モダンスイマーズ 句読点三部作連続上演 蓬莱竜太 インタビュー

書くことが必然だった3本で、自分を再検証したい


新国立劇場や商業演劇への書き下ろし、テレビドラマや映画の台本など幅広く活躍し、人気俳優にも多くのファンがいる蓬莱竜太。彼が座付き作家を務める劇団モダンスイマーズが、2013年から2016年までに上演した3作『死ンデ、イル。』『悲しみよ、消えないでくれ』『嗚呼いま、だから愛。』を「句読点三部作」として4月から7月にかけて連続上演する。

蓬莱「この三部作を終えたとき、自分の意識が変わったんです。それまであった“劇団があるから作品をつくる”ではなく、創作がもう少し個人的になったというか、社会と自分について考えたことが作品になっていく感覚が生まれました。それはとても大事だと思えたし、同時に、以前のように“この時期に公演があるから新作を書こう”という考え方に違和感を感じたんです。それなら、どういうことに自分の触手が動くのか、三部作をもう一度つくり直して検証してみようと」

稽古と公演で5ヶ月間がびっしり埋まる、決して小さくない挑戦に取り掛かる動機を、蓬莱はこう話す。
『死ンデ、』は、被災して仮設住宅で暮すようになった女子高生の失踪を。『悲しみよ、』は、妻亡きあと、その家族の好意に甘えて暮らす男の平穏が崩れていく様子を。『嗚呼いま、』では美人の姉にコンプレックスを抱く女性が、子供時代のトラウマを乗り越えて夫との距離を埋めるまでを。題材はバラバラだが、個人が抱える心のさざ波と、社会に横たわる大きな問題がつながる複雑なポイントを丁寧にすくい取って描くのが共通点。ぶつかり合う登場人物それぞれの意見が、どれも切実で理解できるのも、通底している。

蓬莱「最初にそう意識していたわけではないんですけど、この3本は自分の中でつながっているし、3本書くことが必然だった気がしています。三部作を再演し終わった時点でどういう気持ちになるのか楽しみですし、もし何も生まれなければ、それ以降の活動はなくてもいいかも、というくらいの気持ちでいるんです」

 

と、駆け抜ける準備も万端のよう。モダンスイマーズ未経験の人にとっても、最近観ていなかったという人にも好企画。できれば三作観てほしい。

 

インタビュー・文/徳永京子
Photo/村上宗一郎

 

※構成/月刊ローチケ編集部 4月15日号より転載
※写真は本誌とは異なります

掲載誌面:月刊ローチケは毎月15日発行(無料)
ローソン・ミニストップ・HMVにて配布

 

【プロフィール】
蓬莱竜太
■ホウライ リュウタ ’76年生まれ。舞台芸術学院の同級生を中心に、’99年に劇団モダンスイマーズを結成、付きの作・演出家となる。’09年、岸田國士戯曲賞受賞。