏み出した瀬戸さんにコンサートに先駆けてお話を伺いました。

――退団後、最初のコンサートということで、どんな内容にしたいと思っていますか?

宝塚の男役としてこれまで歩んできて、宝塚を卒業して、どんな自分になっていくのかという境目の時期でもあると思うので「今しか表現できないもの」を自分でも探りながら、変化の段階を皆様にそのままお見せ出来ればと思っています。
宝塚時代の懐かしの曲も歌えればと思っていますし、色んなジャンルにチャレンジしたいです!タンゴも踊ってみたいと思っていたので、どっちのポジションをするのかはご想像にお任せしますが(!)どちらになったとしても楽しみたいと思っています。


――ANJUさんとも内容を話されていますか?

この曲どうでしょうか、と最初に持ち寄った曲がANJUさんと同じで。イメージがあったのが嬉しかったです!


――アルストロメリアというタイトルが素敵だと思います。

愛称が「あきら」なので、「A」から始まるコンサート名がいいと思っていました。
その中で「アルストロメリア」という花の名前をいただき、花組出身というのもありますし、調べたらさまざまな色があったので、コンサートでいろんな色を表現できたらとも思い、この名前にしました。


――花言葉が「未来への憧れ」「凛々しさ」だそうです。

一人の「瀬戸かずや」としてこんな表現がしてみたいという理想のイメージはありますし、これまで退団されたOGの皆様が歩んできてくださった姿も憧れの形ではあります。その中で、自分自身がどういう表現をしたいかな、どういうものが合うのかな、と自由に選択したり、考えたり感じたりしながら、柔軟にありのままの私をお見せ出来ればと思います。


――ゲストに真琴つばささん、真飛聖さんが出演されます。

宝塚に出会うきっかけをくださった真琴つばささんと、私が在団中にトップさんだった真飛聖さんが出演してくださいます。
ファンである真琴さんと、一緒に舞台を作ってきた真飛さんとの共演では違う私が出るのではないかと思っています。お二人がご出演を引き受けてくださった事実だけでも、私は幸せで胸がいっぱいなんですが、お二人と(コンサートを)作ることのできる時間を大切に、楽しんで、その姿を皆様にお届けしたいと思います。


――真琴さん、真飛さんにお声掛けされた経緯をお聞かせください。

自分自身がコンサートをするにあたり、ゲストに出ていただくなんておこがましいと思っていたのですが、切っても切れないご縁のあるお二人方だったので、今回お名前を上げさせていただきました。
ダメ元で難しいと思っていたので、お返事をいただいた時は、小躍りしました!幸せでした!
ANJUさんに「なにしたいの?」と聞かれ、「真琴さんとなにするの~!!」と大興奮してしまったんですけど、ファンとしてではなく、私も表現者として立たないと!ただ、心躍る感は駄々洩れると思います!
真飛さんとは現役のときに一緒に出させていただいていたのですが、女優として色々な活動される中で、コンサートでご一緒出来るというのがスペシャルな時間じゃないですか?楽しみでしかないです!
真飛さんと「あのショー」の「あの歌」が一緒に歌えたらいいなと思っています。私自身も楽しみです!


――どのような雰囲気のコンサートになる予定でしょうか?

瀬奈じゅんさんの退団後のコンサート「ALiveーHandsome Womanー」で、「ハンサムウーマン」とつけてらして。まさにその言葉がぴったりで、自分もそういう風でありたいなと思ったんですよね。私自身もカッコイイ女性というのは見ていて素敵だと思うので、男役をやっていたという経歴というのは独特で、それを持った自分がどんな表現が出来るのかなって思うので、その想いはANJUさんにも伝えさせていただきました。
現役を思い出すようなカッコイイ面も、変化の途中の女性らしい部分も見え隠れするような、そんなコンサートになれば、まさにこの時期にしかできないのではないかと思っております。表現できることを楽しみたいと思います。


――退団されて心境の変化などありますか?

舞台に立てること自体が当たり前じゃないっていうのは、10年前の震災の時にも思って、忘れていたわけではないですが、今回のコロナ禍で、改めて思い返させられました。舞台に立つことも、観に来てくださることも当たり前じゃない、と、その大切さを知った上で、今こういう機会をいただけるということに意味があるんだろうなと思っています。私が皆様にお伝え出来ることってなんだろう、私がしたいことだけでなく、いろんな想いを形にできたらいいんじゃないか、というのを辞めてから考えるようになりました。
在団中とは、時間の流れ方が変わったので、朝起きてお昼が来て、夕方がきて、というのを実感して、少しのことですが、それが変化だったり、喜びだったり、そんな生活が今楽しいです。
ちょっとつぼみが開いてきたな、桜、もうすぐ咲くのかな、というちょっとしたことでも、心も動くなと思ったし、些細な事かもしれないですが、小さな積み重ねをいっぱいしていきたいなと思いました。


――すっかり女性らしさが増されましたが、これからも「あきらさん」とお呼びしていいのでしょうか?

「あきらちゃん」という女性もいらっしゃいますし、芸名よりも「あきら」で過ごしている時間が長いので、もう「あきら」のままでいいのではないかと思っています!


――これまで男役芸を突き詰められていて、瀬戸さんの手の動きのカッコ良さがとても印象的でした。退団されて手の動きなどに変化あられましたか?

わからないです!(笑)
でも、ネイルをしたら指先がごつごつしなくなった気がします。
ちょっと指先を伸ばしていたい、キレイにしていたいと無意識に思うようになったり、物を取る時などに指先を気を付けている気がします。
ネイルなどやってみたいな、と思っていたことに挑戦できる環境にいることもおもしろいな、とも思います。もちろん、やってみて「これは合わないな」って思うことも。
みなさんが、大学生から社会人になるまでに変化するところを、いきなり「大人!何したらいいの女子!」と一気に飛び込んでいるので、試行錯誤しながらいろんな発見をして、居心地のいい自分を見つけていければと思います。


――今後、女優・俳優として、どういうことにチャレンジしたいですか?

これまで退団された上級生の方々や下級生が、宝塚を卒業後もいろんなジャンルで活躍されているので、自分自身がどんなことに興味があるのかな?と考えていたのですが、今のところまだピンとくるものがなく。
今回コンサートで、宝塚とは違う、男性も出演する舞台に挑ませていただき、宝塚とは違う見え方をする舞台なのではないかと思うので、お稽古や本番を経て感じることが大きいと思います。コンサートを通して、この先の選択が、閃いたり、沸いてきたりするのではないかと思っていますので、今は目の前のコンサートに全力で挑んでいきたいなと思います!



公演は、4/29(金・祝)~5/1(日)東京・サンシャイン劇場、5/6(金)・7(土)大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティにて上演される。一般発売は3/26(土)10:00から。