演出家の稲葉賀恵、翻訳家の一川華が「翻訳」という営みを探求するユニット ポウジュ の第一弾公演として、『リタの教育』『オレアナ』の二作同時新訳が開幕。2025年1月19日(日)までシアター風姿花伝にて上演される。
ウィリー・ラッセルの『リタの教育』とデヴィッド・マメットの『オレアナ』は、いずれも男性教授とその教え子が織りなす二人芝居。権力やジェンダーの違いを超え、私たちはこれまでどのように対話を試みてきたのか、あるいはそれに失敗してきたのか。コミュニケーションの変遷を辿ることにより、現在の対話の在り方を見つめ直すことを目指す。
出演者には、映画『誰が為に花は咲く』で主演を務めるなど映像で活躍する一方、舞台にもコンスタントに出演し若手俳優の中で頭角を現す湯川ひな、劇壇ガルバ『ミネムラさん』に出演、また2025年には舞台『オイディプス王』への出演を控える大石継太を迎えた。
コメント
< 稲葉賀恵コメント>
先日無事に『リタの教育』『オレアナ』の初日が明けました。この二作品を同時上演したら絶対に面白いと思いついた時のことを思い返して、なんてとんでもないことを思いついてしまったのだろうと今思っています。でもそのとんでもないことを今、劇場で湯川さんと大石さんの身体によって実現していることがかなり事件で、裏も表も前代未聞のこのお祭り、神輿をクリエイティブチームみんなでわっしょいしています。全員野球のこのお祭りをぜひ見逃さずにご覧くださいませ。 ご来場心よりお待ちしております。
< 一川華コメント>
『リタの教育』『オレアナ』二作同時上演、無事に開幕いたしました。
この日まで共に走り抜けてくださった湯川さん、大石さん、クリエイティブチームの皆さまに心より感謝申し上げます。2人の役者が2つの物語を演じる。こんなにワクワクすることはありません。ぜひ、マチネ・ソワレで一変するお二人を目撃してください。 演出の稲葉さんとは、「今」両作を上演する意義の話し合いを重ねて創作をしてまいりました。鋭く、柔らかくお届けしてまいります。ご来場、心よりお待ちしております。
舞台写真
<オレアナ>
<リタの教育>
あらすじ
<『リタの教育』あらすじ>
1970年代後半のイギリス。26歳の美容師リタは、大学の社会人講座に足を踏み入れる。彼女の指導を任されたのは、かつて詩人を志しながらも、今では酒に溺れる大学教授フランク。自由奔放で、学ぶことに意欲的なリタの姿に、フランクは次第に心を動かされる。しかし、「教育」を通じてリタの持ち前の無邪気さや自由さが失われてしまうのではないかという不安が、フランクの心を掻き立てていく。
<『オレアナ』あらすじ>
1990年代のアメリカ。終身在職権の授与を目前に控え、将来の安定に胸を膨らませる大学教授ジョンの研究室に、女子学生キャロルが訪れる。講義についていけず、不安を抱えるキャロルに、ジョンは親身に対応する。しかし、その後キャロルがジョンを大学当局に訴えたことをきっかけに、順調だったはずのジョンの未来は大きく揺らぎ始める。
写真/引地信彦