昨年の年の瀬に開催され、大好評を博した木村達成のコンサートの第二弾『木村達成コンサート -Alphabet Knee Attack Vol.2- 』が、12月8日(金)に大阪・松下IMPホール、12月20日(水)・21日(木)に東京・ヒューリックホール東京にて行われる。
自身初となった前回のコンサートでは、確かな歌唱力と個性溢れるキャラクターで観客を魅了し、木村達成という表現者の多彩な魅力を印象付けた。第二弾となる今回は、自身の30歳の誕生日と共にスタートを切り、さらに特別感のある時間となりそうだ。12月のコンサートに向け、木村に現在の心境を語ってもらった。
ヒヤヒヤするような、不完全さを楽しんで
――昨年の公演では、前半はJ-POPや歌謡曲のカバー、後半は出演作からのミュージカルナンバーという楽曲構成でした。2回目となる今回はどのような構想を描いていますか?
どうなるんでしょうね(笑)。そもそもプランニングしながら物事を進めることが苦手なのですが、行き当たりばったりでも面白いものになるだろうなと思っていますので、そこは自信を持って貫き通していきたいですね。楽曲、衣装も変わり、気持ちの面でも変化している部分があると思いますし、前回とは全く違うものになるんじゃないかと思います。
――Vol.2での新たな試みも気になります
僕の舞台を観ている方であれば、「あっ!」ってなるんじゃないですかね。これ以上はネタバレになってしまうので言えませんが……。
あと、前回は収録もあったりと、初回にしてはとんでもないプレッシャーがかかっていましたが、今回は放送も配信もないので、縦横無尽に走り回ることができるんじゃないかなと思っています。カメラが入らないといろいろ自由に発言できますし、ヒヤヒヤするようなコンサートでありたいなと。
――スリリングな感じもありつつ
それは今やっている舞台(『スリル・ミー』※取材時)にちょっとかかりすぎですけどね(笑)。でも、絶対的な安心安全なんてこの世にはないので、その不完全さを楽しんでいただければと思います。
――前回の初コンサートでは、どんな手応えを感じましたか?
「自分にも人を喜ばせる能力ってあるんだな」って思えたことでしょうか。こんな僕なんかで喜んでもらえるなら、全力でやりますよ、って。上手く歌えたかどうかといったことよりも、お客さまが喜んでくれて、面白いと思っていただけたらそれで満足ですね。僕自身もお客さまも楽しく終われることで、Win-Winな関係になれると思いますし。
俳優としてではなく、木村達成として素直に歌を届けたい
――昔からスナックなどで歌を披露するのがお好きだったそうですが、木村さんにとって「歌」とはどういう存在ですか?
「新たな景色を見せてくれたもの」、でしょうか。僕は今、仕事としてこうしてコンサートをやらせてもらったり、ミュージカルに出演させていただいたりしていますが、そもそも歌うことが好きではなかったら、今のような状況はなかったと思いますし。自分に新たな1ページを見せてくれた、ありがたい存在ですね。
――俳優として歌を表現することについて、ご自身の中で意識されていることがあれば教えてください
最近、「俳優とは?」ってすごく考えるようになったんですが、人として完璧さを求められるような世間からの目線にちょっと嫌気が差しているところがあって……。もちろん、お客さまにエンターテインメントをお届けすることは大好きですし、これからも続けていきたいとは思っていますが。なので、前回は俳優として歌を届けるというニュアンスのコンサートでしたが、今回は俳優として表現するのではなく、何も纏っていない“木村達成”として、素直に歌を客席の皆さんにお届けできるような形がベストなのかなと思っています。そこに、「30歳になった」という+αの要素も入ってくる、という感じですね。
――コンサートではさまざまなジャンルの楽曲が聴けそうですが、今の木村さんにとって、元気が出る“パワーソング”をあげるとしたら?
『サウンド・オブ・ミュージック』の「さようなら、ごきげんよう(So Long, Farewell)」という曲を最近よく車の中で聴いています。子供たちの楽しげな♪クック~~っていう歌声がいいんですよね。聴いていると愉快で楽しい気分になります。
――前回の公演は年末だったこともあり、公演グッズに年越しそばがあり話題になりました。今回も何か目玉グッズはありそうですか?
メインビジュアル(公演概要欄に掲載)のこの真っ白な写真の方に少し関係してくるような物があるみたいです。見たら「なるほど」ってなるような。なので、この写真からぜひ皆さん連想していただいて(笑)、発表まで楽しみにしていてください。
“承認欲求爆上がり”で迎えるコンサート
――現在出演中のミュージカル『スリル・ミー』についてもお聞かせください。以前から出演を希望されていたそうですが、実際に演じられてみて、どのような感触をお持ちですか?
いい意味で、結構何も考えないでやっていますね。作品や役のバックボーンは、稽古場で(演出の)栗山さんが作ってくださったものがしっかり自分に根付いています。舞台上に立った瞬間はまっさらな気持ちでやるしかないので、変にプランなどは立てずに突き進んでいます。
――二人芝居で、作品の世界も濃密ですよね
毎公演、終わったあとは抜け殻みたいになってしまって、拍手をもらってもなかなか戻って来れないんですよ。毎回こっち(現実)の世界に帰ってくるのに必死ですね。それぐらい、日々やりがいを感じています。ただ、『スリル・ミー』という作品に関しては、あまりこういったインタビューなどで芝居に関して言及するつもりはないんです。それはなぜかというと、観た人がそれぞれで解釈してほしいのと、記憶の中に余計なものを付け足してほしくないから。言及することで、道標になりたくないという気持ちがあるんですよね。100分間で観たものがすべて、それが『スリル・ミー』という作品だと思っています。
――今後の出演作も楽しみです。それでは最後に、コンサートを楽しみにしているお客さまへメッセージをお願いします
年内、皆さんに会える最後の場所になります。自分の誕生日当日に公演する機会はなかなかないですし、しかも30歳になりたての木村達成をお届けできるのは、このコンサートが最初で最後です。舞台の公演を終えてから、約2ヶ月ぶりにお客さまとお会いできるので、きっと僕は承認欲求爆上がりの状態で当日を迎えると思います。「30代になる木村達成を祝ってください、頼みます!」という思いでいっぱいですので、ぜひ会場に足を運んでいただけたらうれしいです。
インタビュー・文/古内かほ
撮影/Maho Korogi
スタイリスト/部坂尚吾(江東衣裳)
ニット¥47,300(BARENA / 三喜商事 03-3470-8232)
ヘアメイク/齊藤沙織