
2006年に公開されて話題を呼び、第30回日本アカデミー賞最優秀作品賞や第80回キネマ旬報ベストテン第1位など、数々の映画賞を受賞した映画『フラガール』。昭和40年の福島県いわき市で、常磐炭鉱が衰退していく中、未来を切り開くためにフラダンサーを目指す少女たちの奮闘を描く物語だ。 公演まで約2週間のタイミングで稽古場取材が行われた。
この日公開されたのは『Ta_Hu_Wa_Hu_Wai』と『BlueHawaii_Melody』の2曲。先生を演じる映梨那の呼びかけに応えて登場した紀美子たちが明るくパワフルなダンスを見せる『Ta_Hu_Wa_Hu_Wai』、ゆったりとした動きながら繊細で力強いパフォーマンスが美しい『BlueHawaii_Melody』を堂々と披露する。
続いて行われた丹生明里、映梨那、中村里帆、木崎ゆりあ、菅原りこによる取材会では、丹生が「個人的に約6年ぶりの舞台。お話をいただいた時は緊張もありましたが、とてもパワーをもらえる作品なので紀美子を演じられるのが嬉しいです。精一杯演じられるように頑張りたいと思います」と意気込む。
映梨那は「フラガールということでフラとタヒチをゼロから学んでいます。私は先生役としてみんなより上手くないといけないというプレッシャーもありますが、素敵な作品に泥を塗らないように日々稽古に励んでいます。みんな気合いが入っているので見に来ていただけたら嬉しいです」と語り、中村は「舞台も映画も昔から何度も見るくらい好きな作品です。稽古前、実際ハワイアンズのショーを見て感じたものを、見に来てくださる皆さんにお届けできたらと思っています」と笑顔を見せた。
木崎は「4回も上演されていますが、今回は新キャストが多く、全く新しいフラガールができそう」と期待を寄せる。菅原は「私が演じる和美は舞台オリジナルキャラクター。物語を深掘りすればするほど、色々な人との関係性、心情の変化が生まれてくるような素敵な役だと感じます。残り2週間の稽古を丁寧に突き詰められたらと思っています」と語った。
続いて、フラを習って感じた難しさと楽しさを聞かれると丹生は「アイドルをしていたのでダンス経験はありましたが、こんなに足を使うんだと驚きました。みんな汗だくでお稽古していて、一生分の汗が出たくらい(笑)」とユーモアを交えて語る。
映梨那は「私もダンサーとしても活動しているので、演出の方からもいけるだろと言われたんですが、ゼロから学ぶのは難しいこと。絶対難しいと思っていて、初日やったら案の定でした(笑)。でも慣れてくると、フラは一つひとつの動きに意味があるので感情を乗せやすいし穏やかな気持ちで踊れるので楽しいです」と話し、木崎は「振りを揃えるのはもちろん、気持ちを合わせるのが一番大事。グループで活動していた時と同じで、思いを一つにすることを意識しています」とコツを語る。
中村は「私は普段汗をかかない人間なんですが、ありえないくらいの汗をかいています(笑)。ダンス稽古の間は生きている感じがすごくする。みんなが踊っている姿にエネルギーをもらって表現していく、初めての感覚で充実した毎日を過ごしています」と楽しさを明かし、菅原は「フラのお稽古初日は、大丈夫かもと思っていたんですが、2日目から足に来て、だめだ!と(笑)。覚悟を決めて、みんなと一緒に積み上げてきました。とてもいい踊りになっていますので、ぜひ楽しみに待っていてください」と呼びかけた。

稽古場での印象的なエピソードについては、菅原が「アクションシーンはやったことがなくて、殺陣のシーンはすごく難しいです。自分なりに解釈して乗り越えられたらと思っています」と見どころを語り、丹生は「恥ずかしいミスの話なんですが(笑)。女の子たちが喧嘩するシーンも少しアクション要素があって。先生に怒られる瞬間に間違えて手を繋いでしまって(笑)。本番でやったら笑っちゃうから気をつけようと思いました」と明かす。木崎は「稽古場で見ても感動するなと思ったのが、まどか先生がダンスの楽しさを教えてくれるシーン。かっこいい!と思って」と話すと、映梨那は「嬉しい!いつも言ってくれないから(笑)」と笑顔を見せる。木崎の「かっこいい。ついていけるなと思いました」という言葉に他キャストも笑顔で頷く。
最後に丹生が「この作品はたくさんの方に元気と勇気をいただける作品になっています。毎日ダンスの稽古も頑張っていますので、私たちのかっこいい姿も見ていただけると嬉しいです。ぜひ劇場にお越しください!」と締め括った。
本作は2025年5月22日(木)~6月2日(月)まで、新国立劇場 中劇場にて上演される。
※木崎ゆりあの「崎」の字は、(タツサキ)が正式表記
取材・文・写真/吉田沙奈