
社会での最小単位である、家族が織り成す様々な風景から、今日の社会の姿を照らし出し、未来を見つめるシリーズ「光景─ここから先へと─」第3弾は、蓬莱竜太作『消えていくなら朝』。
本作は、蓬莱が2018年に新国立劇場に書き下ろし、宮田慶子前芸術監督の演出により初演に。最も身近で最も厄介な「家族」という存在を蓬莱独自の切り口で描き、その私戯曲的な内容から大きな話題と、高い評価を得て、第6回ハヤカワ「悲劇喜劇」賞も受賞した。
この傑作が、7月に東京・新国立劇場で上演されることが決定!すべての出演者をオーディションで決定するフルオーディション企画 第7弾として、蓬莱竜太自らの演出で描かれる。
物語は、家族と距離を置いていた劇作家の定男が恋人を連れて帰省し、18年ぶりに全員が顔を揃えた家族の前で、次回の新作で、家族のことを書いてみようと思うと切り出すところから始まる。表面的な会話から、だんだんと長年抱えてきた不満や本音が飛び出していく、ヒリヒリとした会話の応酬。「家族」だからこそ、遠慮がなく、胸を抉るような言葉が飛び出していく。
本公演のオーディションは、2024年1月12日より公募を開始し、2,090名の応募の中から、2月初旬の書類選考を経て、3月中旬まで一次選考、二次選考を行い、6名のキャストが決定した。
蓬莱自身を投影して描いたという、主人公の劇作家の定男(僕)には関口アナン、そして定男の兄・省吾は松本哲也、定男の妹・可奈は田実陽子、母・君江は大沼百合子、一家の家長 父・庄次郎には大谷亮介、そして定男の恋人・レイには、坂東 希が挑む。

下段 左から)田実陽子、坂東 希、松本哲也
仕事や日常生活というそれぞれの人生と、まるで“呪い”ともとれる「家族」として断ち切れぬ絆の中で、生きていく幸せを問う渾身の作品が、作家本人の手により、再生。
宗教二世の問題にも斬りこんだ本作は、社会の変化と共に、2018年初演時よりもさらに鮮明で切実な物語となって立ち上がることだろう。
蓬莱竜太 コメント
この作品は2018年に新国立劇場に書き下ろした作品です。当時の芸術監督であった宮田慶子さんから執筆のオファーをいただき、僕自身は演出をしないという大前提があったからこそ書けた作品でもありました。僕の中では結構思い切った作品でした。自分のコアのような部分に触れたり、時には叩いてみたり、踏んづけたりするような感じがありました。
今回この作品で演出をしませんか、フルオーディションでやりませんか、という依頼をいただいた際には、そう来たかと、色々な意味で震える思いをしました。間違いなく僕にとって挑戦になります。
6名の出演者と共に模索しながら、共に悩みながら、新たな作品を生み出せたらと思っています。
本公演のチケットは、5月6日(火・休)10:00より一般発売開始。ただいまローソンチケットでは一般発売に先駆け、5月5日(月・祝)23:59までプレリクエスト先着先行を受付中!チケットの詳細は、下記の公演概要欄「チケット情報はこちら」よりご確認ください。