せたがやアートファーム2025『キャプテン・アメイジング』|出演者決定!演出家・出演者からのコメントも到着!

2025.02.26

アリスター・マクドウォールによる父と娘の物語を
田中麻衣子の演出により日本初演!

英国出身の劇作家アリスター・マクドウォールによる本作『キャプテン・アメイジング』は、2013年に英国で初演されるやいなや多くのメディアが絶賛し、瞬く間に話題となった作品。
スーパーヒーローに扮する一人の男とその娘の、たった6年間の記憶の物語が、一人芝居で描かれる。
当初、スタンダップ・コメディの演目を書いていたアリスター・マクドウォールは試行錯誤の中、主人公とその娘のささやかでどこかぎこちない会話に没頭し、気づけば普段のスタイルと異なるこの作品が生まれた。彼は本作を、「記憶の芝居であり、ある種、ベッドで読み聞かせをする大人にとっての子どもの本」と表現している。ファンタジーと現実が交差する、陽気でありながら、胸が張り裂けるようなこの冒険の物語に、大人も子どもも大きく包み込まれ魅了されることだろう。
演出を手掛けるのは、日本の近代戯曲から海外の翻訳作品、そしてミュージカルと多岐にわたる活躍で才能を発揮し、2022年には『ライカムで待っとく』で第30回読売演劇大賞作品賞を受賞するなど高い評価を得ている田中麻衣子だ。新しい視点と独自の感性で観客を惹きつける田中の演出が、観客の想像力をかきたて、深く心に残る作品になることだろう。

いくつもの役を演じ分ける一人芝居を
近藤公園、田代万里生、松尾諭 のトリプルキャストで上演

『キャプテン・アメイジング』は一人芝居でありながら、客席への語りかけではなく、すべてが登場人物との対話として描かれ、いくつもの役を一人の俳優が演じて物語が進行していく。
アリスター・マクドウォールは本作を、俳優が観客と深い関係性を持つことのできる「俳優の芝居」でもあってほしいと記している。全身で演じられるコメディシーンから、心が締め付けられるような場面まで、一人ですべてを演じることになるこの作品を、近藤公園、田代万里生、松尾諭のトリプルキャストでお届けする。
さまざまな演出家の作品で多様な役柄をしなやかに演じ、登場人物の内面に潜む繊細な感情を見事に引き出す近藤公園。圧倒的な歌唱力と深い表現力で長年にわたり多くのミュージカル作品で観客を魅了する、世田谷パブリックシアター初登場の田代万里生。幅広い演技力でシリアスな役柄からコミカルな役まで多彩なキャラクターを鮮やかに演じ分ける松尾諭。
卓越した表現力と際立った存在感を持つ3人の実力派俳優による、三者三様の魅力あふれる『キャプテン・アメイジング』に乞うご期待。

ストーリー

「名前は?パパの、スーパーヒーローとしての名前。」
「えっと、キャプテン、、、アメ、、、イジング。ミスター・アメ、、キャプテン・アメイジング。」
「その名前めちゃくちゃダサい! そんなダサいヒーロー、聞いたことないよ! キャプテン・アメイジングは、何する人??」
ガランとした部屋。
男が一人、汚れたマントを着て立っている。彼の名はマーク。キャプテン・アメイジングだ。ホームセンターで働く、世界で最も地味で不健康で冴えないスーパーヒーロー。
宿敵との戦いに娘の学校への送迎、燃え盛る炎に飛び込んでの人命救助。空を飛びながらスーパーマンと苦悩を語り合い、酔っ払ってパブでバットマンと喧嘩。娘の「なんで? どうして?」と質問攻めの日々。娘のためにスパイダーマン柄の布団を買い、寝かせるために物語を作って語る日々。
そんな英雄的冒険の傍らで、男は逃れられない最後のミッションに立ち向かうことになる。そしてスーパーヒーローも、悲劇と無縁ではないことを思い知らされるのだった。
これはマントを着た一人の男とその娘の、たった6年間の記憶の物語である。

演出家・出演者コメント

演出:田中麻衣子

シアタートラムではこれまで何度も、忘れ難い作品と出合わせてもらいました。
その劇場でこの作品の演出を担当できることを大変嬉しく思います。
“自然主義だけでは何かが足りない。実生活は奇妙で恐ろしい。鮮やかな色彩と白黒の世界が混在している感じ。全てが一度に混ざり合ったような。それは演劇だけにできる表現だ。”
作家のマクドウォールの言葉です。
『キャプテン・アメイジング』は、まさにその世界観を実現した戯曲です。
メチャクチャな時空を軽やかに行き来することで私たちが意識していないところまで入り込む、記憶と思い出の物語ではないかと考えています。
3人の素晴らしいキャストの皆さんと刺激に満ちた一人芝居を創り上げていきたいと思います。

出演 (トリプルキャスト・五十音順):
近藤公園

「一人芝居、見える世界が広がるよ」
そう聞いてから、いつか挑戦出来たらと漠然と思っていました。
実際に今回のお話をいただいた時には、身体の中に、今まで感じたことのない鼓動を感じました。
あらすじを読んだら、その展開に目が回り、粗訳台本を読んでみたら、「これどうやるんだい!?」と頭がグラグラしました。
でも、この物語の核にある“何か”をもっと確かに感じてみたい思いと、“演劇の可能性”に委ねているこの作品に飛び込んでみたいという衝動に駆られました。
文字通り、体当たりで挑みたいと思います。

田代万里生

普段、圧倒的にミュージカルの舞台に立つことの多い自分にとって、セリフのみで紡いでいく【ストレートプレイの一人芝居】は、役者としてこれ以上ない史上最大の挑戦となります。
演出の田中麻衣子さんは、僕がこれまでに出演したミュージカル『カム フロム アウェイ』や『スリル・ミー』などの数多くの作品でご一緒させていただいており、僕の様々な側面や個性をいつもそばで支え、深く理解して下さっている方です。
そんな全幅の信頼を寄せる田中麻衣子さんをはじめ、一人芝居といえどカンパニースタッフのチーム全体で『キャプテン・アメイジング』という作品をゼロから創り上げ、皆様にお届けいたします!

松尾諭

いつかはスーパーヒーローになりたい、と誰しも子どもの頃は思っていたのではないでしょうか。
恥ずかしながら実はすっかりおっさんになった今でも、せめてスーパーヒーローを演じてみたいという願望を密かに抱き続けておりました。
なんとそれがこの度ついに実現します!
とても喜ばしい事なのですが、そんな喜びよりも大きく募らせるのは不安です。初の一人芝居なんです。
台本を読むと内容はとても面白いのですが、こんなの一人でできるのかと不安でいっぱいです…とは言いつつも本当のところは少し楽しみです。
憧れのスーパーヒーローになるために、勇気を持って演じたいと思います。