シアタートラム・ネクストジェネレーションvol.16-演劇- くによし組『ケレン・ヘラー』│開幕コメント・舞台写真公開!

2024.12.20

面白いと不謹慎の境目を歩きながらドン底へ落ちていく女性芸人の、
ポップでアフロなお話。

滑稽で、痛く、愛しい主人公の姿を描いたくによし組の代表作が
シアタートラム・ネクストジェネレーションに選出され、個性豊かなキャストとともに、新たに立ちあがる。

2024年12月19日、シアタートラム・ネクストジェネレーションvol.16-演劇-くによし組『ケレン・ヘラー』が開幕した。くによし組は「異常で、日常で、シュール」をテーマに、様々な事象をコメディタッチで描き出す作風が注目され、小劇場演劇ファンの間で話題の演劇団体だ。
『ケレン・ヘラー』は、くによし組主宰・國吉咲貴(くによし さき)の作・演出により、2018年に初演された。SNSが浸透し、刺激的なコンテンツが増えた社会で、面白いと不謹慎の境目は一体どこなのか、面白さを追求するあまり、主人公が禁断の領域に踏み込み、転がり落ちていく様を描く作品だ。解散の危機に陥ったお笑い芸人が、お喋りロボットを相方に起死回生を図るという奇想天外な設定ながら、巧みなストーリー展開と俳優陣の演技が評価され、初演時には佐藤佐吉賞最優秀作品賞を受賞した。

SNS上での表現の過激さが増していく現代社会のひずみを、コメディタッチで映し出す
『ケレン・ヘラー』

初演時は、「周囲が見えなくなっていく主人公目線で戯曲を執筆した」という國吉だが、今回の上演にあたり、「主人公を過激な行動に走らせたのは何者か、盲目なのは誰なのかを新たなるテーマに据え、物語を改訂した。コンテンツの発信者だけではなく、受け取る側の判断や反応により、時に美しいものを醜く、醜いものを美しくも変えてしまう社会や、その中で奔走する主人公の姿を描きたい」と語っている。
社会問題ともなっているSNS上での過激な表現をテーマにしながらも、懸命に生きる登場人物を、時に滑稽に、時に痛々しさも交えながらポップに、鮮明に映し出すくによし組の代表作が、初演から6年を経て、個性豊かなキャストと共に新たに立ち上がった。

開幕コメント

【作・演出】 國吉咲貴(くによし さき) コメント
まさか再演するとは思ってなかった『ケレン・ヘラー』が動き出して約1年。
とうとう開幕します。
稽古初日から今日までの時間が・・もはや初演から今日までの6年すら、あっという間だったような気もします。
素晴らしいキャストさん、スタッフさんとの創作の日々は、とてもとても幸せでした。
演劇続けてきてよかったです。
たくさんの人の知恵や愛がたくさん詰まった、新しい『ケレン・ヘラー』ができました。
始まったということは、あと3日で終わってしまいます。(かなしい)
ぜひ、アフロ子ちゃんとみんなに、会いに来てください。

【出演】中井千聖(なかい ちさと)コメント
初日を迎えられることがうれしいです。
模索と小さな新発見を繰り返しながら、じたばたしているうちに気がつけば今日です。緊張もありますが、座組の皆さんとお客さんとでつくられる「劇場」から、大きな力をもらえるような気がしています。あこがれのトラムの舞台に支えられて立つのはどんな感覚なのか、わくわくしています。楽しみつくしたいです。

【出演】名村辰(なむら しん) コメント
初日の幕が開くことが、とても嬉しいです。憧れの劇場の一つでもあるシアタートラムに、國吉さんの作品で、この座組の一員として立たせていただけることを幸福に思います。
頭をたくさん使った稽古期間でしたが、本番では、脳がコントロールできないほどのスピードで心と体を回転させて、この世界に熱中できたらと思っています。お楽しみいただけたら幸いです。短い公演期間ですが、毎回新しい発見があると思うので、是非何度でも劇場へ足をお運びいただけたら嬉しいです!

【出演】大場みなみ(おおば みなみ) コメント
あっという間に初日を迎えてしまった。過激で不謹慎、ポップで刺激的な作品を作り上げる稽古場はとっても優しく静謐な空気に満ちていて、國吉さんの器の大きさに感服しきりだった。まだまだ稽古したいと思うほど、ここに登場する人物たちが魅力的すぎる。幕が上がればたったの4日間、短いと思っていたけど、打ち上げ花火のようなアフロ子ちゃんの物語を上演するには十分な時間なのかもしれません。全員怪我なく最後まで駆け抜けられますように。

舞台写真

撮影:月館 森

『ケレン・ヘラー』あらすじ

女性お笑いコンビ、“ポジティboo”のアフロ子とケイトは、ヘレン・ケラーを題材にした不謹慎なコントが原因で活動休止に追い込まれ、価値観の違いから解散に! ひとりぼっちになったアフロ子の前に、突如、神様さんという謎の人物が現れる。
神様さんの助言により、アフロ子はお喋りロボットのサリバンちゃんを購入して相方にすると、新生“ポジティboo”として一発逆転を試みる!
神様さんの助言に従うほど注目されていくアフロ子だったが、あるとき、自分の目と耳に不調が起きていることに気づき……

出演者には 中井千聖 名村辰 大場みなみ ほか超個性派俳優が集結!

主人公でお笑いコンビのネタ担当・アフロ子を演じるのは中井千聖。宮藤官九郎作・演出舞台『もうがまんできない』の出演者オーディションで多数の応募の中から選出されて2020年に俳優デビューし、近年では大人計画の作品をはじめ数々の舞台や、「不適切にもほどがある!」「新宿野戦病院」などの映像作品でめざましい活躍を続けている。
アフロ子が過激化した姿の悪アフロ子を演じるのは、モダンスイマーズやタカハ劇団などでの好演が記憶に新しい名村辰、アフロ子の相方・ケイト役には、ロロや贅沢貧乏をはじめとする気鋭の劇団や演出家からの信頼が厚い大場みなみを迎えた。名村は世田谷パブリックシアター芸術監督・白井晃演出作『メルセデス・アイス MERCEDES ICE』(2023年)以来、大場は『セツアンの善人』(2024年秋)に続く世田谷パブリックシアター主催公演への出演となる。
くによし組の立ち上げメンバーの一人である永井一信を筆頭に、これまでにもくによし組の作品に出演し、國吉の演出意図をくみ上げ表現してきた俳優陣が、作品を支える。クロムモリブデン劇団員として活躍しこれまでも数々のくによし組の作品に携わってきた花戸祐介、コンプソンズや画餅などでも独特の存在感を放つ佐藤有里子、いいへんじや劇団スポーツなど幅広い作風のなかで好演を続けるてっぺい右利き、ザジ・ズーや中野坂上デーモンズなど多様な場所で活躍する柿原寛子のほか、カムカムミニキーナや劇団チョコレートケーキなどで重要な役を演じてきた谷川清夏がくによし組に初参加し、新しい『ケレン・ヘラー』の世界を立ち上げる。 作・演出の國吉咲貴を中心に、フレッシュで個性豊かな才能たちが創出するシアタートラム・ネクストジェネレーションvol.16-演劇-くによし組『ケレン・ヘラー』に、期待が高まる。