OSK日本歌劇団『円卓の騎士』観劇レポート

2019.01.19

<アーサー:楊琳/グウィネヴィア:舞美りら>

 

今回題材となっているのは、タイトルからも分かるように、アーサー王伝説だ。
演劇は勿論、映画、漫画、ゲーム、等全人類がありとあらゆる角度から引き出しを開けてきた本作品を、宝塚歌劇団出身の荻田浩一の作・演出でOSK日本歌劇団が創り上げた。
アーサー王伝説と言えば、円卓の騎士を中心とした騎士道物語であり、同時に愛憎劇でもある。というようなイメージを持つ方が多いと思う。
しかし、今回の演出では、その愛憎にあたる部分が各登場人物の闇の部分にスポットを当てるというよりは、あくまでも純粋な思いにスポットを当てた、OSK日本歌劇団のもつ華やかなイメージにもぴったりなファンタジーな作品となっていた。
アーサー王伝説に触れたことがない方も勿論楽しめるが、何らかの形で本作に触れた事がある方は、その違いを是非とも楽しんでいただきたい。

<マーリン:愛瀬光>
 

この作品の魅力といえば、個性豊かなキャラクターたちだ。特に今回主演のアーサーを務めた楊琳の繊細で儚い、王である前に円卓の騎士の一人であるということを感じるような歌声。心が締め付けられるようなストーリーの中で華となっていたヒロイン、グウィネヴィアを務めた舞美りらのまさに芸名を体現したかのような美しく舞台上を舞う天真爛漫な姿は印象的である。
また、OSK日本歌劇団といえば華やかなレビューのイメージがあるが、劇場に入るやいなや舞台のコンパクトさ・近さに驚いた。緞帳が上がり開演するのではなく、舞台上の大きなセット、岩に刺さった聖剣エクスカリバーに出迎えられた。どちらかというと小劇場の雰囲気に近いものを感じる。

舞台転換・暗転が少なく、1つのセットを照明や音楽で彩る。近年、演劇でも映像技術による演出が多く盛り込まれる事が増えてきたが、そんな演出に少し疲れてしまった方は是非観ていただきたい。
素朴で暖かで、照明ひとつで色々な顔をみせてくれる舞台装置。表現というのは無限にあるのだと改めて感じさせてくれる。

そしてフィナーレはまさにイメージしたレビューを堪能する事ができる。
出演者13人、まさに少数精鋭という出演者陣が舞台を彩る。芝居での表情とのギャップに心がときめく。
ここで披露されるのはOSK日本歌劇団のテーマソングである桜咲く国である。華麗な傘さばきに耳に残るメロディー、客席も舞台と一体となり傘をくるくると回すことが出来るのも魅力だ。

 

1/24(木)〜1/27(日)東京・銀座博品館にて上演される。
レビューの華やかさや、小劇場作品を彷彿とさせる距離感の近さや表現の無限大さを感じることが出来る演出を一度に味わうことができる舞台を是非一度堪能して頂きたい。

 

取材・文/ローソンチケット