左から)上山竜治、内田健介、村井良大、石橋徹郎、前田亜季、池岡亮介、大場泰正
撮影/宮川舞子
12月3日(火)、東京・新国立劇場 中劇場にて『白衛軍 The White Guard』が開幕した。
二十世紀ロシアを代表するウクライナ出身の作家、ブルガーコフの代表作『白衛軍』は、ロシア革命直後の1918年のキーウを舞台に、時代に翻弄されるひとつの家族を描いた作品。今回、小田島創志の翻訳、上村聡史の演出で開幕した『白衛軍 The White Guard』は、2010年に英国のナショナル・シアターで上演されたアンドリュー・アプトンによるリライト版に基づいており、1924年に小説として発表してから100年を迎える記念すべき年の上演となる。
上村聡史が「過去が今にも繋がっている」ことを意識したと語る、視覚的インパクトの強いオープニングをはじめとした、新国立劇場の機構をフル活用した演出。そして村井良大のギター弾き語りをはじめとした心に染みる歌。そして物語の中心となるトゥルビン家の人々と、その友人の将校たちのコミカルなやり取りから一転して描かれる戦争の残酷さ。この物語で描かれる内戦の混乱は、今ウクライナで起きていることに地続きでつながっていることを痛感させられるもので、上村の演出と出演者の熱演に、客席からは熱い拍手が贈られた。
この開幕に際し、舞台写真と共に、演出の上村聡史、ニコライ役の村井良大、エレーナ役の前田亜季、レオニード役の上山竜治から以下のコメントが届いた。
コメント
上村聡史(演出)
14年越しに念願叶い、『白衛軍』を上演することができました。百年前のウクライナの話ということで日本での上演は無理かと思っていましたが、悲しいかな時宜にかなった公演になりました。
その今現在を想う嘆きと、ロシア革命後のキーウを懸命に生きる登場人物たちの息づかいが重なり、劇空間は、いくつもの感情に溢れ、貴重な上演になったことを強く噛み締めています。
カンパニーの皆が、ブルガーコフの戯曲に込めた願いに触発され、力をぶつけあい、作り上げました。これからは、観客の皆様の想像力と共に、劇場が一体となって、より作品を深めていきたいと思います。
村井良大(ニコライ役)
『白衛軍』の幕がついに開きました。
まずは無事にお客様へ届けられる事を幸せに思います。そして観ていただいた方は分かると思いますが、シリアスなシーンだけでなく、キャラクターの可笑しい部分で笑っていただくことのできる作品でもあります。
戦時中の物語ではありますが、そこにある日常を送る人々の呼吸を楽しんでいただけたら。
そして新国立劇場のセットを贅沢に使った演出に圧倒されます。
まだ迷われている方は是非、劇場へ足をお運びください。
前田亜季(エレーナ役)
物語へ没入していただけるよう、スタッフキャスト気持ちを一つにしてお届けしたいと思います。
100年前にブルガーコフが描いた、厳しい状況の中でもユーモアを忘れずに生きる人々。皆でテーブルを囲む夜食の場面では、様々な人の交流の中に、ブルガーコフの人間に対する愛を感じられ好きなところです。中劇場ならではの大きな舞台転換も物語への効果と共にぜひ体感していただけたらと思います。
世界中で起きている戦争が終息することを祈りながら、今は真摯にこの作品に向き合いたいと思います。
上山竜治(レオニード役)
稽古が進むにつれ新たな解釈がどんどん生まれていき、戯曲が持つ背景に魅了されながら、翻弄される稽古の日々でした。
観客はどう見て下さるのか、、予想ができなかったのですが、お客様の笑い声や反応、拍手に報われながらも、千穐楽までしっかり務めなければと、改めて身が引き締まりました。
激動の時代の中で、現実を受け止めながら先を見据えて、”愛する人”を全力で愛するレオニードと言う素敵な役を、愛を持って演じさせていただきます。
ぜひ劇場でお待ちしております。
キャストが贈る、激動の時代を生きた家族のドラマにご期待あれ!
チケットは好評販売中。詳細は下記公演概要欄の「チケット情報はこちら」をチェック!