
撮影:木村塁
ファンタジーと現実が交差する、
陽気で、胸が張り裂けるような冒険の物語
世田谷パブリックシアターがおとどけする夏のアートフェスティバル=“せたがやアートファーム”において英国出身の劇作家アリスター・マクドウォールによる、ある男と娘の物語を日本初演する。
本作は、2013 年に英国で初演されると多くのメディアが絶賛し、瞬く間に話題となった一人芝居。すべてが登場人物との対話として描かれ、いくつもの役を一人の俳優が演じて物語が進んでいく。
本作を演出するのは、日本近代戯曲から海外翻訳作品・ミュージカルなど多岐にわたる活躍で才能を発揮し、高い評価を得ている田中麻衣子。
アリスター・マクドウォールは本作について、「記憶の芝居であり、ある種、ベッドで読み聞かせをする大人にとっての子どもの本」と表現している。そして本作を、俳優が観客と深い関係性を作る「俳優の芝居」としてつくりあげている。
いくつもの役を演じ分ける一人芝居を
近藤公園、田代万里生、松尾諭 のトリプルキャストで上演
『キャプテン・アメイジング』は一人芝居でありながら、客席への語りかけではなく、すべてが登場人物との対話として描かれ、いくつもの役を一人の俳優が演じて物語が進行していく。
アリスター・マクドウォールは本作を、俳優が観客と深い関係性を持つことのできる「俳優の芝居」でもあってほしいと記している。全身で演じられるコメディシーンから、心が締め付けられるような場面まで、一人ですべてを演じることになるこの作品を、近藤公園、田代万里生、松尾諭のトリプルキャストでお届け。

さまざまな演出家の作品で多様な役柄をしなやかに演じ、登場人物の内面に潜む繊細な感情を見事に引き出す近藤公園。
圧倒的な歌唱力と深い表現力で長年にわたり多くのミュージカル作品で観客を魅了する、世田谷パブリックシアター初登場の田代万里生。
幅広い演技力でシリアスな役柄からコミカルな役まで多彩なキャラクターを鮮やかに演じ分ける松尾諭。
卓越した表現力と際立った存在感を持つ3人の実力派俳優による、三者三様の魅力あふれる『キャプテン・アメイジング』に乞うご期待。
ストーリー
「名前は? パパの、スーパーヒーローとしての名前。」
「えっと、キャプテン…アメ…イジング。ミスター・アメ…キャプテン・アメイジング。」
「その名前めちゃくちゃダサい! そんなダサいヒーロー、聞いたことないよ! キャプテン・アメイジングは、何する人??」
ガランとした部屋。
男が一人、汚れたマントを着て立っている。彼の名はマーク。キャプテン・アメイジングだ。ホームセンターで働く、世界で最も地味で不健康で冴えないスーパーヒーロー。
宿敵との戦いに娘の学校への送迎、燃え盛る炎に飛び込んでの人命救助。空を飛びながらスーパーマンと苦悩を語り合い、酔っ払ってパブでバットマンと喧嘩。娘の「なんで?どうして?」と質問攻めの日々。娘のためにスパイダーマン柄の布団を買い、寝かせるために物語を作って語る日々。
そんな英雄的冒険の傍らで、男は逃れられない最後のミッションに立ち向かうことになる。そしてスーパーヒーローも、悲劇と無縁ではないことを思い知らされるのだった。
これはマントを着た一人の男とその娘の、たった6年間の記憶の物語である。